2013年3月18日月曜日

ドナー肝体外生存24時間可能へ

イギリス Oxford大学開発のデバイスで、ドナー肝臓を24時間体外生存下保存可能となった。現在はアイスボックス冷却で、14時間までしか機能温存できない。
ヒトの体内を再現し、体温保持、酸素化された血液で満たしポンピングされている状況。 糖を燃やし、胆汁産生し続けている状況担っているとのこと。

http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324392804578362574039198146.html

http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-liver-device-transplant-idUSBRE92E0SI20130315

OrganOxと呼ばれる会社での、Oxford大学のspin-offカンパニー

http://www.organox.com/products/

QT/QTc間隔延長薬剤:投与前・投与後心電図検査

薬剤と、QT/QTc延長は定期的に問題となる。心電図判定のタイミングと、その具体的指標について自分なりに調べてみた。
米国FDA警告:ジスロマック・致死的不整脈リスク 2013/03/13
抗うつ薬とQTc延長 2013/02/01
参照値内であってもQT間隔は死亡率と関連する  2011年 10月 25日

QT延長可能性薬剤
http://www.nms.ac.jp/QTdrugs/qtdrug1.htm

https://square.umin.ac.jp/saspe/news/15.pdf
抗不整脈薬 キニジン, ジソピラミド, プロカインアミド, アミオダロン, ニフェカラント, ソタロール, ベプリジル
抗生物質・抗真菌薬 エリスロマイシン, クラリスロマイシン, スパルフロキサシン
向精神薬 アミトリプチリン, ハロペリドール, クロルプロマジン, ピモジド, チオリダジン
抗アレルギー薬 テルフェナジン, アステミゾール
その他 シサプリド, 三酸化ヒ素
N Engl J Med 2004; 350:1013-1022
主たる問題薬剤:ジソピラミド・Dofetilide・Ibutilide・プロカインアミド・キニジン・ソタロール・ベプリジル
他薬剤:アミオダロン・シサプリド・CCB(リドフラジン;米国未市販)・抗菌剤(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、halofantrine、ペンタミジン、スパルフロキサシン)、制吐剤(ドンペリドン、ドロペリドール)、抗精神薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、メソリダジン、チオリダジン、ピモジド)、メサドン
Torsades List: http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-01.cfm?sort=Brand_name
可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-02.cfm?sort=Brand_name
条件付き可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-04.cfm?sort=Brand_name
 添付文書で、”QT”と検索すると929件、”QT間隔”と検索すると152件、うち、「警告、禁忌/原則禁忌」は88件ある


まず基礎的知識として・・・
医薬品による重篤な循環器系副作用として「QT延長症候群」(LQTS)があり、Torsades de pointes(TdP)と呼ばれる致死的な心室頻拍のリスクファクターで薬淵治療上で重要な問題となっている。・・・抗不整脈薬だけでなく、向精神薬、 抗菌薬、分子標的薬などの非循環器系医薬品も含まれる。多くの場合、これらの医薬品による心筋Kチャン ネル遮断作用により、外向きK電流が減少することでLQTSが行き起こされると考えられている。
札幌医学雑誌 79(1-6)13 ~ 19(2010)
http://ir.cc.sapmed.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/5270/1/n0036472X79113.pdf


「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(薬食審査 発1023 第1号 平成21年10月23日 各都道府県衛生主管部(局)長 殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長)
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf
承認審査資料の国際的ハーモナイゼーション推進の必要性が指摘されています。このような要請に応えるため、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下 「ICH」という。)が組織され、品質、有効性及び安全性を含む各分野で、ハーモナイゼーションの促進を図るための活動が行われているところです。今般、 ICHの合意に基づき、新たに「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(以下「本ガイドライン」 という。)を別添のとおり定めました 
抗不整脈外薬剤でのQT/QTc延長に関し、日米間でネゴシエーションしておこうというお話のようだ。


ただ、”QT/QTc間隔の絶対的上限及びベースラインからの変化の上限値選択に関し一致した見解はない”
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf

具体的な上限値例として

QTC間隔絶対値の延長
・QTc間隔 > 450
・QTc間隔 > 480
・QTc間隔 > 500

QTc間隔ベースラインからの変化
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 30
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 60

治験除外として、QTc> 450msが繰り返し有る場合、TdP危険因子(心不全、低カリウム血症、QT延長症候群家族歴)、QT/QTc延長薬剤併用中である。このような事例では、臨床治験されてないため、リスク可能性があるということになる。

 補正式に関して、Friedericia補正法(QTC=QT/RR0.33、 Bazett補正法(QTc=QT/RR0.5があるが、Bazett補正では、 60/分以下では過小、高心拍では過大補正となる。線型回帰式補正:Framingham補正(QTc=QT+0.154(1-RR))、非線形補正がある。


ちょっと古く、そして、抗不整脈投与という限定的条件だが、中止基準のQT間隔の具体的記載がある。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1k03.pdf
早期発見のポイントは症状と投薬後の心電図検査である。症状としては、頻脈に基づく動悸・めまい・失神がある。ただし、症状が出現してからでは手遅れとなる可能性もあるため、VT やTdP が発生する前に対応すべきである。このためには心電図検査が有用で、とくに抗不整脈薬を投与した場合は 4 日~1 週間後に心電図を記録し、QRS 幅の拡大と QT 延長の有無を確認する薬物によっては 3 週~4 週後に QT 延長が現れることもあるので注意する。具体的には QRS 幅が投薬前に比して 25%以上拡大した場合(たとえば 0.12 秒以上となった場合)や QT 間隔が 0.5 秒以上に延長した場合は投薬量を減量するか、中止する
すなわち、QT延長薬剤に関して、具体的には、
投与前心電図チェック、4日から7日後3−4週間後チェックが義務づけられていると判断すべき
そして、心不全評価、カリウムチェック、QT延長症候群などの家族歴・既往歴チェックが義務づけられていると考えて良いはず


ジスロマックに関しては、米国FDAは、マグネシウム濃度測定を推奨


薬剤投与前心電図チェックすら、公的医療保険審査で認められないことがある。QT延長可能性薬剤の場合は、一律に、投与前、4−7日後、3−4週間後心電図チェックは許可されるべきはず・・・

ALK陽性転移性非小細胞肺がん:LDK378 ・・・米国FDA Breakthrough tag

クリゾチニブ(Xalkori)とともに併用、もしくは不応性の場合の患者に、ALKマーカー陽性転移性NSCLCへの治療薬、LDK378開発中で、FDAは、Breakthrough Tagをつけた。


http://www.reuters.com/article/2013/03/15/novartis-lungcancer-idUSL6N0C7194 20130315



Novartisは、LDK378配合剤を  "breakthrough therapy" designation と呼称し、その有効性があるかどうか薬剤レビュースピードアップ目標とすることとしたらしい

LDK378は、非喫煙・若年症例に多い、anaplastic lymphoma kinase positive (ALK+) metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC)への治療用にデザインされ、Novartisによれば、pIIトライアル進行中で、今年後半PIII複数着手計画で、来年早々には承認を期待しているとのこと。


Information on LDK
http://chicago2012.asco.org/ASCODailyNews/Abstract3007.aspx

What FDA fast track means
http://www.fda.gov/forconsumers/byaudience/forpatientadvocates/speedingacce sstoimportantnewtherapies/ucm128291.htm


すでに、Anaplastic lymphoma kinase (ALK) ・ c-Met receptor kinase阻害剤である、クリゾチニブ:Crizotinib (Xalkori)は、米国・韓国などで、ALK-陽性NSCLC治療承認されている。非小細胞肺がん中にALK遺伝子rearrangement症例発見され、pI、PII研究で奏功率61%、51%が報告されている。

Treatment of ALK-Positive Non–Small Cell Lung Cancer.
Yung-Jue Bang (2012)
Archives of Pathology & Laboratory Medicine: October 2012, Vol. 136, No. 10, pp. 1201-1204. 

終末期ケア:COPD終末期ケア・緩和ケア概念広がらず ・・・ 肺がんの重症指標・入院数を凌駕するにかかわらず・・・

「重度COPDは、予測不能な経過をたどる、多種症状の疾患である。予後は肺がんと類似する」という序文

 「 Living and Dying Well」ガイドラインと、スコットランドの緩和・終末ケアを比較


End-of-Life Care in a General Respiratory Ward in the United Kingdom
Selina Tsim, et. al.
American Journal of Hospice and Palliative Medicine (15 March 2013), doi:10.1177/104990911348126

 死亡66例のうち、57例のデータ入手
肺がん患者の方がCOPD患者に関する予後記載多い(60% n=9 vs. 8.3% n=1)
加え、院内緩和ケア関与レベル、終末期意思決定記録圧倒的(50%, n= 7 vs. 0% 、28.6%, n=4 vs. 8.3%, n=1)
肺がん患者では、死亡前12ヶ月での、終末期臨床指標数少なく、入院回数少ない。

 COPDにおいて、ケアプランニングを緩和ケア関与、終末期ケアに関する意思決定議論乏しい現状。予測的なケアプランニング早期開始を含めた、疾患予後・患者希望に関する議論をタイムリーに効果的に行うことが望まれる。


日本では、ホスピス利用はがんなどの悪性新生物疾患とHIVに限られる。一般的に、終末期というのは、脳血管疾患・神経筋疾患だって、心不全だって、腎不全だって存在するのだが、ホスピス対象疾患以外の終末期ケア議論の質量ともに乏しい。
COPD患者でも、終末期と判断せざる得ない状況があり、呼吸毎の呼吸苦及びそれに伴う絶望感、意欲低下を伴い、終末期宣言は現実的には困難な状況が伴う。

COPD終末期を具体的記載しているスコットランドの報告
http://www.palliativecareguidelines.scot.nhs.uk/documents/Lungdisease.pdf

Identification: Does this patient need palliative care?
死亡率予測特異的ツールはあるが、個別的は役立たず
6−12ヶ月後に死亡してもおかしくないとき、患者・家族へ緩和ケア需要を評価


Clinical indicators of advanced lung disease:
•るいそう; 低BMI (< 21)、パフォーマンス状況不良・悪化
•感染性急性増悪、呼吸不全入院増加
・重症気道閉塞 (FEV1< 30%)
•重度拘束性 (VC < 60%, transfer factor < 40%)
・長期酸素療法クライテリア一致 (PaO2< 7.3kPa)
•至適治療によっても症状持続、重症
•急性増悪、安静時・軽労作でも運動制限
•有症状右心不全

noteへ実験的移行

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