2012年8月30日木曜日

IABP:ST上昇型心筋梗塞30日間死亡率改善ベネフィット認めず

600名患者のIABP SHOCK IIトライアルで、 intra-aortic balloon pump (IABP) の使用は30日後死亡率ベネフィットを認めないと、 European Society of Cardiology (ESC) 2012 Congress.でDr Holger Thiele (University of Leipzig, Germany)報告

http://www.theheart.org/article/1438263.do

30日目死亡 : IABP 38.7%、 対照 41.3% (p=0.69)

新しいSTEMIガイドライン(ESC 2012)では、STEMI患者へのIABP使用は、1C → 2Bとダウングレードされている。


なお、intra-aortic balloon counterpulsationトライアル BCIS-1では、待機的使用で高リスク血管形成低拍出患者も、当初28日間においてベネフィット認めてない。しかし、51ヶ月後(中央値)、死亡率はばらつきを示し、IABP群が良好と判明している。
(JAMA 8 25, 2010)


IABP使用は、時代の潮目に当たってるようだ・・・重症患者のセレモニー的使用も噂される昨今・・・

カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念? ;サルで再現できず



カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念?

カロリー制限(CR)導入若年・高齢National Institute on Aging (NIA) サルでは、生存アウトカム改善しなかったという報告
Calorie restriction falters in the long run
Genetics and healthy diets matter more for longevity.
Nature Amy Maxmen  29 August 2012
http://www.nature.com/news/calorie-restriction-falters-in-the-long-run-1.11297


Wisconsin National Primate Research Center (WNPRC)の有名研究、7-14歳の成人アカゲザルへの30%カロリー制限開始で生存率改善効果が示され、予備実験少数報告でも改善効果示された。

NIAサルでもWNPRCサルでも、年数経過で、カロリー制限による有用性がさらに深まったという並行的に行われた2つの別々の研究報告。WNPRCの意味づけは、研究室齧歯類から長寿命霊長類まで認められるカロリー制限効果の重要性を示している。
しかし、今回の報告では、寿命の長い霊長類では、研究デザイン、畜産・飼料組成などが、カロリー制限の寿命延長効果へ影響を与えていることが示された。


1989年開始のWisconsin National Primate Research Center (WNPRC) 研究で、アカゲザルの実験で、カロリー制限は寿命延長を示し、加齢関連死が制限群で13%、対照群で37%であった。25年間の研究は対照群より30%食事量を減らしていた。食事トリガースイッチが加齢を緩徐化するという単純化した考えを確認されたと一般に考えられた。


今回発表のNatureの論文は、単純なカロリー計算だけじゃなくて、遺伝と食事構成からの報告である。

Impact of caloric restriction on health and survival in rhesus monkeys from the NIA study
Nature (2012) doi:10.1038/nature11432


NIA基金のサル研究は短命生物での知見、回虫饑餓実験による寿命延長、カロリー制限ラットでの体毛光沢や活動性維持提示実験など、さらには分子生物研究で、加齢関連遺伝子発現変容カスケードへの変容などが示されている。

 ところが、アカゲザル実験では、カロリー制限群に比べ不健康な食事摂取だった。対照群は一定供給だったが、介入群では不健康な食事無制限食であった。介入群が作為的すぎる健康食であり、カロリー制限だけの介入では無かった可能性が指摘された。結果的にカロリーの内容に大きな差が出来てしまったと指摘。 蔗糖成分、WNPRCサルでは28.5%、NIAでは3.9%。NIAでは魚脂や抗酸化成分ありで、WNPRCでは含まず。 全体的に食事としてはWNPRCは不健康。WNPRCサルはインドから、NIAサルはインドや中国からという対象動物の遺伝的差がある。

レスベラトロールのような蚊化合物での介入研究もあるが、 全体的には、単一プロセス・単一遺伝子・蛋白ターゲットで、加齢遅延を目指すことは期待されてない現状(David Sinclair, a geneticist at Harvard Medical School in Boston, Massachusetts)

ヒトの加齢において、カロリー制限のエビデンスは不足している。観察研究で、平均体重のひとが最も寿命長い傾向がある。

100歳長寿者研究者であるNir Barzilai( Albert Einstein College of Medicine in New York,)は、遺伝の方が 食事・ライフスタイルより重要で、“They’re a chubby bunch”(かれらは、ぽっちゃり体型)と述べている。

カロリー摂取量より食事組成の方の研究にいくべきという方向性示唆か?







メディア報道多し

・WSJ
Big Calorie Cuts Don't Equal Longer Life, Study Suggests
Monkeys on Severe Diets Get Health Benefits But, Unlike Rodents, No More Years
http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444772804577619394017185860.html

・NYTimes
Severe Diet Doesn’t Prolong Life, at Least in Monkeys
 http://www.nytimes.com/2012/08/30/science/low-calorie-diet-doesnt-prolong-life-study-of-monkeys-finds.html


・LATimes
Calorie limits don't extend life span but might keep you healthier
http://www.latimes.com/news/science/la-sci-calorie-restriction-death-20120830,0,6696302.story




最近、極悪NHKが、長寿遺伝子と騒いでましたなぁ ・・・ 強制的NHK受信料を使って、偏った情報提供つづける極悪企業 ・・・ つぶして欲しいテレビ局


【追記】郷に入っても郷に従わず その7~ カロリー制限をしたサルの研究から学んだこと

ハーバード大学リサーチフェロー
大西 睦子

2012年10月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

チョコレート週50-60g摂取で、卒中リスク減少 (女性だけでなく、男性にも効果)

スイス人のチョコレート好きは定番なのか?

スイス人コホートでのチョコレートと卒中リスクの関連研究
 

Chocolate consumption and risk of stroke
A prospective cohort of men and meta-analysis
Susanna C. Larsson, et. al.
Neurology Published online before print August 29, 2012, doi: 10.1212/WNL.0b013e31826aacfa Neurology WNL.0b013e31826aacfa

スウェーデン男性37103名のコホート
フォローアップ10.2年で、卒中症例 1995、脳梗塞 1511、出血性卒中 321、分類不能 163
高度チョコレート摂取は、卒中リスク減少と相関。

卒中多変量相対リスクは、チョコレート摂取最大4分位(中央値 62.9g/週)は最小4分位(中央値 0g/週)比較で0.83(95%CI 0.70-0.99)

相関は卒中病型により差は認めず

卒中4260症例の5つの研究のメタアナリシスでは、0.81(95% CI 0.73-0.90)で、研究横断的heterogeneiti認めず(p = 0.47)


女性での報告が先行している。

 多変量相対リスク(RR)として、チョコレート週50g摂取は、卒中すべて 0.86 (95% CI: 0.77 ~ 0.96)、脳梗塞  0.88 (95% CI: 0.77 ~ 0.99)、出血性卒中 0.73 (95% CI: 0.54 ~ 0.99)

Chocolate Consumption and Risk of Stroke in Women
Susanna C. Larsson, PhD, Jarmo Virtamo, MD, Alicja Wolk, DMSc
J Am Coll Cardiol. 2011;58(17):1828-1829. doi:10.1016/j.jacc.2011.07.023




SPS3 : 反復ラクナ型梗塞・デュアル抗血小板療法(アスピリン+クロピドグレル)再発リスク減少せず、出血・死亡リスク増加


反復ラクナ型卒中アスピリン投与にクロピドグレル追加投与
再発リスク減少せず、出血・死亡リスク増加

Effects of Clopidogrel Added to Aspirin in Patients with Recent Lacunar Stroke
The SPS3 Investigators
N Engl J Med 2012; 367:817-825 August 30, 2012
 二重盲検多施設トライアル:MRI確定・有症状ラクナ型梗塞 3020名

・クロピドグレル 75mg
・プラシーボ

プライマリアウトカムは、卒中(虚血性、出血性)再発

登録者平均年齢63歳、男性 63%



フォローアップ平均3.4年後、アスピリン+クロピドグレル群は、アスピリン単独より、卒中再発リスクは有意に減少せず

 (dual antiplatelet therapy) (卒中 125; rate, 2.5% /年 vs 卒中 138 , 2.7% /年) (ハザード比, 0.92; 95% 信頼区間 [CI], 0.72 ~ 1.16)

さらに、虚血性卒中リスクも減少せず (ハザード比, 0.82; 95% CI, 0.63 ~ 1.09) 、障害、致死性卒中も減少せず (hazard ratio, 1.06; 95% CI, 0.69 ~ 1.64).

重大出血は倍 (出血 105 , 2.1% /年 vs 56, 1.1% /年) (ハザード比, 1.97; 95% CI, 1.41 ~ 2.71; P<0 .001=".001" p="p">
再発性虚血性卒中の71%(133/187)はラクナ型卒中

全原因死亡率はアスピリン+ クロピドグレル(dual抗血小板治療)割り当て群で増加 (死亡 アスピリン単独 77  vs. dual therapy 113) (ハザード比, 1.52; 95% CI, 1.14 ~ 2.04; P=0.004)

この差は出血性卒中によるものではない (dual治療 9 vs. アスピリン単独 4)

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note