2013年2月13日水曜日

米国:減塩徹底でで、10年で50万名の死亡回避

年間4%ずつナトリウム消費量をカットしておき、10年間に1日 2,200mgまで減らせば27万5千名から50万5千名の死亡を回避できるというカリフォルニアサンフランシスコの大学の報告。

シミュレーションだが、減塩運動で、50万名程度の死亡数を減少することができるという ・・・ 


日本では、介入ターゲットがいい加減になってしまったメタボ健診などやめて、介入意図の明確な減塩運動に変えた方が良いのでは・・・とも思うが・・・



でも、ナトリウム量で2.2gといってもかなり厳しいのでは?
極端な減塩はかえって危険という話もあったし・・・

”なんでも減塩に対し疑問” 非高血圧:尿中ナトリウム排泄低下は心血管死亡リスク増加と関連  2011年 05月 05日
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"Mortality benefits from US population-wide reduction in sodium consumption: Projections from 3 modeling approaches"  
 Coxson PG, et al
Hypertension 2013; 61: 564-570. 

コンピュータシミュレーションで、住民的な食事中ナトリウム減量による死亡率ベネフィット推定

3つのことなるアプローチで今後10年の減塩効果をモデル化し検討


・ 心血管疾患死亡率への直接の影響エビデンスを組み入れ  (method 1)
・ 降圧治療ランダム化トライアル治験で観察される血圧変化による間接的効果 (method 2)
・ 疫学的研究 (method 3)

以上の3つの異なるモデル化アプローチを同様のシナリオに用いる

・ シナリオ A:10年間で40%徐々に均等に減少
・ シナリオ B:住民ベースで平均2.2g/日に到達するよう、10年間で40%減少維持
・ シナリオ C:10年間即座に1.5g/日に減少し10年間維持

今後10年で徐々に減塩を勧める(シナリオA)ことでも広汎な公衆衛生上の改善をもたらし、かなりの健康ベネフィットをもたらす
3つのモデル横断的に28万から50万名の死亡減少をもたらす

即時減塩プロジェクションは、10年間に70万から120万の死亡減少をもたらす

3つの異なる仮説モデルで、減塩による健康ベネフィットは重大である。





ABSSSI治療:短期Tedizolid vs リネゾリド 非劣性比較 ・・・ 合格

蜂巣炎・丹毒や重大皮膚膿瘍・創傷感染などのメチシリン感受性黄色ブドウ球菌による急性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)は、生命危機をもたらし、手術や入院の必要性もでてくる疾患である。薬剤耐性の問題で、使用制限が問題となる病態でもある。
Tedizolidphosphateは新しいoxazolidinoneで、ABSSSIのため開発された薬剤


以下のトライアルの結果、リネゾリド(ザイボックス)と、Tedizolid短期治療は同等の効果であることが判明した。

早期治療奏功率は、80%


"Tedizolid phosphate vs linezolid for treatment of acute bacterial skin and skin structure infections"
Prokocimer P, et al
JAMA 2013; 309: 559-569.
ABSSSIs治療への、6日間のTedizolidを、10日間のリネゾリド治療と比較した有効性・安全性評価(第3相、ランダム化二重盲験非劣性トライアル

プライマリ有効性アウトカムは、48-72時間後評価の早期臨床的奏功性(ベースラインと治療後の病変表面のひろがり、口腔体温37.6度以下、24時間内の体温測定確認)
非劣性限界を10%と事前定義

ITT解析セットで、早期臨床的そう効率は、
・ tedizolid群 79.5%(332名中)
・ リネゾリド群 79.4%(335名中)
治療差  0.1% [95% CI, −6.1% ー 6.2%])

治療終了時(day 11)持続的臨床的奏功率
・ tedizolid群 69.3% (95% CI, 64.0% to 74.2%)
・ リネゾリド群 71.9% (95% CI, 66.8% to 76.7%)
 (治療差 −2.6% [95% CI, −9.6% to 4.2%])

治療後評価のための受診時(治療最終受診日1-2週間後)研究評価臨床的治療成功率
・ tedizolid群 85.5% (95% CI, 81.3% to 89.1%)
・ リネゾリド群 86.0% (95% CI, 81.8% to 89.5%)
(治療差 −0.5% [95% CI, −5.8% to 4.9%),

原発病巣からのMRSA分離は178名で同様

リネゾリドの保険適応病名「本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」ってのに、感染症関連学会各位や厚労省のお偉いさんたちは疑問を抱かないのだろうか?

こんな適応にしてたら、培養感受性判明したとき・・・すでに重篤化って考えないのだろうか?

・・・ほんとに現場のわかってない、日本のアホ役人や学会のお偉いさんたちが多すぎる

上記論文とは主題が異なるが、検査ラボが整備されてない地域での急性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)治療に関して真剣に議論してほしいものだ

H. pylori:除菌後再発率1割あまり 治療遵守および家庭内子供、年齢、住居地域が重要な要素

H. pylori除菌適応拡大が近々とのことだが・・・どのような層別化がなされるのだろう?
日本では、年齢に関して、検診・診断・治療に関する選別化されることが少ないが、がん予防のための除菌なら、年齢制限すべきと思う。



話は違うが、除菌直後陰性でも1年後再発率は11.5%というのは以前聞いてた話と桁が違う。


以前は0-3%程度というのが常識だったと思う
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

家庭内に子供がいること、居住地域の関与、年齢が、初期治療アドヒアランスとともに再発率に重要な役割を果たすことがわかった

"Risk of recurrent Helicobacter pylori infection 1 year after initial eradication therapy in 7 Latin American communities"
Morgan DR, et al 
JAMA 2013; 309(6): 578-586.



【目的】H. pylori再発リスクおよび除菌1年後の成功率と関連する要素決定のための研究


【デザイン・セッティング・被験者】コホート解析
被験者 ラテンアメリカ系住民 21-65歳、1463名のランダムトライアル

【介入】3つの治療群ランダム化
・ランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン(3剤治療)14日間
・ランソプラゾール・アモキシシリン 5日間 → ランソプラゾール・クラリスロマイシン・メトロニダゾール 5日間(連続法)
・ランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン・メトロニダゾール 5日間(同時法)

【測定】治療直後UBT陰性後例再感染率と1年後フォローアップ除菌成功要素

【結果】UBT陰性結果の被験者・1年フォロアップUBT施行例(n=1091)のうち
UBT陽性 125、再発リスク 11.5%(95% CI, 9.6%-13.5%)
再発は研究地域(p=.03)、初期治療非アドヒアランス(補正オッズ比 [AOR] 2.94, 1.31-6.13; p=0.01)、居宅内子供存在(AOR 1.17; 95% CI 1.01-1.35/子供あたり; p=0.03)

治療直後UBT陽性結果のうち、再治療完遂 138名、うち、1年後93名がUBT陰性

1年後UBT施行1340名のうち、UBT陰性はそれぞれ(p=0.61)
3剤治療 80.4% (95% CI, 76.4%-83.9%)
連続法治療  79.8% (95% CI, 75.8%-83.5%)
同時治療法 77.8% (95% CI, 73.6%-81.6%)

全体敏江の有効性は79.3%(95% CI, 77.1%-81.5%)

再治療効果無視の単一治療経過解析では、1年後のUBT陰性比率は72.4%(95% CI, 69.9% - 74.8%)で、研究地域と有意相関を認めた。

初期治療アドヒアランス   (AOR, 0.26; 95% CI, 0.15-0.42; P < .001)、男性 (AOR, 1.63; 95% CI, 1.25-2.13; P < .001)、年齢 (AOR, 1.14; 95% CI, 1.02-1.27 per decade; P = .02)が有意に相関。

登録被験者1463名のうち1年後有効率、UBT結果喪失を考慮して、72%(95% CI, 70.3%-74.9%)


【結論】H. pylori感染治療後1年で、UBT治療後陰性例での、再発率は11.5%
再発決定因子はたとえは、nonadherenceとか地理的要素などは、H. pylori除菌の長期成功における特異的レジメンの考慮上重要。

noteへ実験的移行

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