2013年4月24日水曜日

関節リウマチ関連間質性肺疾患の要素 ・・・ &  IIPs: ATS/ERS 2013


下記IIPsの分類の話を聞くと、そんなにRA関連肺疾患って単純だったっけ?・・・という気分に・・・ 気道系病変を加えるともっと複雑なはずだが・・・かなりクリアカットな話
British Society for Rheumatology
Kelly C, et al "RA-related interstitial lung disease: which factors predict its development?" BSR 2013; Abstract 53.
Kelly C "RA-related interstitial lung disease: survival trends over 25 years" BSR 2013; Abstract 54.



http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/BSR/38636

肺疾患のリスク要素研究のため、Kellyのグループは、1987−2012年関節リウマチ患者・肺疾患患者のデータ集計。110名男性で、発症年齢は64歳。82%の症例で、肺疾患前にRAの関節症状。10%では肺症状から始まり、残りは、肺疾患・関節疾患同時発症。
間質性肺炎男性では女性より多く(75% vs 60%, p=0.02)、喫煙pack-years多いほど有意(35 vs 20, p=0.01)。
RAの年齢・性別マッチ化対照・臨床症状・レントゲンエビデンスない患者において、喫煙はかなり少なく、pack-yearsは喫煙者間でも少ない(p = 0.03)

関節リウマチ(RA)の患者の間質性肺疾患発症リスク要素は、男性・喫煙・血清反応陽性
女性が大幅に多いRA患者全般と異なり、間質性肺疾患発症RAの半数が男性というのが特徴的

加え、肺疾患全患者全員で過去喫煙・現行喫煙、RAのうち60%が過去喫煙・現行喫煙であると、ポスターセッションで報告。

血清反応陽性は肺疾患患者で多く、RA因子陽性 89%、抗CCP抗体陽性 94%
対して、対照群はリウマチ因子陽性 58%(p = 0.01)、抗CCP抗体陽性 55% (p = 0.006)

抗CCP抗体価中央値は非常に高く、肺疾患ありで 180 U/mL、肺疾患無しで 78 U/mL
(p = 0.02)

遺伝的感受性患者において、喫煙が肺の部位特異的シトルリン化沈着と関連する可能性が有り、早期RAでの抗CCP抗体の関与が考えられると説明
加え、肺疾患は以前の研究より若年発症が多い。

間質性肺疾患はRAの増加し続ける合併症で、RA患者の死亡6%に関与

死亡率のサブグループ解析では、230名で、73名死亡。
間質性肺疾患発症は増加しているが、死亡率は低下し、高齢発症が増加している。
例えば、1987年-1993年 では、肺原因死亡は肺疾患患者の67%で、中央値63歳。
2006年-2012年では、間質性肺疾患死亡比率は30%と低下し、死亡時年齢中央値は76(両比較 p< 0.01)

シクロホスファミドのような古典的免疫抑制剤の早期使用、mycophenolate mofetil (CellCept)やrituximab(Rituxan)などの新しい薬剤使用の広がりがこの原因かもしれない。



<原稿らしい・・・呼吸器学会総会のメモ>
ATS/ERS 2013

○major IIPs
i)   IPF
ii)  INSIP
III) RB-ILD :喫煙関連が多い:膜性および呼吸細気管支の粘膜下炎症を特徴
iv) DIP:喫煙関連が多い:
v)  COP :CTのreverse なんちゃらかんちゃら所見、アジアのみ特異的に目立ってる?
vi) AIP  :ARDSとは区別しろとのこと

○Rare IIPs
i)  idiopathic LIP
ii) IPPFE: 特発性上葉優位型肺線維症(ref. 網谷病)

○Unclassifiable interstitial pneumonias

○Rare histologic pattern
i)   AFOP : Acute Fibrinous Organizing Pneumonia → 病理基準:"fibrin balls within alveolar spaces":patchyな分布のorganizig pneumonia COP・ ;膠原病性肺疾患との鑑別
II)  Bronchilicentric patterns of interstitial pneumonia
iii) Airway centered interstitial fibrosis
iV) Bronchiolocentric interstitial pneumonia
V)  Peribronchiolar metaplasia ILD






病理と無関係の臨床病型の存在
HRCTパターンを追ってもIPF/NSIP混在
CT・IPFパターン純粋型はやはり信頼性高い
DLco:年間15%減少は進行性と再現性有り

AACE:糖尿病包括的マネージメントアルゴリズム

昨年発表の American Diabetes Association (ADA) European Association for the Study of Diabetes (EASD)ステートメント


Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes: A Patient-Centered Approach Position Statement of the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD)
Diabetes Care June 2012 vol. 35 no. 6 1364-1379
個別化、患者中心的アプローチをと、ADA/EASDのガイダンス



American Association of Clinical Endocrinologists (AACE)は、アルゴリズムベース・モデルを維持しつつ、テーラー化アプローチを要求
年齢や併発症など患者特性を考慮しつつ、FDA証人薬剤の全てのクラスを含むアルゴリズムを提供。

AACE Comprehensive Diabetes Management Algorithm
https://www.aace.com/files/glycemic-control-algorithm.pdf




2型糖尿病治療のテーラー化 アプローチのための推奨



【単剤】メトホルミン、GLP-1、DPP4阻害剤、αグルコシダーゼ阻害剤を最小リスク第一選択としながら、単剤治療でのSGL-2薬剤、チアゾリジン、SU剤使用を十分な注意必要な薬剤とした。

【2剤】Colesevelam (Welchol:胆汁吸着薬剤) や bromocriptine (Cycloset) に加えて、メトホルミンや他の単剤リストのうち緑色のものを追加する。繰り返すが、SGLT-2、チアゾリジン系とSU剤は特段に注意を必要と記載。

インクレチンは、膵炎、膵腫瘍の副作用報告にかかわらず、評価された。
GLP-1アゴニスト、DPP4阻害剤は、いまのところ、膵疾患との関連性に説得力無しという判断。

Garberはべーリンガーとの関連あり


ブロモクリプチンはインスリン感受性促進作用(解説;Bromocriptine mesylate: FDA-approved novel treatment for type-2 diabetes Indian J. Pharm. 2009 ;41 (4) 197-198 :心血管系リスク増加させないFDA新基準の承認薬剤として重要)

Colesevelamに関しては、メトホルミンに追加で改善
Colesevelam lowers glucose and lipid levels in type 2 diabetes: the clinical evidence Diabetes Obes Metab. 2010 May; 12(5): 384–392.


C型肝炎新規薬剤 : sofosbuvir

NS5Bポリメラーゼ阻害剤:sofosbuvirの2つのトライアル

・open-label単一群試験では、sofsbuvir+ペグインターフェロンα-2a治療により、genotype 1、4は、12週後持続的ウィルス消失率(SVR)は90%に及ぶ
・非劣性トライアルでは、genotype 2、3感染で、sofosbuvir+rivabirin vs PegINFα-2a+ribavivinではほぼSVR同程度



Sofosbuvir for Previously Untreated Chronic Hepatitis C Infection
Eric Lawitz, et. al.
April 23, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1214853

HCV感染未治療患者のpIII研究2つ
A)1群open-label研究で、genotype 1、4、5、6患者の12週間のsofsbuvir+PegINFα-2a、リバビリンの比較(genotype 1と4が98%)
B)非劣性トライアルでは、499名のHCV genotype 2、3感染者
ランダム化割り付けで、sofosbuvir+ribavirin12週間と、PegINFα-2a+ribavirin24週間
ともに、プライマリエンドポイントは、治療終了後12週後SVR
結果:
A) 1群研究では、SVR 90%(95% 信頼区間, 87-93)
B) 非劣性トライアルでは、SVRは両群(sofosbuvir–ribavirin group 、peginterferon–ribavirin group)とも67%
sofosbuvir-ribavirin群奏功率は、genotype 2より genotype 3感染で低い( 56% vs 97%)
副作用(疲労、吐気、好中球減少)は、ペグインターフェロン群よりsofsbuvirで少ない。

解説
http://health.usnews.com/health-news/news/articles/2013/04/23/experimental-drug-for-hepatitis-c-promising-studies-show

心臓手術時以外:非血管外科手術でのβ遮断剤周術投与の総死亡率減少・心臓合併症減少

非心臓手術例での周術的β遮断剤使用の効果はまだ未確定であった
 e.g. 非心臓手術時β遮断剤の予防投薬は支持できない:メタ・アナリシス 2008年 11月 12日

非心臓手術例での30日術後アウトカムを後顧的コホート解析(症例 136,745名、マッチ化対照 37,805の 1:1propensity scoreマッチ化)で検討結果

非心臓手術・非血管手術propensity-マッチ化患者において、 Revised Cardiac Risk Index factor2つ以上の場合、周術的β遮断剤服用は30日めの全原因死亡率低下と関連

Lee, T. H.; Marcantonio, E. R.; Mangione, C. M.; Thomas, E. J.; Polanczyk, C. A.; Cook, E. F.; Sugarbaker, D. J.; Donaldson, M. C. et al. (1999). "Derivation and prospective validation of a simple index for prediction of cardiac risk of major noncardiac surgery". Circulation 100 (10): 1043–1049.

この知見で、Revised Cardiac Risk Indexの累積指数を使用した意思決定の有用性、そしてβ遮断剤の周術使用の正当化が示唆された。多施設ランダム化トライアルにて、低・中間リスクでの患者についてこの結果に注視した評価が望まれる。


Association of Perioperative β-Blockade With Mortality and Cardiovascular Morbidity Following Major Noncardiac Surgery
Martin J. London, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1704-1713.

104の在郷軍人医療センター(2005年1月から2010年8月)
主要アウトカム測定:全原因30日死亡率と心臓合併症(心停止 or Q波心筋梗塞)
結果:
全体的に、55,138名(40.3%)で、β遮断剤暴露
ベータ遮断剤暴露状況は、血管手術では66.7%(13,863名)、非血管手術では37.4%(122,882)と、血管手術で多い  (95% CI, 37.1%-37.6%; P < .001)
Revised Cardiac Risk Index要素数増加、4つ以上のリスク要素の場合は、リスク無しに比べ、ベータ遮断剤暴露数が多い(71.3% (95% CI, 69.5%-73.2%) vs  25.3% (95% CI, 24.9%-25.6%) ) (P < .001)

死亡は1.1%(95% CI, 1.1%-1.2%)、心臓合併症は 0.9%(95% CI, 0.8%-0.9%)
propensityマッチ化コホートにおいて、暴露にて、死亡率低下と関連(相対リスク [RR], 0.73; 95% CI, 0.65-0.83; P < .001; number need to treat [NNT], 241; 95% CI, 173-397)
Revised Cardiac Risk Index 要素数累積増加層別化にて、β遮断剤暴露は・・・
2要素数 RR, 0.63 [95% CI, 0.50-0.80]; P < .001; NNT, 105 [95% CI, 69-212]
3要素数 RR, 0.54 [95% CI, 0.39-0.73]; P < .001; NNT, 41 [95% CI, 28-80]
4要素数以上 RR, 0.40 [95% CI, 0.25-0.73]; P < .001; NNT, 18 [95% CI, 12-34]
この相関は、非血管系手術限定的
β遮断剤暴露は、非Q波心筋梗塞・心停止発生率低下とも関連 (RR, 0.67 [95% CI, 0.57-0.79]; P < .001; NNT, 339 [95% CI, 240-582])し、これも非血管手術限定的知見





小児期髄膜炎による成人生活への影響:肺炎球菌・インフルエンザ桿菌

デンマーク住民において、小児期の細菌性髄膜炎は、成人での教育達成レベルや経済自立度と関連。特に、肺炎球菌による髄膜炎、インフルエンザ桿菌による髄膜炎では、成人期における教育到達度・経済自立度関連性の影響をみとめる。ただ、髄膜炎菌性髄膜炎での関連性は家族関連要素が大きい。


Educational Achievement and Economic Self-sufficiency in Adults After Childhood Bacterial Meningitis
Casper Roed, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1714-1721. 


 この種のワクチンへの公費負担の根拠にもなる。

母体出生前バルプロ酸塩暴露:自閉症スペクトラム障害・自閉症リスク増加

出生前母体バルプロ酸塩暴露による小児へのASD(自閉症スペクトラム障害)と自閉症発症リスク

Prenatal Valproate Exposure and Risk of Autism Spectrum Disorders and Childhood Autism
Jakob Christensen, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1696-1703. 


1996−2006年のデンマークの生下誕生・住民ベース研究

誕生655,615名のうち、ASD 5437、うち、小児自閉症 2067
フォローアップ終了時小児平均年齢8.84(range 4-14, 中央値 8.85)歳

14年フォローアップ推定絶対リスク
ASD 1.53%(95% CI, 1.47%-1.58%)
小児自閉症 0.48%(95% CI, 0.46%-0.51%)

包括的には、バルプロ酸塩暴露小児508名の絶対リスク
ASD 4.42%(95% CI, 2.59%-7.46%)
小児自閉症 2.50%(95% CI, 1.30%-4.81%)
(補正 HR, 5.2 [95% CI, 2.7-10.0])

てんかん女性の子供6584名コホート限定すると、絶対的リスク

・バルプロ酸塩暴露 432名
ASD 431名 4.15%(95% CI, 2.20%-7.81%)
(補正HR, 1.7 [95% CI, 0.93-3.2])
小児自閉症 2.95%(95% CI, 1.42%-6.11%)
(補正HR, 2.9 [95% CI, 1.4-6.0])

vs
・バルプロ酸塩非暴露 6152名
ASD 2.44% (95% CI, 1.88%-3.16%)
小児自閉症 1.02% (95% CI, 0.70%-1.49%)



改定した方が良いのでは・・・

デパケン(バルプロ酸ナトリウム):添付文書 
妊婦、産婦、授乳婦等への投与


1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとする報告がみられる。]
2.
妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単剤投与することが望ましい。[他の抗てんかん剤(特にカルバマゼピン)と併用して投与された患者の中に、奇形を有する児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。]
3.
妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィブリノーゲン血症等があらわれることがある。
4.
妊娠中の投与により、新生児に低血糖、退薬症候(神経過敏、過緊張、痙攣、嘔吐)があらわれるとの報告がある。
5.
動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある。
6.
授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することがある。]






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