2014年9月30日火曜日

オレキシン受容体阻害剤:ベルソムラ(スボレキサント):日本の用量設定おかしくないか?

MSDから、オレキシン受容体阻害剤:ベルソムラ(スボレキサント)錠 15mg、20mgが不眠症治療薬として発売されるそうだ。



メルクの記載見ると、「The recommended dose of BELSOMRA® (suvorexant) is 10 mg, taken no more than once per night and within 30 minutes of going to bed, with at least 7 hours remaining before the planned time of awakening」ということで、就寝30分前に服用し、7時間以上就寝可能な状況で服用するという条件。



さらに、以下FDAの記載見ると、大丈夫かよと・・・不安を覚える・・・

簡単に言うと、10mgを超えての投与量は、効果に比べてリスクが大きく意味が無いと・・・


http://www.fda.gov/downloads/.../UCM354215.pdf

副作用

・用量少なくても有効性さほど低下せず、できるだけ最小量を!
・昼間の眠気急に来る場合がある;運転中注意
・無自覚夜間活動
・ナルコレプシー関連イベント(睡眠麻痺、催眠的幻覚、軽度カタプレキシー)



治験被験者は健康状態の良い事例で、合併症状況や臨床的状況でのデータ少ない
例えば、
・ 40-59歳の女性のうち23%が抗うつ薬使用、うつと不眠の合併など自殺念慮などへの副作用の懸念
・ 一般住民の1-15%でも睡眠歩行病歴

特に、用量依存的に、昼間眠気増加!



効果:FDAの要求は客観的効果が示され、主観的効果に臨床的意義が認められること

latency to persisntent sleepの減少比率は、10mg投与で day 1から49%、week4で58%


10mg投与量と20mg以上でベースラインからの睡眠時間延長効果乏しかった
(p39)



年齢による用量補正必要なし、 ただ、高齢者では15%増加の可能性という薬剤動態の指標だが、高齢者で感受性増加のエビデンスは無い。




AHA科学的ステートメント :心血管画像検査 ・・・ 放射線被曝を考慮した冠動脈画像診断アプローチ

CTAだらけのこの世の中・・・正しいアプローチと言えるのだろうか? 放射線被曝を心配、憂える記述物、スピーチ極めて少ない。
例えば、国立循環器センターの解説などみても、それぞれの検査のベネフィットだけ強調。
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph64.html#-ct-ct
これって、ただしいインフォームドコンセントと言えるのだろうか?



AHA科学的ステートメント :心血管画像検査


AHA Scientific Statement Approaches to Enhancing Radiation Safety in Cardiovascular Imaging: A Scientific Statement From the American Heart Association
Reza Fazel,et. al. , on behalf of the American Heart Association Council on Quality of Care and Outcomes Research, Council on Clinical Cardiology, and Council on Cardiovascular Radiology and Intervention
Circulation 2014; first published on September 29 2014 as doi:10.1161/CIR.0000000000000048 


心臓画像検査を行う臨床医にとって、的確性とは、詳細な画像検査装置の機能、施行とその解釈上の検査種類毎のdose-optimization技術、操作者やスタッフへのdose-minimization技術についての知識を獲得しなければならない。

意思決定に関して、画像検査がなぜ推奨されるか、又、放射線被曝を含むその検査のベネフィットとリスク についてのクリアな理解を与えるよう求めている。

”minimizing and optimizing exposure and increasing education on the risks of radiation from cardiac imaging”については2009年助言(http://intmed.exblog.jp/10725938/)に存在してたが、新しい助言はより実践的で特異的となった。
 

累積放射線量については途上



以下は、各放射線検査種類毎年齢別性別生涯癌寄与リスク



Figure 1. Estimates of average lifetime attributable risk of cancer for various cardiac imaging procedures by age and sex.






上記日本語訳:

冠動脈疾患評価のための画像診断患者希望

適切か → No :担当医と連絡

yes

放射線を用いない検査が可能ではないか?あるいは同等ではないか? → Yes:非放射線検査
(非心原性疾患リスク、診断正確性、患者の利便性、local expertiseを含む)

No

運動可能? → No : 冠動脈CTAもしくはPET(可能なら)

Yes

SPECT考慮(可能なら、低放射線量、2ヘッド以上、高感度カメラ使用)

Yes

負荷検査可能

Yes

Tc99m負荷試験


AAN Position Paper : 非がん性疼痛へのオピオイド使用は慎重に!

日本でも、非がん性疼痛に対するオピオイド使用が広がっている。乱用ではないかと感じる症例に遭遇することも多い。ちょっとした腰背部痛で、μ受容体パーシャルアゴニストが処方されている日本の現状を憂える。


そんな中、米国神経学会(ANN)のポジションペーパー


Opioids for chronic noncancer pain
A position paper of the American Academy of Neurology
Gary M. Franklin, et. al.
Neurology September 30, 2014 vol. 83 no. 14 1277-1284
http://www.neurology.org/content/83/14/1277.full




米国においては、The Patient Safety Subcommitteeから、オピオイド処方関連合併症・死亡率の公衆衛生疫学に関する科学的及びポリシー課題レビュー要求された。

1990年代後半からの施策変更により、直間接的を含めると10万名を超える死亡が米国内において処方オピオイドから発生している。

36-54歳の高リスク群において、銃器・運転事故からの超過死亡が見られる。


短期鎮痛の重要性エビデンスは存在するが、長期においてmoverdose、dependency、addictionの重大リスクを生じない状態で疼痛緩和維持・機能改善効果をもたらすか?その充分なエビデンスは存在しない。


以下の項目に関するレビュー記事
(1) the key initiating causes of the epidemic 
(2) the evidence for safety and effectiveness of opioids for chronic pain 
(3) federal and state policy responses 
(4) recommendations for neurologists in practice to increase use of best practices/universal precautions most likely to improve effective and safe use of opioids and to reduce the likelihood of severe adverse and overdose events





こういう記載が乱用を誘発するんだよなぁ

「海外の変形性関節症に関するガイドラインの一部はアセトアミノフェンとともにトラマドールを第一選択薬や第二選択薬に挙げています。」
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/110630html/index.html

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