2012年11月9日金曜日

FDA辛くも承認: 超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデク

次世代の超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデク(IDeg)およびIDegと超速効型インスリンアナログ インスリン アスパルト(IAsp)との配合製剤であるインスリン デグルデク/インスリン アスパルト(IDegAsp)(参考:http://www.novonordisk.co.jp/documents/article_page/document/PR_11_07.asp)

insulin degludec (Tresiba)
insulin degludec/aspart(Ryzodeg)

FDA諮問委員会が8:4というところが気にかかる

通常ならこの種の薬剤は圧倒的多数の承認になるはずなのに・・・

24時間持続のはずのランタス・レベミルがそれ以下のパフォーマンスしか無いため、変わる薬剤が必要であることは認識されているはず、だが、それ以上に心血管疾患リスクに対する懸念があるということらしい
http://www.medpagetoday.com/Washington-Watch/FDAGeneral/35854


FDA資料
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/EndocrinologicandMetabolicDrugsAdvisoryCommittee/UCM327017.pdf

Insulin Degludec/Insulin Aspart Administered Once Daily at Any Meal, With Insulin Aspart at Other Meals Versus a Standard Basal-Bolus Regimen in Patients With Type 1 Diabetes: A 26-week, phase 3, randomized, open-label, treat-to-target trial
Irl B. Hirsch, et. al.
Diabetes Care November 2012 35:2174-2181; published ahead of print August 28, 2012



資料を見ると、MACE(心血管疾患重大副作用)に関し軽度だがリスク増加が見られている。

製薬会社の言い分だけを聞くのでは無く、心血管疾患リスクに関して、臨床医は、留意しておく必要がある・・・ってこと

喘息:アクションプランなしのケアは臨床的アウトカム、医師患者関係の質悪化につながる

Asthma action plan (AAP)こそ、喘息ガイドラインの根幹だと思うが、

シムビコートという薬剤のSMART療法などといういい加減な吸入指導を製薬会社(特に、アステラス)が勧めるため、なんだか、むちゃくちゃになってきた昨今の喘息治療の体系。

身近で見聞きする限り、製薬会社側の薬剤宣伝にかなり問題が有ると思う

 初診患者や、重症度判定もなされて無い患者や、自覚症状と呼吸機能上重症度や臨床重症度に乖離ある患者では、SMART療法を導入することは困難なはず ・・・

なのに、患者任せの薬剤投与がなされている事態を見聞きしている。



自覚症状だけで、吸入量を患者意志だけで決定するというなら、アクションプランを義務づけるべき


以下の報告は、 アクションプラン無しの指導は、女性において、 ・医師との十分な話し合いが行われてない ・処方薬剤遵守性低下 ・ピークフロー測定がなされない ケア満足度も低く、医師・患者の関連性、臨床的アウトカム低下にもつながる・・・というもの

Asthma Action Plans and Patient Satisfaction Among Women With Asthma
Minal R. Patel, et. al.
CHEST. 2012;142(5):1143-1149. doi:10.1378/chest.11-1700

製薬会社のいうがままの、呼吸器系医師たちに最大の問題があるとは思いますがね・・・


SMART療法の臨床的効果の急性悪化数減少効果は、急性増悪回数比較で、対照維持療法 0.5に対し、0.3回、すなわち、0.2回/年の程度の差しかない。

心血管系のアウトカムは、“死亡・血管再建・集中治療入院”などのハードなアウトカムだが、このイベントは、かなり柔らかな、予定外受診というイベントを含むのである。そんなイベントが1年に0.2回減少は野放図な薬物乱用の免罪符とはなり得ない。


Barnes先生が批判をまとめている
Review:Single maintenance and reliever therapy (SMART) of asthma: a critical appraisal  Thorax 2010;65:747-752 doi:10.1136/thx.2009.128504 Kenneth R Chapman ,Neil C Barnes, Andrew P Greening, Paul W Jones, S Pedersen
SMART療法の意義を述べた報告には
・ 患者選択に偏りが有り
・ 対象者に関し喘息コントロール不良な患者が多い(日本のシムビコート保険適応用法用量では軽症・中等症持続型しか対応できないという矛盾 →日本でのSMART療法容認するエビデンスにはなり得ない)
・ 患者自己判断にたより過ぎておりレスキュー使用のタイミングや用量などの統一性に疑問がある。

そしてなにより長期安全性が確認されてない。また、喀痰中好酸球増加が示され、抗炎症効果が十分かに疑念が残るなど・・・


百歩譲って、SMART療法をおこなうのなら・・・ 保険適応から軽症~中等症事例のみに限るべきで、、薬剤アドヒアランス良好例、正当な喘息重症度自己評価可能な事例のみで行うべき

その際は、かならず、アクションプランを提示し、同意を得ておくこと

不適切例は、
・ 初診
・ 病型・重症度判定固定されてない症例
・ 重症・気道狭窄・肺機能不安定例
・ アドヒアランス不能例、定期受診なされない例
・・・と想定される。

システマティック・レビュー:オンブレスはスピリーバ、1日2回LABAより臨床効果あるというが・・・

オンブレスという薬剤;

COPD:インダカテロール vs チオトロピウム  ・・・ 毒 v 毒?  2011年 10月 21日

インダカテロールCOPD適応承認: 用量減らし、FDA承認の見込み 2011年 03月 08日 

"米国 75mg/日のみ承認なのに、日本では150mg/日という、いまだかつてない用量設定"で販売されている薬剤


以下のシステマティック・レビューは、インダカテロール150μg/日以上を対象としており、上記安全性に関する疑問を払拭するものではない。


Comparison of Indacaterol With Tiotropium or Twice-Daily Long-Acting β-Agonists for Stable COPD: A Systematic Review
Gustavo J. Rodrigo et. al.
 CHEST. 2012;142(5):1104-1110 doi:10.1378/chest.11-2252
インダカテロールの安全性・有効性を
チアトロピウム やbid 長時間持続型β2アゴニスト(TD-LABAs)と比較のシステマティック・レビュー
5トライアル(被験者 5920)を検討

チアトロピウム比較で、インダカテロールは、統計学的・臨床的に有意な、rescue医薬品使用や呼吸困難度減少認めた
 (最小臨床意義差:minimal clinically important difference [MCID]であるtransitional dyspnea index [TDI]の43%増加;  number needed to treat for benefit [NNTB] = 10)

加えて、健康状態MCIDははチオトロピウムよりインダカテロールの方が到達度が高い (OR = 1.43; 95% CI, 1.22–1.68; P = .00001; NNTB = 10)

インダカテロール治療終了時には、Trough FEV1に関し、TD-LABAより有意に高くなる (80 mL, P = .00001)

 同様に、インダカテロールは、TD-LABAより呼吸困難土改善をもたらす (MCID到達TDI尤度 61%増加, P = .008) 、健康状態改善 (MCID到達SGRQ尤度 21%増加, P = .04)

 インダカテロールは、比較薬剤2群と安全性・忍容性同等。


この薬剤を使えない理由は、75-300μg/日と用量設定の各国ばらつきがあること

長期安全性への懸念 そして、治験に喘息コンポーネントを有する対象者を多く含むのではないかという疑念

死亡率や心血管イベントを臨床的アウトカム指標として使う心血管疾患と違い、ソフトな臨床的指標でしか検討されてない呼吸器疾患薬剤・・・真の安全性・有効性が語られるのはいつの日か?

今の現状では、呼吸器医が、循環器医よりレベル低いと言われてもしかたがない。

 製薬会社への疑念が日に日に増す昨今、今日も、全国で薬剤販売促進講演会が行われているのだろう・・・

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