2013年3月28日木曜日

C型肝炎ウィルス:アンチセンス・オリゴヌクレオチド miravirsenの第2相試験 ・・・有望

C型肝炎ウィルスのアキレス腱として普遍的に存在する、肝臓内での遺伝子発現のスイッチをオン/オフする蛋白の特定部位位があり、HCVの安定性・propagationは、HCVゲノムと肝臓内発現microRNA-122と機能的相互作用に依存する。増殖・生存・複製に必要なこのメッセンジャー蛋白への結合する機序に関わるmiravirsenは、antisense oligonucleotideであり、高度安定ヘテロ二本鎖内のmature miR-122をsequesterする核酸modified DNA phosphorothioate antisense oligonucleotideをロックし、機能阻害作用を有する。ウィルスはホストを失い、 ウィルスをホームレス化するという例え。

p2研究で、安全性有効性を36名の慢性HCV genotype 1感染患者で検討
ランダム割り付け、miravirsen 3mg、 5mg、 7mg/kg体重 5週間皮下投与
29日間で、18週間後までフォロー


Treatment of HCV Infection by Targeting MicroRNA
Harry L.A. Janssen, et. al.
N. Engl. J. Med. March 27, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1209026

Miravirsen は用量依存的に、HCV RNA量を減少し、active therapy終了後も持続
HCV RNA量のベースラインからの平均最大減少量(log 10 IU/mL)は、 3mg/kg体重 1.2 (p = 0.01)、5mg/kg体重 2.9 (p = 0.003)、 7mg/kg体重 3.0 (p=0.002)、プラシーボ 0.4減少

治療14週間で、5mg群で HCV RNA 1例認めず、 7 mg群では4例で認めず

上限量副事象認めず、miR-122結合部位のescape mutationも認めない

若年喘息発症:ヒト・ライノウィルス感染と17q21 locusの2つの変異が関与

17p21 locusの変異型と、ウィルス誘発気道喘鳴はともに喘息発症と関連性がある
これら2つの要素の関連性をCOAST・COPSAC誕生コホートで検討

Rhinovirus Wheezing Illness and Genetic Risk of Childhood-Onset Asthma
Minal Çalışkan, et. al.
N Engl. J. Med. March 27, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1211592

17q21 変異は、ヒトライノウィルス(HRV)喘鳴と、若年期に関連性みとめるが、RSV喘鳴との関連性はみとめず

17q21変異と喘息の相関は、HRV喘鳴症状ありの子供に限定されていて、結果的に喘息リスクの観点から相互関連的有意な影響が示唆される。

さらに、ORMDL3発現レベル、GSDMD発現レベルは、HRV刺激PBMCsで、非刺激PBMCsに比べ増加する。
遺伝子発現は、両条件有る場合、17q21と相関するが、HRV暴露による増加はgenotype特異性は認めない
結論としては、 17q21変異を有する場合、HRV喘鳴状態経験・このlocusの2つの遺伝子発現のある小児では、喘息と相関する。


喘息発症に関わる要素として、気道感染と遺伝的要素の関連性が具現化された。
初めての喘息GWA研究で17q21との関連性が報告(Nature. 2007 Jul 26;448(7152):470-3. Epub 2007 Jul 4.)されている.
このlocusへの関心が高まり、環境要素、たばこ受動喫煙やウィルス感染などとの関連性がこのlocusがらみで注目されている。17q21には、GSDMB、ORMDL3、リンパ芽細胞、CD4:T細胞が関連。

CODIACS Vanguard ランダム化対照トライアル:急性冠症候群・うつへの積極的介入効果

中央管理的積極的うつ対処法の有効性

Centralized, Stepped, Patient Preference–Based Treatment for Patients With Post–Acute Coronary Syndrome Depression
CODIACS Vanguard Randomized Controlled Trial
Karina W. Davidson,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-8. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.915. 

急性症候群2−6ヶ月後うつ症状(Beckうつ調査票 スコア 10以上) 150名
・ 積極治療群は 73例で、電話・インターネット、薬物、両方、いづれでもない問題解決治療手段の患者嗜好の中央管理うつケアを6ヶ月間
・ 対照群は、うつ症状に関する医師の気づき後うつ治療を地域的に行うもの

主要アウトカムは、6ヶ月後のうつ症状変化と総医療コスト

通常治療群より、積極的治療群の方が有意にうつ症状軽減
(群差間、 BDIスコア -3.5, -6.1 〜 -0.7; p=0.01)

コストは、積極治療群の方が高コストだが、包括的医療コストでは差を認めず(寄与因子補正後群間差, -$325; 95% CI, -$2,639 〜 $ 1989; p=0.78)


BAT:非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題

BAT:非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題
と合わせ、議論の必要有り

日本の呼吸器系学者たちがのんびりやってるうちに、オランダに先を越されたという感じが否めない

非嚢胞性線維症(non-CF)性気管支拡張症急性増悪患者へのアジスロマイシン持続治療の効果

Effect of Azithromycin Maintenance Treatment on Infectious Exacerbations Among Patients With Non–Cystic Fibrosis BronchiectasisThe BAT Randomized Controlled Trial
Josje Altenburg,  et. al.
JAMA. 2013;309(12):1251-1259.
doi:10.1001/jama.2013.1937. 

BAT (Bronchiectasis and Long-term Azithromycin Treatment)研究

ランダム化二重盲験プラシーボ対照化トライアルで、2008年4月〜2010年9月までオランダの14病院、83名の非CF気管支拡張症、1年前の間に3回以上の気道感染増悪症例

介入:アジスロマイシン 250mg/日 vs プラシーボ 12ヶ月間

プライマリ・アウトカム:12ヶ月間治療中の急性増悪回数
セカンダリ・アウトカム:肺機能、喀痰最近、炎症マーカー、副作用、喀痰スコア、QOL

結果
アジスロマイシン 49名(52%)、 プラシーボ 40(48%)で、修正ITT解析

研究終了時、急性増悪数は アジスロマイシン群 0(中間4分位[IQR], 0-1) vs プラシーボ群 2(IQR, 1-3) p<0.001

急性増悪最低1回発症:
プラシーボ治療 32(80%) vs アジスロマイシン治療 20(46%)
(ハザード比、 0.29 [95% CI, 0.16-0.51])
  
mixed-model analysisでは、2群間の経時的FEV1(予測値比)変化は、 F1.78.8=4.085, p = 0.047) (← 知識不足ため意味不明)
3ヶ月で、アジスロマイシン群 1.03%増加、プラシーボ群 0.10%減少

胃腸系副作用は、アジスロマイシン群 40%、プラシーボ群 5%(腹痛相対リスク(RR), 7.44 [ 95% CI, 0.97-56.88] 、下痢 RR 8.36 [95% CI, 1.10-63.15]
いずれも治療中断必要なし

マクロライド薬剤抵抗性発生率 アジスロマイシン 88%、プラシーボ群 26% 

結論:
非CF気管支拡張成人において、アジスロマイシン12ヶ月連日使用はプラシーボ比較で、感染性急性増悪発生減少させる。QOL改善、生存率改善に寄与するかもしれないが、抗生剤耐性に関しては評価必要



【日本の呼吸器系常識崩壊】非CF性気管支拡張症・エリスロマイシン少量持続療法 軽度急性増悪軽減効果のみで、抗生剤抵抗性増加

 びまん性汎細気管支炎を筆頭にした好中球性慢性気道感染疾患へのマクロライド系少量長期治療は日本が先頭立ってたはずだが・・・マクロライド系長期療法研究って、基礎研究からの話題だけで、エビデンスレベルの臨床的アウトカム研究報告されてない日本の現状はおかしい。

結果的に、こういう種の治験、外国頼み・・・

BLESS Randomized Controlled Trial は、エリスロマイシン少量持続投与トライアルに関するもの

対して、BAT Randomized Controlled Trial は、アジスロマイシン少量持続投与トライアル( 非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題 )


12ヶ月間ランダム化(1:1)二重盲験プラシーボ対照化トライアル
非喫煙成人・非嚢胞性線維症(non-CF)気管支拡張症成人(前年2回以上感染性急性増悪既往)

エリスロマイシン 400mg/日 と マッチ化トライアル

結果は、エリスロマイシン少量持続療法をこよなく愛する呼吸器系医師にとって必ずしも望ましいものではなかった。急性増悪回数をアウトカムとした場合、0.7回/年の減少効果が認められたが、 1年程度では薬剤抵抗性に関わるpotential riskが問題となる。
「1年間などでなく、数年のより長期で効果出現するはずだ」、「薬剤耐性より薬剤効果の方が大きい」、「より長期・より重大事象アウトカムで比較すべき」との反論もできるだろうが、今のところむなしい。

Effect of Long-term, Low-Dose Erythromycin on Pulmonary Exacerbations Among Patients With Non–Cystic Fibrosis Bronchiectasis
The BLESS Randomized Controlled Trial
David J. Serisier,  et. al.
JAMA. 2013;309(12):1260-1267. 
doi:10.1001/jama.2013.2290
主たるアウトカム測定  プライマリアウトカムは、プロトコール事前定義・呼吸器系急性増悪(PDPEs)/患者の年間平均発生率
セカンダリアウトカムは、共生的マクロライト抵抗性口腔内連鎖球菌、肺機能


結果  679名篩い分け、117名をランダム化(プラシーボ 58名、 エリスロマイシン 59名)、107名(91.5%)研究完遂。
エリスロマイシンは、PDPEsに関し、包括的に有意減少(平均、 1.29   [95% CI, 0.93-1.65] vs 1.97 [95% CI, 1.45-2.48]  / 患者・年; 発生率 [IRR], 0.57 [95% CI, 0.42-0.77]; P = .003)

ベースライン緑膿菌気道感染存在の事前設定サブグループにて(平均差、1.32[ 95%CI, 0.19-2.46]; p = 0.02)

エリスロマイシンは、プラシーボに比較して、24時間喀痰産生量減少 (差中央値, 4.3 g [中間4分位 [IQR], 1 〜 7.8], P = .01) 、肺機能低下緩和( 気管支拡張剤後呼気1秒量絶対差平均, 2.2 %予測値 [95% CI, 0.1% 〜 4.3%]; P = .04)

エリスロマイシンは、マクロライド耐性口腔内連鎖球菌比率増加E (差中央値 , 27.7% [IQR, 0.04% 〜 41.1%] vs 0.04% [IQR, −1.6% 〜 1.5%]; 差, 25.5% [IQR,15.0% 〜 33.7%]; P < .001)

結論・新知見 非嚢胞性線維症気管支拡張症において、エリスロマイシン12ヶ月使用は急性増悪頻度軽度減少し、マクロライド系抗生剤抵抗性を増加させる

noteへ実験的移行

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