2012年5月11日金曜日

DSM-5: どのようになるか? セックス・ネット依存などは認めず、分類不能も排除の方向など

"セックス依存症”とか、“食物依存症”、“ネット依存症”、“カフェイン依存症”などはDSM-5では認めない。“ネットゲーム依存”に関しては今後病名として考えらえる可能性がある。

他、axisやdimensionという考え、カテゴリー上 "not otherwise specified" (NOS)(「他に分類されない」、「他に特定されない」)という分類の排除、abuse-dependenceを連続的にとらえる・・・など、改定の方向性が説明されている。

以前の報道 : DSM-5:自閉症の多くが診断クライテリアから外れる可能性 2012年1月21日土曜日

で、今回・・・

2013年5月公式リリース前の事前情報となる
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/APA/32619


WHAT'S OUT

以下の方針
  • Eliminate "not otherwise specified" (NOS) diagnoses within categories:カテゴリー内にNOS(不特定)診断廃止
  • Remove functional impairments as necessary components of the diagnostic criteria:診断クライテリアの必要要素としての機能障害の廃止
  • Use scientific evidence to justify classifications and criteria:分類・クライテリアのための科学的エビデンス使用

軸:
DSM-IV'の主要構成スキームから、疾患、寄与要素、全般機能評価を5つの軸で分ける。

Axis I : clinical, substance-related, and learning disorders

Axis II: personality and certain other disability-based disorders.

NOS診断:
DSM-IVにはNOS診断、すなわち、カテゴリー内にフィットしない特定の類型としてcatchall(物置)が存在する。臨床の場でこのカテゴリーが頻用されることで、混乱をもたらす側面がある。たとえば、摂食障害(Eating Disorder: ED)の患者の半数越えがED-NOSとされている。

DSM-5では、NOSカテゴリーを完全に区分するか、NEC( not elsewhere classified)として記載する。
たとえば、うつ疾患NECは5つの特性に合致しないや期間が短い場合など


死別:
主な議論の一つが大うつ診断で、愛する人の死別からの重度悲しみからの起きる場合のとりあつかい。2ヶ月以内に診断不能という制限撤廃の議論。


精神疾患診断としてのcatatonia:
catatonia診断のクライテリア見直し、統合失調症サブタイプから除外し、新しい病型とするというもの。原因不明のcatatoniaと神経発達異常の自閉症と関連する新しい”catatonia NEC"を作る。

性同一性障害:
生物学的性別に合致してないと考えている個人は疾患としてレベルされないことになる。代わりに、精神的治療を受けたいのなら、 "gender dysphoria"(性別違和感?)とラベルされる。
このhot-button問題は、様々なアプローチが考慮される。

薬物乱用
DSM^IVは マリファナや麻薬などの精神状態への変調をもたらす "abuse" と "dependence"を分類したが、DSM-5作業グループは、"abuse-dependence"の区分は恣意的として連続したとらえかたをしている。 "substance use disorders"として、クライテリアに身体的トレランスや離脱症状を除外。科学的適応を反映したモノは、診断に不必要と判断。



WHAT'S IN (or STILL IN)

Dimensions:
たとえば自殺と不安など、横断的(cross-cutting)要素が多くの疾患にみられる。また、PTSDのflushbackなどの回数など特定疾患に特異的なものもある。次元的評価の導入が試みられている。

バイオマーカー:
初めて客観的検査が、精神疾患クライテリアに組み入れられる。
DSM-5の睡眠覚醒疾患において、PSGが要求されることとなる。また、ナルコレプシーは、 narcolepsy/hypocretin deficiencyのセットとなり、脳脊髄液のhypocretin(俺寄進)測定ベースで診断。


機能障害:
診断必要事項に、“機能障害や患者不安”の項目があるのを除去するよう方向性が示されたが、作業グループの一部は対処できなかった。
自閉症診断は、未だに、"symptoms [that] together limit and impair everyday functioning."が存在し、PTSDでは、 "the disturbance causes clinically significant distress or impairment in social, occupational, or other important areas of functioning"を含む。
機能障害が疾患の一部・一団である疾患があり、特に神経精神異常を定義する場合がそうである。
しかし、多くのカテゴリー、特に人格障害に関し、機能障害をチェックリストから外し、dimensional assessmentへ変更した。


Disruptive Mood Dysregulation Disorder(破壊的気分調節不全障害:DMDD):
 (persistent foul temper punctuated by bursts of rage:怒りの感情の爆発による持続的は激情)子供への新しい取り組みを示すが、議論のある病名:"toddler tantrums"(こどもの癇癪、5歳未満)への医学的とりくみとして、提案されたものであるが、 "temper dysregulation with dysphoria" という初期の名前は取り下げ

自閉症スペクトラム障害:
論争による変化で、自閉症+アスペルガー症候群組み合わせを他の2つのDSM-IVカテゴリーと同じく、組み合わせた。

"Craving":
特定の薬物を求める報告・状態を診断のkey innovationとした。単なる重度使用とを区別したもの
  
月経前不快気分障害premenstrual dysphoric disorder
depressive disorders familyから独立した診断名



WHAT DIDN'T MAKE IT

Other addictions:
性、食物、インターネット、カフェイン依存症の提案拒否
メディアで取り上げられているが、 「Said O'Brien, "We looked at sex addiction, but there was no science at all. None."「」とされ、インターネットゲーム依存はDSM-5 Section III(DSM-IV付録)でも、さらなる研究必要性が記述されている。十分な検討不十分という結論となっている。

The word "addiction":
DSM-5では用いられない。かわりに“use disorder”というラベルが用いられ、“opioid use disorder”という名前が用いられる。ただ悪意呼称だとして批判もある

Mixed anxiety-depression:
anxious with depression なのか depressed with anxietyなのか、ジレンマを生じる。提案診断名のフィールドトライアルでは異なるクライテリアとして解釈され、信頼性ゼロとなってしまった。状況はDSM-5(Section III)へ継続移行。

Attenuated psychosis syndrome:
低レベルの厳格、指向障害患者に関する病名付け提案だが、 批判を受けた。

Posttraumatic Stress Injury:
兵士や在郷軍人から"disorder"から"injury”への変更希望

Transgenderism as a V code:
性同一化障害の呼称についての提案、 s診断可能なものでも、治療可能なものでもない権利であるというflag itemのためということで、DSM-IVのchart codeの名称として使われていたもの。DSM-5では、結局、拒否されてる。

Other proposed diagnoses.
  • Body integrity disorder (wanting healthy limbs cut off because "it feels right")
  • Male-to-eunuch disorder (wanting surgery to become asexual)
  • Hypersexual behavior (wanting to have sex all the time)
  • Persistent Complicated Bereavement Disorder (prolonged or severe grief that does not meet criteria for major depression)
  • Skin-picking syndrome
  • Olfactory reference syndrome (believing one smells bad)

WHAT TO LOOK FORWARD TO
Primary care version
Code changes
New governance for continued revision



公に認められてない病名を乱用したり、創造したり・・・そういう活動をするメンタル関係の専門家や執筆者がいる。売名行為は個人の名誉欲・金銭欲などを満たす目的だろうが、社会的にはプラスにならない。

“セックス依存症” AND “精神科”や“専門”でググると・・・そういう人たちが ぞろぞろ

抗肥満薬 ロルカセリン FDA承認

選択的なセロトニン2C(5-HT2C)受容体アゴニストとして作用するlorcaserin
(参照:http://www.eisai.co.jp/news/news201201.html)


以前いったんFDAから拒否されたが、今週火曜日、助言委員会からの承認を得たとのこと

委員会メンバーは、体重減少効果を重視し、この効能が、投与量を上回る量での動物モデル弁膜症損傷、乳腺・脳腫瘍増加懸念が上回ったと判断。

FDA:http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/EndocrinologicandMetabolicDrugsAdvisoryCommittee/UCM303200.pdf?utm_campaign=Google2&utm_source=fdaSearch&utm_medium=website&utm_term=lorcaserin&utm_content=1

 参照:http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb--weight-loss-drug-lorcaserin-20120510,0,4759947.story


 エーザイ大喜びかな?

禁煙:バレニクリン 心血管疾患重大イベントへの影響は否定的

バレニクリン使用中の運転禁止は、田舎では、禁煙治療に対しかなり影響がでている。
Varenicline Gets Stronger Warnings About Psychiatric Problems, Vehicle Crashes
JAMA. 2009;302(8):834. doi: 10.1001/jama.2009.1153

 

薬剤に関わる稀な副事象イベントをどうあつかうかは、今後も、薬剤行政・製薬会社・医療関係者にとって重要な問題。生命に関わる副事象イベントとして心血管疾患イベントは重要。稀なる副事象候補に対していかなる検討がなされてるかに興味・・・


日本では1人でも交通事故があれば新聞一面になりそうな勢いだが、リスクベネフィット評価は、慎重に行うべき。



バレニクリンと心血管イベントに関する結論としては、薬剤暴露中のイベントに注目したすべての出版データメタアナリシスで、4つの要約係数にて心血管イベントの有意な増加認めなかった。稀なイベントアウトカムに対しては、絶対的影響で推定されるべきで、Petoオッズ比に基づく推定はなされるべきではない。


Risk of cardiovascular serious adverse events associated with varenicline use for tobacco cessation: systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e2856 (Published 4 May 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e2856 

22のトライアル、すべては二重盲検、プラシーボ対照化で、2つはactiveな心血管疾患患者も登録、11は心血管疾患既往者登録。

治療 必要率、心血管重度副事象率は、 バレニクリン群 0.63(34/5431)、 プラシーボ群 0.47(18/3801)

リスク差の要約係数は、 全22トライアルでは0.27%(95%信頼区間 -0.10~0.63;P=0.15)で、統計学的有意差に到達せず。

比較として、相対リスク(1.40、0.82~2.39;P=0.22)、Mantel-Haenzelオッズ比(1.41、0.82~2.42; P=0.11)、Petoオッズ比(1.58、 0.90~2.76; P=0.11)

少なくとも1回のイベントを有する14トライアルすべてでもバレニクリンとプラシーボ群の有意差認めず


HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...