2018年7月12日木曜日

うつとエピジェネティック変化(DNAメチル化)

うつと、エピジェネティック変化であるDNAメチル化signatureの関連性

遺伝と環境によるエピジェネティック変化として代表的な CpG siteのメチル化とうつの関連性明確化


DNA Methylation Signatures of Depressive Symptoms in Middle-aged and Elderly Persons
Meta-analysis of Multiethnic Epigenome-wide Studies
JAMA Psychiatry. Published online July 11, 2018. doi:10.1001/jamapsychiatry.2018.1725


民族横断的 epigenome-wide association studies (EWAS)メタ解析
framework of the Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology (CHARGE) Consortiumとして施行

discovery cohortは、 7948名(女性 4104, 51.6%)、平均年齢 65.4, SD 5.8歳
replication cohortは、 3308 名 (女性 2456 [74.2%] ) 、平均年齢 60.3, SD 6.4歳


EWASにて、うつ症状と関連有意の3つのCpG siteメチル化同定

  • cg04987734 (P = 1.57 × 10−08; n = 11 256
  • CDC42BPB gene), cg12325605 (P = 5.24 × 10−09; n = 11 256; ARHGEF3 gene)
  • intergenic CpG site cg14023999 (P = 5.99 × 10−08; n = 11 256; chromosome = 15q26.1)


脳内(基底核)の CDC42BPB gene(effect, 0.14; P = 2.7 × 10−03) と線維芽細胞 ARHGEF3 (effect, −0.48; P = 9.8 × 10−04) の予測発現性は大うつと相関




脳内(基底核)メチル化推定方法は以下記載(よく分からんが・・・)
Blood and Brain Correlation
We checked the correlation between methylation in blood and various brain regions at the 3 identified sites using a web-based tool (BECon18) and a blood-brain DNA methylation comparison tool (http://epigenetics.essex.ac.uk/bloodbrain/).
BECon showed correlation between blood and brain DNA methylation, for example, methylation at cg04987734 in the CDC42BPB gene was highly correlated (r = 0.81) between blood and the Brodmann area 7 that spans the medial and lateral walls of the parietal cortex (eFigure 6 in the Supplement)



うつ病の遺伝的関与は中程度で、heritabilityとしては40-50%で、高齢うつではわずか
心理社会的ストレッサーが炎症誘発性サイトカイン増加をもたらし、うつ発症ということも示唆されている。DNAメチル化のようなエピジェネティックなメカニズムと心理社会的ストレッサーとの関連性をうまく説明できたら・・・


2018年7月11日水曜日

肥満パラドックス:心血管疾患高リスクほど高BMIほど最適

17万名超(心血管疾患無し 22.8%、安定心血管疾患 29.4%、急性冠症候群 47.8%)、50各国の14前向き研究からの報告


Varying Effects of Body Mass Index and Mortality in Different Risk Groups.
Am J Cardiology
DOI: https://doi.org/10.1016/j.amjcard.2018.06.038
https://www.ajconline.org/article/S0002-9149(18)31330-4/pdf


高BMI値が心血管疾患死亡リスク低下と関連するかどうか不明、それで、BMI高いほど個別リスクにより変動するという仮説を立てた

過体重(BMI 25-29.9)に比べ、正常体重(BMI 20-24.9)と低体重(BMI < 20)では全てのコホートで死亡率高い
過体重に比べ、肥満(BMI 30以上)の死亡リスクは、研究populationに依存し、心血管疾患なし 1.20 (1.01-1.45; p=0.04)、 安定心血管疾患あり 1.08 (1.02-1.15; p=0.01)、 急性冠症候群 1.01(0.93-1.10 ; p=0.72)

死亡率最小と関連するBMIはコホートリスクが増加するほど大きい (no-CVD 27.2kg/m2, stable CVD 28.1kg/m2, and ACS 30.9kg/m2; p<0.001)

どのコホート内でも、最適BMI値は高リスク群で高い

急性冠症候群群では、低リスク患者最適BMIは 29.1、高リスク群においてより高値BMIが死亡リスク低下と関連する (interaction-p<0 .001="" p="">
結論:心血管疾患なし、安定心血管疾患、急性冠症候群の各々のコホート内で、高リスク群内ではBMI高値ほど死亡リスク低下と関連する
体脂肪増加のベネフィットは、(例えばカロリー蓄積増加作用など)高リスク群において有害性のcounteractとして働き、obesity paradoxの別の説明となるかも








Overall (unified) analysis of body mass index (BMI) and all-cause mortality from multivariable restricted cubic spline analysis stratified by 6-month mortality tertiles. Lower risk patients had a 6-month death probability <0 .45="" 0.45="" 1.6="" and="" higher="" medium="" risk="" to="">1.6%. Arrows point the lowest-risk BMI value.


果たして、肥満は全て悪なのか・・・ 


死亡リスクを最小化するには BMI 20-24.9推奨値とされている
しかしながら、観察研究のなかには、過体重、軽度肥満の方が死亡率低下する現象を報告するものもある。さらには、過体重・軽度肥満者を減量に導きそれが生命予後を改善させたとする実証トライアルは存在しない。
Look AHEADトライアル(N Engl J Med 2013;369:145-154.)ではフォローアップ9.6年間で体重8.6%減少した物の死亡率減少示せず

ここでは体脂肪が全て悪かどうか、考え直す必要があると考察

2018年7月10日火曜日

心房細動と閉塞性肺疾患(喘息、COPD)合併:β遮断剤心拍コントロールにて生命予後改善

この報告、閉塞性肺疾患の定義として "patients who had a primary diagnosis of either asthma or chronic obstructive pulmonary disease (COPD)”としていて、喘息まで含む報告

アーチストでさえ添付文書では禁忌になれているのに、非選択的β遮断剤を喘息に使うという報告・・・日本と違い韓国は、喘息へのβ遮断剤投与に鷹揚なのだろうか?

現実的には日本ではpure COPDではアーチストまで使用可能だろうが、実際はメインテート、ビソノテープ(とその後発)しか使用できないだろう


韓国のこの報告だと、非選択性だろうが、β遮断剤が心房細動・閉塞性肺疾患(COPD and/or 喘息)の生命予後改善という話


Rate control and clinical outcomes in patients with atrial fibrillation and obstructive lung disease,
Heart Rhythm (2018) doi: 10.1016/j.hrthm.2018.06.044.
https://www.heartrhythmjournal.com/article/S1547-5271(18)30670-2/fulltext


【背景】心拍コントロール(rate-control)治療が心房細動(AF)患者治療の第1選択と考えられているが、閉塞性肺疾患(OLD)では、AF病態の時、研究情報不足のため治療薬物使用困難となることがある

【目的】concomitant AFと閉塞性肺疾患(OLD): AF-OLD患者において、rate-control薬物治療の各クラスの投与後の臨床的アウトカムを検討。2002 〜 2015の 韓国National Health Insurance Service提供データベースによる解析
全原因死亡率をカルシウム拮抗剤(CCB)と他の薬剤クラスの使用で比較。


【結果】13,111名中、AF-OLD患者数は治療としてCCB、心選択性β遮断剤(BB)、非選択的β遮断剤 2482、 2379、 2255、 5995

死亡率リスクは、CCB比較で、選択的β遮断剤 (Hazard ratio (HR)=0.84, 95% CI=0.75–0.94, P=0.002)、非選択的β遮断剤 (HR=0.85, 95% CI=0.77–0.95, P=0.003)
ジゴキシン使用は生存率悪化と関連し、統計学的有意性境界 (HR=1.09, 95% CI=1.00–1.18, P=0.053)



【結論】心房細動-閉塞性肺疾患患者のうち、rate-control治療の選択的・非選択的β遮断剤使用は、カルシウム拮抗剤に比較して、有意に死亡率軽減効果あり。さらなる前向きランダムトライアルがこれらの所見確認のためには必要

NICE:COPD急性増悪であっても抗生剤厳しく使用制限?

Restrict use of antibiotics for COPD, NICE says

BMJ 2018; 362
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3016 (Published 09 July 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3016

NICEのガイドラインセンター長、Mark Bakerは、”COPD急性増悪における抗生剤使用ベネフィットは限定的で、抗生剤使用前に他の治療オプションを考慮すべき”と宣う
副作用、特に下痢、抗生剤抵抗性のリスク増加がコミュニティで使用する限り存在する
重症でない場合、症状の回数・重症度だけでなく、急性増悪既往、入院歴、合併症発症リスク、以前の細菌培養・感受性結果も考慮
抗生剤非使用を決意したら、急激悪化、どの時間でも、非常に状態が悪い場合は、患者にhelpを求めるよう助言しなければならない
対照的に、入院を要するような呼吸状態の急激な悪化など、重症患者では、抗生剤治療のベネフィット認められていると・・・
Chronic obstructive pulmonary disease (acute exacerbation): antimicrobial prescribing: Draft guidance consultation
https://www.nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10115/consultation/html-content



一方、薬剤最適化、禁煙など行っても1年4回以上といった頻回の急性増悪時、喀痰増加、急性増悪頻回、入院必要急性増悪時は、抗生剤予防投与も考慮するという案もある
draft update to the clinical guideline on diagnosing and managing COPD
National Institute for Health and Care Excellence. Guideline. Chronic obstructive pulmonary disease in over 16s: diagnosis and management. Draft for consultation, July 2018.
www. nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10026.



抗生剤使用制限の代わりに、外来でも厳しく監視するという・・・医療コスト上は削減にならない話・・・

”感染症状や臨床所見もないのに抗生剤投与を”急性増悪”ということだけで一律処方するような医療”を制限するという意味なら分かるが・・・

コーヒーの死亡率低下作用はカフェインによるものにあらず・・・ 脱カフェインコーヒー有効?



UK Biobank is a population-based study 

カフェイン代謝と関連するAHR、CYP1A2、CYP2A6、POR polymorphism genetic scoreとコーヒー5カップを超える大量飲用者での全原因死亡・各原因死亡率関連


 Association of Coffee Drinking With Mortality by Genetic Variation in Caffeine Metabolism Findings From the UK Biobank
JAMA Intern Med. Published online July 2, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.2425 https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2686145

920万名の住民ベース研究由来
平均年齢 57歳(range 38-73歳)、 女性 271,019名(54%)、コーヒー飲用 387,494(78.4%)

フォローアップ10年間において死亡 14,225

コーヒー飲用は全原因死亡と逆相関
参照として非飲用者を用い、1日1カップ未満、1カップ、2−3カップ、4−5カップ、6−7カップ、8カップ以上として  0.94 (95% CI, 0.88-1.01)、0.92 (95% CI, 0.87-0.97)、 0.88 (95% CI, 0.84-0.93)、 0.88 (95% CI, 0.83-0.93)、 0.84 (95% CI, 0.77-0.92)、  0.86 (95% CI, 0.77-0.95)





インスタント、豆をひいたコーヒー、脱カフェインコーヒーでも、主な死因横断的に同様の相関であり、遺伝的カフェイン代謝スコア関連無く相関あり
例えば、6カップ以上のハザード比は、  0.70 (95% CI, 0.53-0.94) 〜 0.92 (95% CI, 0.78-1.10)で、カフェイン代謝層別化横断的にeffect modificationのエビデンス認めず (P = .17 for heterogeneity)



でも、豆をひいたコーヒーでないとなぁ おいしくないもんなぁ

EMPA-REGサブ解析:冠動脈バイパス手術後症例での効果確認 腎症抑制効果も

冠動脈バイパス手術(CABG)後2型糖尿病患者で心血管死亡・全死亡・心不全入院・腎症発症・悪化に関するエンパグリフロジンの有用性明確に


EMPA-REG OUTCOME® trial のサブ解析

CABG病歴を有する患者は、このトライアルの内、エンパグリフロジン群 24%(1175/4687)、プラシーボ群(563/2333)に相当

Empagliflozin reduces cardiovascular events, mortality and renal events in participants with type 2 diabetes after coronary artery bypass graft surgery: subanalysis of the EMPA-REG OUTCOME® randomised trial
Diabetologia August 2018, Volume 61, Issue 8, pp 1712–1723


CABG病歴被検者中エンパグリフロジン群(vs プラシーボ)ハザード比
心血管死亡 0.52 (0.32, 0.84)
全原因死亡 0.57 (0.39, 0.83)
心不全入院 0.50 (0.32, 0.77)
腎症発生・悪化 0.65 (0.50, 0.84)

CABG手術病歴有無被検者間でも結果は一致  (p > 0.05 for treatment by subgroup interactions)









冠動脈バイパス手術後の2型糖尿病症例ではSGLT-2阻害剤主体の治療を念頭に置かねばならないだろう

2018年7月7日土曜日

冠動脈抗血小板DAPT: PPIは消化管出血予防効果は高いが、機能上HTRPへの影響懸念される

dual antiplatelet therapy (DAPT)の消化管出血リスク

PPI vs H2RAsの対比で、DAPTによる副作用や血栓リスク、抗血小板機能を比較
PPIは消化管出血予防効果は高いが、機能上HTRPへの影響懸念される



クロピドグレルは肝臓内でcytochrome P450、主に 3A4,2C19で代謝され活性代謝産物となり、P2Y12 ADP1受容体へ不可逆的結合をし、血小板凝集を阻害するわけだが、内因性・外因性要素がhigh on-treatment platelet reactivity (HTPR))に関係。プラスグレルでも〜27%ほど影響。



DAPT(dual anti-platelet therapy)を行っても、死亡率リスクと関連するステント血栓を生じ、クロピドグレルの個体毎反応の違いばらつきが大きい。
high on-treatment platelet reactivity (HTPR))は4−46%とばらつきが大きいものの報告されている。HTPRとPCI時の虚血性イベントの関連性に関心が向けられている。
クロピドグレルは選択的・不可逆的にP2Y12-ADP受容体を阻害する。肝cytochrome P450により不活性pro-drugはactiveな代謝産物となり2つの酸化過程が必要。しかし、〜85%はエラスターゼ水酸化され不活性となり、〜15%が代謝されP2Y12受容体へ作用する。prasugrelも同じメカニズム作用機序で、肝内酸化過程を1つ必要で、CYP450 2C19多型依存性は少ない。ticagrelorは非thienopyridine可逆的P2Y12受容体拮抗剤で、代謝過程での抵抗性少ないとされる

 The optimal definition of resistance or non-responsiveness to any antiplatelet agent should be the failure of the antiplatelet agent to inhibit the target of its action 

 クロピドグレルの血小板機能検査一覧



https://www.heartlungcirc.org/article/S1443-9506(11)01192-9/fulltext





H2 Receptor Antagonists versus Proton Pump Inhibitors in Patients on Dual Antiplatelet Therapy for Coronary Artery Disease: A Systematic Review
Cardiology 2018;140:115–123
https://doi.org/10.1159/000489165
https://www.karger.com/Article/FullText/489165



2つの臨床項目(消化管出血合併症、MACE)と1つの検査項目アウトカム(high on-treatment platelet reactivity (HTPR))で比較


研究館heterogeneityは3アウトカム全部で低い (I2 = 0%, p > 0.05 for all)


メタアナリシス fixed effectから、PPIsの方がH2RAsより消化管出血予防に関して優越 (OR 0.28, 95% CI 0.17–0.48)

HTPRリスク高い  (OR 1.28, 95% CI 1.030–1.60) が、MACE発生増加を伴わない  (OR 0.99, 95% CI 0.55–1.77)



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note