2013年10月24日木曜日

IGT・糖尿病でない場合でも、高血糖は記憶能力低下させ、海馬微小構造異常をもたらす

糖尿病や糖代謝異常(IGT)でない高齢者といっても平均60歳代、少なくとも、この世代では、高血糖は記憶機能低下、海馬の容積減少・微小構造変化による変化をもたらす。

血糖低値保持は、認知機能温存することになる。


Higher glucose levels associated with lower memory and reduced hippocampal microstructure
Lucia Kerti,  et. al.
Published online before print October 23, 2013, 
doi: 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee
Neurology 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee

目的: 横断研究にて、高HbA1c高いほど、血糖レベルが高いほど、記憶パフォーマンスや海馬容積・微小構造へ悪影響を与えるか明らかにするため認知症無しの健康・高齢・非糖尿病対象で検討 
方法: 141 名 (女性 72 , 平均年齢 63.1 歳 ± 6.9 SD)、記憶は、 Rey Auditory Verbal Learning Testで評価。空腹時HbA1c、血糖、インスリン、3テスラーMRIスキャンを行い、海馬容積、灰白質barrier密度評価微小構造評価のため施行。線形回帰・simple mediationモデルで記憶、糖代謝、海馬パラメータの関連性検討。 
結果: HbA1c、血糖低いほど、有意に、遅延想起機能、学習能力、記憶固着能力は良好。
多変量解析モデルにて、HbA1cは、記憶パフォーマンスとの相関性保持。
さらに、mediation解析にて、低HbA1cの記憶機能へのベネフィット効果は、海馬容積・微小構造変化に起因するものと考えられた。 
結論: この結果から、2型糖尿病・糖代謝異常なくても、高血糖が認知機能へ悪影響を与え、特に学習関連領域での脳の構造変化を介しての変化をもたらすことが明らかになった。
故に、戦略的には、正常範囲でも、可能な限り低血糖維持することで、高齢者の認知機能へ好影響をもたらすこととなる。この仮説は介入トライアルで確認されるべき。

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