乳房密度の高い場合・家族歴のある40歳での乳がん検診スタートがリスク・ベネフィットバランスで受容できるかもしれない
現時点では、50歳から70歳でのマンモグラフィー検診スタートがすべてのガイドラインでは推奨されているが、40代での推奨が課題である。
その中で、40代開始検診のモダリティーや特性に基づく有害性・有益性検討。
"Tipping the balance of benefits and harms to favor screening mammography starting at age 40 years: a comparative modeling study of risk"
Ann Intern Med 2012; 156: 609-617.
Van Ravesteyn NT, et al
http://www.annals.org/content/156/9/609.abstract
40-49歳検診開始は、隔年検診マンモグラフィーの有害性/有益性比は、50-74歳の平均リスクの2倍。有害性/有益性比として望まれる閾値リスク比は検診方法、間隔、アウトカム測定にてばらつきがある。
Van Ravesteyn NT, et al "Tipping the balance of benefits and harms to favor screening mammography starting at age 40 years: a comparative modeling study of risk" Ann Intern Med 2012; 156: 609-617.
http://www.annals.org/content/156/9/609.abstract
モデリング比較研究
マンモグラフィーを40歳、50歳開始比較
フィルム・デジタル、検診間隔(毎年、隔年)
アウトカム比較:
・有益性 生存年数の延長(Life Years Gained)、乳がん回避数
・有害性 マンモグラフィー偽陽性所見
・harm–benefit 比: 偽陽性数/生存年数増加分、偽陽性/死亡回避
検診平均リスクは、50-74歳・隔年は、デジタルマンモグラフィー各園40歳開始と同様の偽陽性数/生存年数増加分だが、平均の2倍のリスクを示す (median threshold RR, 1.9 [range across models, 1.5 to 4.4])
偽陽性数/死亡回避数を、偽陽性/生存年数増加分のアウトカムと代替比較した場合、デジタルマンモグラフィー毎年検診の閾値RRは高い (median, 4.3 [range, 3.3 to 10]) 。
フィルムマンモグラフィーのharm-benefit比は、偽陽性率が低いため、デジタルマンモグラフィーより良好
50-70歳代、2年毎乳がん検診で、1000名あたり
・ 乳がん死亡回避 6.340歳で検診を行うと、偽陽性/生存年数延長比 8.3倍となり、乳がんリスク1.9倍
・ 生存年数増加 109年
・ 883の偽陽性検査
“毎年検診&デジタルマンモグラフィー”は、偽陽性数増加という意味で、有害性増加。
この戦略でのリスク/ベネフィットは50-74歳代の隔年検診と同様。
40代の閾値リスクは、平均と比較して、
・フィルムマンモグラフィー 隔年検診 1.6倍相対リスクは以下で増加
・デジタルマンモグラフィー 隔年検診 1.9倍
・フィルムマンモグラフィー 毎年検診 3.3倍
・デジタルマンモグラフィー 毎年検診 4.3倍
・ 乳がん1st degree relativesあり 相対リスク 1人 2.14、 2人 3.84、3人以上 12.05
・ 若年乳がん 40歳未満 相対リスク 3.0
・ dense breast (BI-RADS カテゴリー (2との比較) 3 相対リスク 1.62、 4 相対リスク 2.04)
・ 生検の陰性結果既往 相対リスク 1.87
日本版BI-RADS とオリジナルBI-RADS の相違点と問題点
http://www.jabcs.jp/pages/b_number/no_15/no_15_02_02_07.html
米国予防医学専門委員会による乳がん検診推奨に対する日本乳がん検診学会の見解 http://www.jabcs.jp/pages/uspfts.html
2009年11月、米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force, USPSTF)は、それまで「40歳以上の女性に対して、マンモグラフィを用いた乳がん検診の1~2年に1回の受診を推奨する」としていた推奨(グレード B)を、「40歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」という推奨(グレードC)を発表しました。(そ の後、推奨の表現は「50歳未満の定期的なマンモグラフィ検診を行うにあたっては、対象者個人ごとの利益と不利益に関する価値判断を考慮すべき」と修正さ れていますが、推奨グレードCの判断自体は変わっていません。)
日本では、いまだに30歳代での乳がん検診が平然と行われている。
原発問題と同根のものを感じるが、検診実施団体や行政が混在して、それまでの行政の軌道修正が働かない日本の行政・・・
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