2012年7月10日火曜日

がん終末期:最終週QOL決定要素は大多数不明 ICU・病院死・チューブ栄養は負の要素、宗教的配慮必要

日本の場合は、一般的にも、医療関係者も、EOLといえば、癌しか、その認識はないのだろうか?
それぞれの事情があるのだろうが、一般論として、根本的治療不能な患者さんで、血圧低下に昇圧剤投与するという意味はどれほどあるのだろう?それが”キリスト教精神の下に患者さん中心の診療と看護を実践している”はずの高名な病院であるが故に、疑問を感じてしまう。


この論文は、“がん”終末期の最終週患者QOLに関わる要素を検討した報告。


QOLアウトカム設定といっても、最後の瞬間を、最後の数分を、最後の数時間を、最後の数日を、最後の1週間を、最後の数週間を、最後の1年間をそのアウトカムにすべきなのか・・・すら、議論のあるところだろう。周囲とのコミュニケーション、特に、親族・友人達とコミュニケーションのとれる最後の瞬間、最後の数分・・・が大事と思うことが多い。

この報告の結論は、QOLを決定する因子のほとんどは不明というもの

ICU&チューブ栄養という事態は、QOL悪化要素である。


Factors Important to Patients' Quality of Life at the End of Life ONLINE FIRST
Baohui Zhang, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-10. doi:10.1001/archinternmed.2012.2364


がんで死が迫っている患者で治癒的治療が既に既に無い場合、ケアの焦点は延命よりQOL促進に移る。進行状況において、終末期(EOLI)でのより良好なQOL予測データは少ない。
この研究の目的は、EOLに於けるQOLに最も多く影響を与える要素を決定する目的にで、EOLのQOL促進介入目的のターゲット同定をめざすもの


396名の進行期がん患者の米国多施設前向き長軸コホート(2002年9月1日から2008年2月28日まで)。登録から死亡までの期間中央値は4.1ヶ月。
死亡最終週の患者QOLをプライマリアウトカムとする。


9セットの要素は、影響の方向性を示唆先行、重要度の順にランクづけで示し、患者QOLの主な影響の説明となる


1 = (−) 最終週のICU滞在(4.4%)
2 = (−) 病院死 (2.7%)
3 = (−) ベースラインの患者の心配事 (2.7%)
4 = (+) ベースラインの宗教的祈り、瞑想 (2.5%)
5 = 癌治療部位 (1.8%)
6 = (−) 最終週のチューブ栄養使用 (1.1%)
7 = (+) 病院・クリニック内のパストラルケア (1.0%)
8 = (−) 最終週化学療法 (0.8%)
9 = (+) ベースラインの患者・医師治療アライアンス (0.7%)

EOLのQOLに関わる大部分の因子は説明不能のままである。



Table 7. Percentage of Variance Explained in Patients' QOL at the EOL

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note