2013年7月19日金曜日

メンデルランダム化解析:血中尿酸値・高尿酸血症は、虚血性心疾患・高血圧と原因的関連性認めず、BMIが共役的役割を果たし観察研究結果に影響

高尿酸血症や尿酸値高値 が、心血管疾患の独立した寄与因子という表現をみるたび、なんだかなぁ・・・と思っている。単純に物事を断言する馬鹿の多いこと・・・


メンデルランダム化解析 mendelian randomisation analysisとは、対立形質が無作為に遺伝する仮定に基づく分子疫学的解析法で、当ブログでも何度も出現
この分析がありがたいのは、原因相関が明らかになることである。

解説
‘Mendelian randomization’: can genetic epidemiology contribute to understanding environmental determinants of disease
International Journal of Epidemiology 2003;32:1-22




特異的な遺伝子である、SLC2A9 (rs7442295)を尿酸評価インスツルメントとして、FTO (rs9939609), MC4R (rs17782313)、 TMEM18 (rs6548238)をBMIのインストルメントとして施行。

血中尿酸値と高尿酸血症ともに、虚血性心疾患、血圧との関連、BMIの内在的寄与関与検討。




Association of plasma uric acid with ischaemic heart disease and blood pressure: mendelian randomisation analysis of two large cohorts
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4262 (Published 18 July 2013)


【セッティング】 デンマークの2つの大規模前向きコホート

【被験者】尿酸値と、関連する共役変数を、58 072 名(Copenhagen General Population Study)と 10 602名(Copenhagen City Heart Study)
それぞれ、虚血性心疾患の4890、2282例含む

【主要アウトカム】血圧と虚血性心疾患評価

【結果】推計にて、既知事項である、血中尿酸値、高尿酸血症と、虚血性心疾患・拡張期血圧及び収縮期高血圧のリスクとの相関を確認。
しかし、尿酸・高尿酸血症genotype instrument使用時、尿酸と、虚血性心疾患、高血圧とのcausal associationを認めなかった。
BMIを観察的関連性内在寄与要素としての検討を遺伝的インスツルメンツ使用したところ、尿酸値とのcausal effect観察された。
BMI4単位増加毎、尿酸値 0.03 mmol/L(95% 信頼区間 0.02-0.04)増加し、高尿酸血症リスク7.5%(3.9%-11.1%)増加する

【結論】観察研究知見と反して、尿酸と虚血性心疾患あるいは高血圧との関連性に原因的関連性認めず。しかし、BMIと尿酸値、高尿酸血症リスクに関して原因相関性を認める。
この知見により、BMIと高尿酸血症が観察的相関において共役要素として働いていたことが強く示唆される。BMI増加・肥満が尿酸関連状態発症において役割を果たすことが示された。


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