本来、中年期の高血圧は心血管疾患リスク要素であるが、高齢においてはその関連性は明確でなくなってくる。一部研究では降圧剤は心血管リスク要素軽減効果乏しくなり、認知機能低下をもたらすのではないかと示唆もある。
高齢者において、長期的に降圧剤中止するにしても短期的効果を明らかにする必要があるため、この検討がなされたとのこと
Effect of Discontinuation of Antihypertensive Treatment in Elderly People on Cognitive Functioning
—the DANTE Study Leiden A Randomized Clinical Trial
Justine E. F. Moonen, et. al.
JAMA Intern Med. Published online August 24, 2015.
Importance 観察研究により、血圧低下は高齢者認知機能リスクを増加させることが示唆されている。高齢者は脳の自己調整障害のリスクを有し、高齢者の降圧作用は、脳血流や認知機能へ影響を及ぼす。
Objective 軽度認知機能障害を有する高齢者で降圧治療中止で認知機能、心理学的、全般機能改善をもたらすか評価
Design, Setting, and Participants コミュニティー・ベースのRCT・16週間フォローアップ時二重盲検アウトカム評価、オランダの28GP。
385名75歳以上軽度認知障害(MMSE 21−27)、重篤心血管疾患なし、降圧治療をDANTE研究(2011年6月25日〜2013年8月23日)で開始症例
ITT解析、2014年1月20日から4月11日
Interventions 降圧治療 中止 (n = 199) vs 継続 (n = 186) (割り付け比 , 1:1).
Main Outcomes and Measures 包括認知複合スコア、セカンダリアウトカムは、認知機能ドメインスコア、Geriatric Depression Scale–15, Apathy Scale, Groningen Activity Restriction Scale (functional status)、Cantril Ladder (quality of life)の変化
Results 対照(継続例)176名と比べ、介入群(中止例)180名では収縮期血圧 (差, 7.36 [3.02 to 11.69] mm Hg; P = .001)、拡張期血圧 (差, 2.63 [0.34 to 4.93] mm Hg; P = .03)増加
介入群と対照群の認知機能複合スコアに群間差 (95% CI) 認めない (0.01 [−0.14 to 0.16] vs −0.01 [−0.16 to 0.14]; 差, 0.02 [−0.19 to 0.23]; P = .84)
介入群と対照群差は、セカンダリアウトカムでも有意な差を認めない
3つの認知評価ドメイン (executive function, −0.07 [−0.29 to 0.15; P = .52], memory, 0.08 [−0.12 to 0.29; P = .43], psychomotor speed, −0.85 [−1.72 to 0.02; P = .06])、アパシー症状(0.17 [−0.65 to 0.99; P = .68])、うつ (0.14 [−0.20 to 0.48; P = .41])、機能 (−0.72 [−1.52 to 0.09; P = .08])、quality-of-life score (−0.09 [−0.34 to 0.16; P = .46])
副作用イベントは同等分布
Conclusions and Relevance 軽度認知障害高齢者において、降圧剤治療中断二より、16週間程度のフォローアップ評価では、認知機能、心理的、一般生活機能の改善をもたらさない
Trial Registration trialregister.nl Identifier: NTR2829
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