黒人は喘息有病率2倍、ER受診・入院発生率も2倍、死亡率も2−3倍という不均衡な高リスク群。喘息に抗コリン作動性薬剤が有効という報告も増加し、特に気道閉塞、脈拍低い症例などでは有効ではないかという示唆もある。また、黒人ではβ受容体の遺伝子多様性により副事象との関連性も報告されていた。
だが、今回の報告で、吸入ステロイド(ICS)治療中の黒人成人では、LABA追加と、チオトロピウム追加では、喘息急性増悪までの期間は変わらない。ADRB2のArg16gly locusの遺伝子多様性に影響されない。
The BELT Randomized Clinical Trial
Michael E. Wechsler, et. al. ; for the BELT Investigators
JAMA. 2015;314(16):1720-1730. doi:10.1001/jama.2015.13277.
【必要性】 LABAの有効性と安全性に疑念あり、黒人に対する不均等なLABAリスク存在する
【目的】 喘息黒人成人ICS使用者へのチオトロピウム vs LABAsの有効性・安全性比較
β2アドレナリン作動受容体(ADRB2)遺伝子のArg16Glyのアリル変異が治療反応性に影響を与えるかの検討
【デザイン・セッティング・被験者】 多施設(n = 20)、オープンラベル、並行群、プラグマティックランダム化臨床トライアル (2011年3月から2013年7月まで)、米国内中等度・重度喘息黒人被験者
【介入】 National Heart, Lung, and Blood Institute guidelineにおける step 3 もしくは 4で、治験登録可能、受け入れ可能な対象者
吸入ステロイド+
・チオトロピウム 1日1回 (n = 532)
・LABA 1日2回 (n = 538)
18ヶ月フォローアップ
genotypingを受けた患者では、ベースライン、1、6、12、18か月受診、月毎アンケート
【主要アウトカムと測定】
プライマリアウトカムは、急性増悪までの期間
悪化定義は、経口・非経口外ステロイド投与必要イベント
セカンダリアウトカムは、患者報告アウトカム:Asthma Quality of Life Questionnaire,
Asthma Control Questionnaire [ACQ]、 Asthma Symptom Utility Index, and Asthma Symptom-Free Days questionnaire)
+ スパイロメトリ (FEV1)、 rescue medication use、喘息悪化、副事象イベント
【結果】 LABA + ICS vs tiotropium + ICS において、初回急性増悪までの期間差、認めず
急性増悪/人年は、 0.42 vs 0.37 (発生率比 , 0.90 [95% CI, 0.73 to 1.11], log-rank P = 0.31)
FEV1 12か月で差認めず(0.003 L for LABA + ICS vs −0.018 L for tiotropium + ICS; 群間差, 0.020 [95% CI, −0.021 to 0.061], P = 0.33) 、18ヶ月時点でも同様 (−0.053 L vs −0.078 L; between-group difference, 0.025 [95% CI, −0.045 to 0.095], P = 0.49)
ACQスコアでは、18ヶ月時点で群間差認めず (ベースラインからの変化量 −0.68 for LABA + ICS vs −0.72 for tiotropium + ICS; between-group difference, 0.04 [95% CI, −0.18 to 0.27], P = 0.70)
他の患者報告アウトカムも群間差認めず
Arg16Gly ADRB2 alleleは、効果群間差に影響与えず (初回急性増悪までのハザード比 , 0.84 [95% CI, 0.47 to 1.51] for Arg/Arg vs 0.85 [95% CI, 0.63 to 1.15] for Arg/Gly or Gly/Gly, P = 0.97)
以上のトライアルの結果を日常臨床にどう結びつけるか・・・特に、日本人としては解釈困難だなぁ
必ずしも、スピリーバ・レスピマットの安全性は完全払拭されてない。
”スピリーバ=絶対的安全”ということではなく、悪vs悪の比較・・・と言わざるえないのでは・・・
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