現行喫煙は当然だろうが、喫煙既往でも気腫病変やair trappingが著明という状況で、正常とはいえない。疾患と呼んでいいのかもしれない。
Clinical and Radiologic Disease in Smokers With Normal Spirometry
Elizabeth A. Regan, et. al.; for the Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) Investigators
JAMA Intern Med. 2015;175(9):1539-1549. doi:10.1001/jamainternmed.2015.2735.
【序文】 スパイロメトリ上の気流制限がユニバーサルにCOPD決定に用いられている。現行・既往喫煙ではあるが気流制限のない場合疾患無しと見なされている。
【目的】COPDのスパイロメトリ上のクライテリア合致しない、現行・既往喫煙者での喫煙関連疾患(GOLD 0)の臨床的・レントゲン的な証拠を同定
【デザイン、セッティング、被験者】 Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) 横断研究、スパイロメトリ、胸部CTスキャン、6分間歩行距離、アンケート完遂。
被験者は米国内21サイト、ローカル居住区域から登録。
GOLD 0群(n= 4388)FEV1/FVC 0.7未満 及び FEV1 予測比 80%以上) を、GOLD 1群(n=794)、COPD群 (n=3690)、非喫煙者群(n=108)と比較
登録は2008年1月から開始、2011年7月までで終了。
【主要アウトカムと測定項目】 身体機能障害、呼吸器症状、CT異常、呼吸器系薬剤使用、呼吸特異的QOL減少
【結果】 呼吸関連障害1つ以上見つかったのGOLD 0群の54.1% (2375 of 4388)
GOLD 0では、QOL指標としてのSGRQ総スコア平均は非喫煙者に比較して悪化:17.0 [18.0] vs 3.8 [6.8] for the never smokers; P< 0.001)
同様6分間歩行距離低下
CT気腫・気道壁肥厚所見はGOLD 0の42.3% (127 of 300)
FEV1予測比%分布および平均は低値だが、一般住民正常範囲内
現行喫煙者は呼吸器症状増加と相関し、喫煙既往者の方が、より気腫・air trappingが多い。
加齢に応じて禁煙増加し、CT所見は増加する
呼吸障害を有する症例では、薬物治療使用尤度高く、薬剤使用は疾患増悪と相関する。
【結論と知見】 スパイロメトリCOPDでない喫煙者でも肺疾患・障害は存在する。
これらの知見を踏まえれば、3500万人の55歳超の米国内現行喫煙者・喫煙既往者で、疾患の存在障害の存在が認識されていないということになる。肺およびヒトへの慢性喫煙の影響は、スパイロメトリ単独では認識困難な状況である。
”Current smoking was associated with more respiratory
symptoms, but former smokers had greater emphysema and gas trapping.
”の後半記載間違いかなと思うくらい、ショッキング。たばこを吸いたくない、禁煙を思い立つほどの呼吸器症状の存在を意味しているのか?
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