2016年5月19日木曜日

テロメア病へのダナゾール治療

骨髄不全、肝硬変、肺線維症、ひいては癌感受性増加を引き起こすテロメア維持・補修に関する遺伝的異常。アンドロジェンが歴史的に骨髄不全に用いられているが、培養・動物モデルで性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子の発現を調整する・・・という序文


変な妄想広げないように・・・対象とされた患者像を示すと・・・
患者選択:年齢補正テロメア長 1パーセンタイル以下、テロメアのメンテナンス・修復関連遺伝子変異同定 or 血液異常(Hb 9.5 g/dL未満、血小板数 3万/mm3未満、好中球数 1000//mm3未満)、肺線維症のいずれかもしくは両者

最下段に疾患頻度推定される報告を掲げているが、家族性IPFの8-15%、sporadic IPFの1-3%、再生不良性貧血の3-5%程度の頻度と考えれる

この種の難病と思える疾患に、蛋白同化ホルモンで効果があったという・・・驚くべき報告


Danazol Treatment for Telomere Diseases
Danielle M. Townsley, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:1922-1931May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1515319

テロメア疾患の第1/2相前向き治験
ダナゾール800mg/日・経口投与24ヶ月間


telomere attrition加速減弱を目標、プライマリ有効性エンドポイントは、2年間観察年次減少率20%


27名登録後、プライマリエンドポイント評価可能12名患者全例でtelomere attrition減少認めたため、早期終了;ITT解析にて、 12/27(44%; 95% 信頼区間 [CI], 26 to 64)で既にプライマリ有効性エンドポイント合致



予想外なことに、ベースラインと比べ、24ヶ月目にはtelomereのゲインをほぼ全例認めた(11 / 12, 92%)


exploratory analysisにて、6ヶ月時点 (16 / 21 ; 平均増加, 175 bp [95% CI, 79 to 271]) 、12ヶ月時点(16 / 18 ; 平均増加,360 bp [95% CI, 209 to 512])で同様に増加認めた

血液学的反応として、3ヶ月  19 / 24  (79%) 、24ヶ月時点10 / 12 (83%)であり



ダナゾール既知副作用としての肝酵素レベル・筋肉クランプ(Grade 2以下 41%、33%)




テロメアは、repeated hexanucleotide:e (TTAGGG)nで、線状染色体 の終末に存在、テロメア機能としては、障害・感染DNA認識から染色体終末を防御する役割で、テロメラーゼ複合体によるテロメア修復は、分裂毎に遺伝素材 の避け得ない減少、すなわち"end replication problem"の解消にやくだつ。


テロメア疾患:

Telomere Diseases Rodrigo T. Calado, et. al.
N Engl J Med 2009; 361:2353-2365December 10, 2009DOI: 10.1056/NEJMra0903373












テロメア長とコモンな疾患の関連性
Telomere length and common disease: study design and analytical challenges
Hum Genet. 2015; 134(7): 679–689.




 Mutation Research/Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis
Volume 730, Issues 1–2, 1 February 2012, Pages 52–58
Telomeres and disease
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0027510711002892



特発性肺線維症の遺伝的リスク要素として、テロメラーゼ関連phynotypeがある
テロメラーゼは2つのコンポーネントとして、hTERTと: telomerase reverse transcriptase、 hTR:repeat addtionのためのtemplateを含む特異的RNA。
hTRは染色体3’末端へ(TTAGGG)nを追加するようhTR内でこのtemplateを使用。
細胞内でテロメラーゼは他の蛋白とholoenzymeを形成し、この生合成と安定性がX染色体DKC1遺伝子コードされているdyskerin蛋白に依存する









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