2018年5月29日火曜日

食事アンケート大集団調査の愚行(卵摂取量と心血管医ベント)

食事アンケート調査によりクリニカルアウトカムと結びつける報告多いが、Medpageで随分批判されている。まぁ似たような報告は多く、比例ハザードモデル解析だけで論評する講演経験しなんだか不満累積してたところで小気味が良い


「食事摂取回数と特定の健康アウトカムの影響研究なんて意味がありません。以下の論文を使って解説してみましょう」

I'll put it really plainly: Studies that use responses to a food-frequency questionnaire to link to some health outcome are not worth the paper they are printed on. And so let me use this recent egg study as an object lesson in the problems with dietary epidemiology research.

https://www.medpagetoday.com/blogs/themethodsman/73009

比例ハザードモデルといってもリスク補正十分されたとは言えない、社会・経済的背景を受け、味覚要素さえ影響を受ける。フォアグラ( foie gras)を食す人間と食さないのを比較して、この要素で生命予後や心血管疾患予後を推し量る愚とのこと


意訳をかなり含むが・・・
1)まず誰もランダムに食事を取ることなんてしない、例外は、評価家の2歳児で・・・、社会、経済、プラクティカル、味覚要素など食事の選択理由なんて様々。この単純な研究では多共役要素を補正してない。フォアグラの例・・・ 
2)卵はいろんな食品に含まれる。故に、この調査法だと信頼性が低い 
3)130を超える食品アイテム調査で、偶発的蓋然性、偽陽性確率が高くなる可能性指摘(日本のくだらない人間ドック商売と一緒でたくさん調べれば異常を検出する確率高くなり、医療商売に結びつきやすいのと同じ) 
4)130以上のアイテムに限定しているが、実際上はそれ以上の食品内容を摂取している。意図的な選択バイアスがかかっている。 
5)サンプル集団が大きい、50万もの調査の時は有意差示しやすい。多ければ多いほどよいというものではなく、普通の人間が一生涯関わりの無いイベント確率で杞憂しているようなもんだ。研究自体の意味が無い・・・

以下、その論文




Associations of egg consumption with cardiovascular disease in a cohort study of 0.5 million Chinese adults
BMJ, Heart
http://heart.bmj.com/content/heartjnl/early/2018/04/17/heartjnl-2017-312651.full.pdf

中国の異なる10地点、30−79歳500万名
層別化Cox比例ハザードモデル解析

ベースラインにおいて通常1日 0.76個、連日摂取13.1%、滅多に食べない群 9.1%(通常摂取 1日0.29個)
卵非摂食者に比べ、卵摂取はCVDリスク低下  (HR 0.89, 95% CI 0.87 to 0.92)

多変量補正HRs(95%CI) IHD 0.88 (0.84 to 0.93)、MCE 0.86 (0.76 to 0.97)、出血性卒中 0.74 (0.67 to 0.82)、虚血性卒中 0.90 (0.85 to 0.95)

全CVDエンドポイントにおいて、量依存相関認める 線形傾向 P< 0.05

連日卵摂取はCVD死亡リスク18%減少、出血性卒中死亡 28%減少


この絵の方がインパクトある



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