2018年6月22日金曜日
特発性肺線維症:制酸剤の生存率ベネフィット 研究バイアスに注意
IPFに関して制酸剤と鎮咳剤の推奨どうすれば良いのか日常管理上の課題の一つ
逆流性食道炎(GORD :oesophagealと表記のためGERDではない)と特発性肺線維症の関連示唆され、観察研究から制酸剤のベネフィット報告されるも、"immortal time bias"によりそのエビデンス打ち消された。故に、未だ不明。
The effect of anti-acid therapy on survival in idiopathic pulmonary fibrosis: a methodological review of observational studies
European Respiratory Journal 2018 51: 1800376; DOI: 10.1183/13993003.00376-2018
http://erj.ersjournals.com/content/51/6/1800376
10の観察研究、5つの研究中4つで、immortal time biasの影響を受けての制酸治療による死亡率へのベネフィット効果報告(pooled hazard ratio 0.46; 95% CI 0.30–0.69)、5番目ではバイアス関連不明
immortal time bias回避5研究では、制酸剤の死亡率への影響認めず (pooled hazard ratio 0.99; 95% CI 0.81–1.22)
Immortal time bias: 追跡中あるいは観察期間中において死亡が起きえない期間で、特にコホート研究において、登録時から薬物暴露開始までの期間には研究対象は必ず生存しており、疫学上の「Immortal time」期間となる。「Immortal time」を含めて解析すると、介入群の方が生存期間を長くカウントするバイアスを指摘。
COPDの吸入ステロイドに関するトライアルでintention-to-treat approachとaccording-to-treatment approachで前者0.75有意差有り、後者 0.94有意差無しとなる解離認め、暴露定義と暴露開始時期の定義再考必要となった。1−3回まで処方される期間は患者が生存してなければ処方されず、3回目の処方を暴露開始とカウントするなど考慮が必要とされた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/6/135_15-00006/_pdf
介入による効果がでないはずの時期に、介入機会を失うことが、効果判定にバイアスになる。故に、介入一定期間後での差で検定を・・・ということか?
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