2018年7月23日月曜日

COPD:末梢血テロメア長と臨床的アウトカムの関連性

Macrolide Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD (MACRO) studyからの研究で、テロメア長をいわゆる分裂寿命により生じた細胞老化はとくに“複製老化”の指標として使用し、複製サイクルによりテロメア長短縮化進行にともない、複製(Hayflick)上限に到達すると細胞老化 and/orアポトーシスの終了となる。COPDは酸化ストレス関連性であり、酸化ストレスでテロメア長短縮化を伴う

COPDに関して、健康状態、急性増悪、死亡率に関して、末梢血白血球テロメア長との関連、さらには、アジスロマイシン治療での影響を検討




Relationship of Absolute Telomere Length With Quality of Life, Exacerbations, and Mortality in COPD
CHEST journal
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.05.022
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(18)30803-1/abstract


背景
COPDは加齢関連疾患の一つ、COPDにおけるcellular senescence(細胞老化)の役割は明確ではない。この研究ではCOPD患者において末梢血白血球のテロメア長と、健康状態・急性増悪率・死亡率リスクに関する臨床的アウトカムの関連性を検討。


方法
定量的PCRを用い、血液サンプルからのDNA抽出絶対的テロメア長(aTL)を576名の中等度・重症COPD治療(azithrromycin vs placebo 12ヶ月間トライアル:Macrolide Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD (MACRO) study)
全被検者は約13ヶ月間フォローアップ、健康状態・急性増悪を細心確認し、付加的に29ヶ月死亡率確認
急性増悪率・死亡率をaTLにて2分割し、median valueをカットオフ値とした

結果
テロメア長短い場合は、健康状態( St. George’s Respiratory Questionnaire score)悪い (β = −0.09, P = .034)
研究プラシーボ群では、テロメア長長い群より短い群で、急性増悪率 (rate ratio, 1.50; 95% CI, 1.16-1.95; P = .002) 、死亡率リスク (hazard ratio, 9.45; 95% CI, 2.85-31.36; P = .015)高い
これらの差は、アジスロマイシン治療群では観察されない (interaction P = .008 for exacerbation and interaction P = .017 for mortality)



結論
これらデータから、複製老化(replicative senescence)がCOPDアウトカム予測に役立つことを示唆
より短い白血球テロメア長は、臨床的アウトカム不良なリスク増加症例同定のための臨床的なtranslatable biomarkerの可能性を示唆


健康対照者を用いてない研究デザイン上の限界、肺の病的所見と末梢血テロメア長の因果関係に関する議論・・・などなされている

そして、マクロライド系抗生剤の役割も筆者”discussion"にその意義明確には記載してない。ふしぎな文献というか・・・ 

In the azithromycin-treated patients, there were smaller differences according to telomere length that did not reach statistical significance (RR 0.89, P=0.46 for exacerbation; HR 0.31, P=0.181 for mortality).

「"複製老化”の影響を消し去った」とさせなかったのは分検査読者の意向か?

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