2018年7月24日火曜日

メトホルミン基本治療にSU剤単独変更はリスキー

世界的にはメトホルミン治療が第1選択で、第2選択としてスルフォニル尿素(SU)剤が使われるが、SU単独にswitchされてしまうことも多いようだ。
メトホルミンは心血管イベントリスク軽減、低血糖率低下と関連しており安全だが、add-onするとSU剤の低血糖悪化懸念などもあるようだ。


追加:メトホルミン→メトホルミン+SU剤
switch:メトホルミン→SU剤



Sulfonylureas as second line drugs in type 2 diabetes and the risk of cardiovascular and hypoglycaemic events: population based cohort study
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k2693 (Published 18 July 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k2693
https://www.bmj.com/content/362/bmj.k2693

住民基本コホート研究(UK Clinical Practice Research Datalink)
メトホルミン単独治療開始2型糖尿病患者(1998−2013)

主要アウトカム マッチ化1:1
メトホルミン単独維持に 追加 vs SU剤へswitch
高次propensity score、HbA1c、メトホルミン処方既往数
Cox比例ハザードモデルで、研究アウトカムの補正ハザード、95%信頼区間


【結果】メトホルミン治療開始者 77,138中、研究期間中 25,699名がSU剤追加あるいはswitch


フォローアップ 1.1年間において、SU剤は

  • 心筋梗塞リスク増加 (発生率 7.8 v 6.2 per 1000 人年, ハザード比 1.26, 95% 信頼区間 1.01 to 1.56)
  • 全原因死亡リスク増加 (27.3 v 21.5, 1.28, 1.15 to 1.44)
  • 重度低血糖  (5.5 v 0.7, 7.60, 4.64 to 12.44) 


以下リスク増加傾向

  • 虚血性卒中  (6.7 v 5.5, 1.24, 0.99 to 1.56)
  • 心血管死亡 (9.4 v 8.1, 1.18, 0.98 to 1.43)




SU剤追加に比べ、SU剤switch群は、以下リスク増加と関連

  • 心筋梗塞リスク増加   (ハザード比 1.51, 95% 信頼区間 1.03 to 2.24)
  • 全死亡率リスク増加 (1.23, 1.00 to 1.50)


虚血性卒中、心血管死亡、重度低血糖に差は認めず



【結論】 スルフォニル尿素(SU)剤が心筋梗塞、全原因死亡、重度低血糖リスク増加と関連
メトホルミンを継続するならSU剤はswitchingするより安全



SU剤の危険性は予想以上なのかもしれない

本文の結論とは異なる印象を持つ・・・SU剤はやはり死亡率を含む重大リスク増加をもたらしている。
ただ、本文認めSU剤の中身分からないため、SU剤全般なのかどうか不明


メトグルコ+DPP-4i+SGLT-2i処方患者でコントロール不良時GLP-1やインスリン投与拒否例に”アマリール後発”最小量0.5mgの半分(割線付きの薬剤がある)を追加することがある
転機にぶどう糖毒性解除できた例もあり、一概に、悪いとばかりは言えないと思いつつ・・・ 長期ではやはり控えるべきなのだろう


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