2019年3月5日火曜日

CKD stage 3以上:シュウ酸はCKD悪化・末期腎疾患への予後推定要素


  • 疑問:尿中シュウ酸排泄は患者の腎不全予後推定となるか?
  • 知見:CKD 3123名のコホート研究にて、尿中シュウ酸排泄高値は末期腎疾患(ESRD)の補正リスク37%増加
  • 意義:尿中シュウ酸排泄はCKD進展の独立したリスク要素





Association of Urinary Oxalate Excretion With the Risk of Chronic Kidney Disease Progression
Sushrut S. Waikar, et al.
JAMA Intern Med. Published online March 4, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2018.7980

序文  シュウ酸は腎で主に排泄する毒性の」ある終末代謝産物。シュウ酸腎症は既知の稀な遺伝的疾患合併症やenteric hyperoxaluriaとして知られているが、シュウ酸自体をCKDのより多い病型にも寄与要素として関与するかは不明であった

目的  尿中シュウ酸排泄がCKDから腎不全への急激進展リスク要素となるか評価

デザイン・セッティング・被検者 この前向きコホート研究でstage 2-4 、3123名、 Chronic Renal Insufficiency Cohort study(June 1, 2003, to September 30, 2008. )
データ解析は October 24, 2017, to June 17, 2018.


暴露介入:24時間表中シュウ酸分泌量

主要アウトカムと測定項目 eGFR50%減少、ESRD

結果  3123 名 (平均 [SD] 年齢, 59.1 [10.6] 歳; 女性 1414 [45.3%] ; 白人 1423 [45.6%] )

24時間採尿時の平均(SD)eGFRは42.9(16.8)mL / min / 1.73 m 2であった。

シュウ酸塩の尿中排泄中央値は18.6 mg / 24時間(四分位範囲[IQR]、12.9-25.7 mg / 24時間)であり、eGFRと逆相関し(r = -0.13、P <0 .001="" p="" r="0.22、P">
追跡期間22318人年の間に、752人がESRDに達し、940人がESRDの複合エンドポイントまたはeGFRの50%低下(CKD進行)に達した。


シュウ酸塩排出量の増加は、CKD進行とESRDの両方のリスクの増加と独立関連: 第1・5分位 (シュウ酸排泄量, <11 .5="" 1.04-1.70="" 1.09-1.93="" 1.33="" 1.45="" 95="" a="" ci="" mg="" p="">

シュウ酸排泄とCKD進行・ESRDの相関は非線型で、第3〜5・5分位 vs 第1〜2・5分位が閾値effect

シュウ酸排泄量 高値 vs 低値比較(40パーセンタイル)ではCKD進展リスク32%高値  (HR, 1.32; 95% CI, 1.13-1.53) 、ESRD 37%リスク高値  (HR, 1.37; 95% CI, 1.15-1.63)
競合イベントとして"死亡”を取り扱ったときも同様な結果

結論と知見:シュウ酸24時間尿中排泄高値は、CKD stage 2-4において、CKD進展とESRDのリスク要素となる


CKDの食事指導にシュウ酸の項目が加わることになるのだろう
https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/H25_Life_Diet_guidance_manual.pdf



今まで"シュウ酸”に対する注意喚起は尿路結石に関する指導の上なされていた
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0022/G0000634/0061

シュウ酸を多く含む食品として,葉菜類の野菜,タケノコ,紅茶,コーヒー,お茶(とくに玉露・抹茶),バナナ,チョコレート,ココア,ピーナッツ,アーモンドなどがある。 
シュウ酸を多く摂取しないための工夫
ゆでることと食べ合わせが重要である。シュウ酸は水溶性なので,ゆでることによって減らすことができる。ホウレンソウについては詳細に検討され,3 分間ゆでることでシュウ酸の除去量は37〜51%になること,おひたしにすると絞り汁の中に含まれるシュウ酸の約半分が喪失することが報告されている。また,食べ合わせについては,カルシウムと一緒に摂ることでシュウ酸の吸収を減らすことが報告されている。腸内でシュウ酸とカルシウムが結合し,吸収されずに便として排出される。また,特発性高カルシウム尿症に伴う再発性尿路結石患者でも,通常量のカルシウム摂取に加え,動物性蛋白質と塩分を控えることで結石の再発リスクを下げることができるとの報告がある。
逆に脂肪成分を多く含む食品の摂取により,脂質のうち吸収されずに腸内に残った脂肪酸とカルシウムが結合し,シュウ酸と結合すべきカルシウムが減少してしまうため,腸管からのシュウ酸の吸収が増加すると考えられ,注意をする必要がある。また,ラットでの検討だが,高カルシウム低脂肪ミルクは消化管からのシュウ酸の吸収を減少させ,結果的に尿中シュウ酸排泄を低下させたと報告されている。その一方で,魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は,健常人の尿中シュウ酸の排泄を低下させたとの報告もある。 
シュウ酸の直接の前駆体を多く含む食品
さらに直接シュウ酸を含む食品ではないが,摂取された後,代謝されることで内因性にシュウ酸が生じる場合も念頭に置く必要がある。シュウ酸の直接の前駆体であるグリオキシル酸は,植物に多く含まれるグリコール酸から細胞内小器官のペルオキシゾームで産生され,また,総タンパク質の30%を占めるコラーゲンの13%を構成するヒドロキシプロリンから,ミトコンドリアで産生される。産生されたグリオキシル酸の一部は,細胞質内の乳酸脱水素酵素(LDH)によりシュウ酸に代謝されるので,野菜やコラーゲンを含む食品の大量の摂取は,シュウ酸の過剰産生をまねく可能性があり,注意すべき点である。
以上より,シュウ酸を多く含む食品やその前駆体の大量摂取は控えたほうがよいと考えられる。その一方で,特にシュウ酸を最も多く含むとされる食品は,ホウレンソウなど栄養価の高いものも多いので,尿路結石症患者はこの点にも注意しつつ,再発予防の観点で食習慣や調理法を見直し,励行すべきであると考えられる。




患者さんの家族がネットでみつけたそうだが・・・
「文旦の皮を食べると血圧の薬に影響を与える」
自家栽培の文旦の皮を漬物にして食べてたそうで・・・
検索すると、その通り!
https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html

何かと問題ばかりが目立つネット情報だが、やはり重要な情報源であることは確かなようだ。

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