重症喘息では各種好酸球ターゲットBio治療、軽症でも、"BUD/FOR治療 as needed”という好酸球ターゲット療法への反撃?
Novel START Study:軽症喘息にも シムビコート as-needed治療
”喘息の半数は好酸球性炎症を有さない”・・・ことに注目
軽症持続型から吸入ステロイドを全例に使用することに関して異議が述べられた
42週間2重盲検交叉トライアル、12歳以上、軽症持続型、295名
モメタゾン、チオトロピウム、プラシーボ
患者を喀痰好酸球比率2%未満、2%以上でカテゴリー化
プライマリアウトカム:トライアル薬剤の一つへの事前設定弁別反応示した喀痰好酸球比率低値患者に於けるモメタゾン反応性をプラシーボとの比較、チオトロピウムとの比較
反応は、導入治療失敗・喘息コントロール日数、FEV1を含む階層化複合アウトカム: 両側P値が0.025未満の場合、統計的有意性とする
セカンダリアウトカム: 痰好酸球高比率と低比率患者における結果の比較
結論
軽症、持続性喘息の多くは喀痰好酸球レベル低く、この群では、モメタゾンもチオトロピウムも、プラシーボと有意な差を認めない。
データだと(喀痰)好酸球低値患者において他の治療と吸入ステロイドを比較する臨床的directive trialのequipoiseが必要という結論になる(Funded by the National Heart, Lung, and Blood Institute; SIENA ClinicalTrials .gov number, NCT02066298.)
Mometasone or Tiotropium in Mild Asthma with a Low Sputum Eosinophil Level
Stephen C. Lazarus, et al., for the National Heart, Lung, and Blood Institute AsthmaNet
N Engl. J. Med.
May 19, 2019
DOI: 10.1056/NEJMoa1814917
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1814917
患者の内好酸球比率低率は73%、59%はトライアル薬剤で弁別的反応
プラシーボに比較してモメタゾン、チオトロピウムも有意差認めず
弁別的反応を示した好酸球レベル低値患者においては、モメタゾン良好は57% (95% 信頼区間l [CI], 48 to 66) 、プラシーボ好反応は43% (95% CI, 34 to 52) P=0.14
一方チオトロピウムへの良好反応は 60% (95% CI, 51 to 68)で、プラシーボ 40% (95% CI, 32 to 49) より良好(p=0.029)
好酸球レベル高値患者群においては、モメタゾン反応性はプラシーボより良好 (74% vs 26%)だが、チオトロピウムの反応性は差認めず(57% vs 43%)
この試験では、主な結果は、試験薬に対して特異的に異なる反応を示した喀痰好酸球レベルが低い患者(<2%)において、プラセボと比較してモメタゾン、プラセボと比較してチオトロピウムに対する反応があった。治療の失敗、喘息の管理日数、および1秒の強制呼気量を組み込んだ階層的な複合的結果に従って、反応を決定した。
パネルAは、プラセボと比較した場合の、およびプラセボと比較した場合のチオトロピウムとの比較における、モメタゾンによる治療に対する予め特定された異なる反応を示す。少なくとも1つの試験期間中の反応が別の試験期間中の反応よりも良好にランク付けされた場合、患者は反応が異なると考えられた。モメタゾンとプラセボの比較では、患者の34%がモメタゾンを投与中に喘息管理が良好であり、25%がプラセボを投与中に管理が良好であり、21%が群間差なし、20%がデータなしで群間差なし。チオトロピウムとプラセボの比較では、チオトロピウムを投与している間に36%、プラセボを投与している間に24%に優れていた。22%には群間差がなく、18%に欠損があった。
パネルBは、試験薬剤に対して弁別的反応を示した患者間の主要転帰の統計的比較の結果を示し、0.025未満の2つのP値は統計的有意性を示す。プラセボよりもメタメタゾンに対してより良い反応を示した患者の割合(57%vs 43%、P = 0.14)またはプラセボよりチオトロピウムに対してより優れた反応を示した患者の割合(60)に、グループ間の有意差はありませんでした。
序文
喘息はheterogenousな疾患で多くの患者は現在治療で反応せず、多くの患者は現在利用可能な治療に対して許容可能な反応を示さず、そのほとんどは好酸球性炎症を標的としている。以前の研究で喘息患者の約半数が吸入グルココルチコイドに対する反応が乏しく、好酸球性気道炎症はubiqutousに存在しているわけではないということが分かってる。
2%以上の痰好酸球のパーセンテージを持つ患者とは対照的に、1秒間の強制呼気量(FEV1)は、吸入されたグルココルチコイドの使用で増加し、好酸球レベルが低い患者(したがって、好酸球レベルの2つのサブグループは、治療の必要性が異なる2つの異なる表現型の喘息を表す可能性がある。
ガイドラインでは、持続性喘息患者全員に吸入グルココルチコイドの使用を推奨している。約50%の患者で、軽度の持続性喘息は痰好酸球増加症と関連していない可能性があるので、これらの患者が吸入グルココルチコイドの恩恵を受けるかどうかを前向きに判断し、そうでない場合は代替治療を検討することが重要。長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)を用いた単剤療法の危険性がそれらの使用を除外したので、対照薬の安全な代替薬としてチオトロピウム、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)を考えた。
したがって、Steroids in Eosinophil Negative Asthma (SIENA) 試験では、患者のベースライン時の痰の好酸球レベルに従って、吸入グルココルチコイド(メメタゾン)とチオトロピウムをプラセボと比較した。
好酸球と関連しないとなると、Neutrophilic asthmaや Pauci-immune Phenotypeなど思いつくが・・・いずれも重症持続型喘息を念頭に置いた考え。確かにこれらの軽症例あって当然だが、それらの軽症例と考えて良いのだろうか?また別のphenotypeが紛れ込んでるのだろうか?
いずれにせよ、自覚症状ACT、客観的肺機能FEV1など改善する経過のうちに(喀痰好酸球と弱・中等度相関する)FeNO低値患者でも後から高値に変化する症例って結構多いんだけど、初診からFeNO低値でICSなど抗炎症治療せずってのも考えものだと思う
Gary W.K. Wong, MD( Chinese University of Hong Kong)のエディトリアル
将来軽症持続型喘息でもbiomarker-guided 治療の役割が大きくなると述べている。
"Larger trials with adequate power to detect all important asthma outcomes are needed to evaluate whether LAMAs would be an effective alternative for the treatment of persistent asthma in patients who do not have eosinophilic airway inflammation," Wong wrote.
軽症持続型喘息のphenotypeガイド治療のはじまり・・・
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