2019年10月15日火曜日

高齢者大うつ治療:SNRI副事象多し




Adverse Effects of Pharmacologic Treatments of Major Depression in Older Adults
Diana M. Sobieraj , et al.
Journal of the American Geriatrics Society
First published: 29 May 2019 https://doi.org/10.1111/jgs.15966
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jgs.15966

大うつ病性障害(MDD)中等症急性期(12週間未満)での19のRCT、2つの観察研究の検討
SSRIs、SNRIs、bupropion、mirtazapine、trazodone、vilazodone、vortioxetineを他の抗うつ薬、プラシーボ、非薬物治療と比較
測定:副事象、不整脈、認知障害、転倒、骨折、入院、死亡率、QTc延長、重大副事象、副事象による薬剤中止

SSRIは、対プラシーボにおいて全体的副事象イベント頻度同様( 中等度 エビデンス強度)
SNRIは、対プラシーボにおいてより、急性期治療官において全体的副事象イベント頻度を多く生じる(高 エビデンス強度)

SSRIもSNRIも対プラシーボにおいて、副事象理由薬剤中止研究が多い(SSRIs 低エビデンス強度、SNRIs 中等度エビデンス強度)

MDD急性期24週間、継続中、Duloxeine(サインバルタ)はプラシーボより転倒多い(中等度エビデンス強度)





高齢者抗うつ治療は難しい
高齢者のうつ病に対しても 抗うつ薬は効果を認めるが.75 歳以上の高齢者に対する臨床 試験の結果では,プラセボの改善率が高く実薬との有意差が 得られていない.このことは高齢になるにつれ心理社会的 要因に対するアプローチなど非薬物療法が重要になることを 意味する. 
三環系抗うつ薬は, SSRI と比較して抗コリン症状,眠気,めまい等が高率にみ られ,副作用による中止率も高い.このため,高齢発症のう つ病に対して三環系抗うつ薬の使用はできるかぎり控えるべ きである.このほか,痙攣,緑内障,前立腺肥大による排尿 障害などの身体症状がある場合,多くの抗うつ薬が慎重投与 となり,なかには使用禁忌のものがある.抗うつ薬は転倒リ スクも認めるが,三環系よりも SSRI,SNRI,そのほかの抗 うつ薬(mirtazapin, trazodone など)の方が転倒リスクはより高いとする報告もあることに留意すべきである.また SSRI は循環器系への影響が三環系抗うつ薬に比して軽いが, 消化管出血や脳出血のリスクを高めることが報告されてい る.出血の既往がある患者や出血をきたしやすい薬剤を使用 中の患者には注意が必要である.また SSRI 使用に際して は,薬剤代謝酵素チトクローム P450 の阻害による併用注意 あるいは禁忌薬剤に対する注意,突然の中止による離脱症状 や開始や増量時のアクチベイションシンドロームなどに注意 が必要である.食欲不振がみられるうつ状態の患者に sulpiride が使用されることがあるが,sulpiride は Parkinson 症状や遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状のリスクが あり,使用はできるかぎり控えるべきである.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/3/34_155/_pdf/-char/ja

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