2019年1月29日火曜日

SPRINT:強化降圧治療は認知症予防に役立つか?

惜しい、実に惜しい


Effect of Intensive vs Standard Blood Pressure Control on Probable Dementia
A Randomized Clinical Trial
The SPRINT MIND Investigators for the SPRINT Research Group
JAMA. Published online January 28, 2019.
doi:10.1001/jama.2018.21442


意義:  軽度認知機能障害(MCI)と認知症リスクを軽減する現在明確な治療法はない

目的:認知症リスクに対する強化降圧治療の効果評価

デザイン・セッティング・被検者:RCT 米国とプエルトリコの102ヶ所、50歳以上高血圧、糖尿病・卒中既往無し。2010年11月8日ランダム化開始。トライアルはプライマリアウトカム(心血管イベント)と全死亡率のベネフィット判明のため2015年8月20日早期中断。フォローアップ最終データは2018年6月22日まで

介入:収縮期血圧< 120 mm Hg目標(強化治療群 n=4678)と < 140 mm Hg目標(標準治療群 n=4684)

主要アウトカムと測定項目:プライマリ認知アウトカム:認知症確定診断補正発生率、セカンダリアウトカム:MCI補正発生率とMCIと認知症確定診断組み合わせ発生率

結果 9361名(平均年齢 67.9歳、女性 3332名(35.6%)をランダム化、8563名(91.5%)1年以上のフォローアップ認知機能評価施行
介入中央期間 3.34年間
フォローアップ中央値 5.11年間で、認知症確定診断補正発生は 強化群 149、標準治療群 176( 1千人年あたり 7.2 vs 8.6例:ハザード比 [HR] 0.83; 95% CI, 0.67-1.04)




強化血圧コントロール群ではMCI、MCI+認知症確定例ともに有意に減少
 1千人年あたり 14.6 vs 18.3 ; HR, 0.81; 95% CI, 0.69-0.95、 20.2 vs 24.1 ; HR, 0.85; 95% CI, 0.74-0.97


結論・知見:高血圧外来成人では血圧目標値を収縮期血圧 <120 mmHgとした方が 、目標< 140 mmHgより認知症確定診断リスクを有意に減少するという結果ではなかった。早期中断研究故認知症発生確率が少ないため、このエンドポイントに対しては検出パワー不足という結論

Trial Registration  ClinicalTrials.gov Identifier: NCT01206062





プライマリアウトカムで有意差なしのため、サブグループ差異など無視する結論

なかなか潔い

しかし、心血管疾患既往無しの場合惜しい気がする、他起立性低血圧のある場合とか・・・


この話とリンク?

Association of peripheral blood pressure with gray matter volume in 19- to 40-year-old adults
H. Lina Schaare, et al.
Neurology, First published January 23, 2019,
DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000006947

血圧 120/80 mm Hg超は、灰白質脳量と関連する。ちょっとした血圧増加でも無症候性の脳血管疾患から有症状:MCIや認知症、卒中などの病態生理カスケードに関与する




SPRINT

Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years
A Randomized Clinical Trial
Jeff D. Williamson, et al. ; for the SPRINT Research Group
JAMA. 2016;315(24):2673-2682. doi:10.1001/jama.2016.7050


https://kaigyoi.blogspot.com/2015/11/sprint.html

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