2020年5月22日金曜日

COVID-19剖検所見:DAD主体 中枢神経系関与少ない

COVID-19の剖検10例では、急性・器質化DAD(diffuse alveolar damage)が主な組織所見で、侵襲性人工呼吸使用有無に変わらず共通した所見

  • 門脈周囲のリンパ球浸潤は非特異的炎症形態だが存在する
  • 心筋・心外膜の病変は全身性炎症を示唆するのか、心筋炎を示唆するのかは不明
  • 中枢神経系病変は認めず


Postmortem Examination of Patients With COVID-19
Tina Schaller, et al.
JAMA. Published online May 21, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8907
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766557?guestAccessKey=7a571320-ff91-4834-bc1d-7542aa5dbe58&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=052120
May 21, 2020

研究方法
2020年4月4日から4月19日の間に、University Medical Center Augsburg (Germany)で死亡した重度の急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の患者に対して連続剖検。
検死は、 published best practiceに従って行われた。 肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胸水、脳脊髄液(CSF)からの検体評価。剖検鼻咽頭、期間、気管支swab、胸水、CSFでRT-PCRによるSARS-CoV-2検証

結果
死亡したCOVID-19の連続患者12人のうち、死後の検査は10人。 中央値の年齢は79歳(範囲、64-90歳) 7人の患者が男性 すべての症例は入院時に鼻咽頭綿棒によってSARS-CoV-2に陽性反応 入院から死亡までの期間の中央値は7.5日(範囲、1〜26日)
最も頻繁な初期症状には、発熱、咳、呼吸困難が含まれ、9人の患者では、主に中下の肺野における ground-glass opacityを呈する浸潤影が胸部X線で検出。
患者は併存疾患数中央値 4(範囲、0〜6)、心血管疾患が最多。
既存の構造肺損傷(例えば、肺気腫)は2人の患者に見られた。
解剖時または死亡前に中央血管で血栓塞栓性イベントは誰も無かった

侵襲性換気を受けていない6人の患者を含むすべての症例において、様々な病期を呈する(急性呼吸窮迫症候群の病理組織学的関連性がある)disseminated diffuse alveolar damageが主要な組織学的所見であった。diffuse alveolar damageは全肺葉で検出されたが、中下肺に不均一に優位分布。hyaline membrane形成を伴う滲出性早期急性diffuse alveolar damageの徴候、肺胞内浮腫、血管周囲リンパ・形質細胞浸潤を伴う肺胞隔壁肥厚が一致した所見。
器質化stageのdiffuse alveolar damageは、線維芽細胞増生を伴い、一部線維化し、肺胞細胞の過形成により間質性肥厚と肺胞の虚脱を生じることとリンパ球のpatchyな分布が主な所見

器質化diffuse alveolar damageの部分では反応性骨性・扁平上皮異形成も観られる

完全にできあがった線維化は患者1で顕著で、ほぼ完全に肺胞実勢栂破壊されている。
患者5では、軽度の好中球浸潤が観られ二次感染あるいは誤嚥の可能性示唆

患者4と2では、各々、軽度リンパ球性心筋炎:myocarditisとepicarditis徴候があり
感組織では微小な門脈周囲リンパ球形質細胞浸潤と線維化の徴候あり

他の器官には形態学的に検出可能な病理はなかった。

具体的には、脳炎や中枢神経系血管炎の徴候は見つからなかった。

解剖時に、SARS-CoV-2は依然としてすべての患者の気道で検出可能であった。
PCRは、胸水で陽性であったが、すべての脳脊髄液試料において陰性であった。


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この研究には、単一のセンターからの少数の症例や直接ウイルス臓器感染の証拠の欠落を含む制限がある。

COVID-19の肺組織学的特徴は、重症急性呼吸器症候群4および中東呼吸器症候群などの他のベタコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患で観察されたものに似ている。 



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