2020年7月31日金曜日

(スペイン)ANTESプログラム科学委員会:COPD診断治療変革の時(とのこと)

COPD診療の課題がいくつか明瞭になって良い論説になってると思う


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"COPDの診断と治療を先取りするために、スペインのいくつかのセンターは、ANTES(スペイン語で "Earlier")と名付けられた研究イニシアチブに協力することに合意しました。以下では、ANTESの戦略的目標を達成するための具体的な研究プロジェクトを開発するための5つの初期の作業領域について説明します。他の研究センターとの共同研究も歓迎します。"とのこと


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Time for a change: anticipating the diagnosis and treatment of COPD
Alvar Agusti, et al. on behalf of the Scientific Committee of the ANTES programme
European Respiratory Journal 2020 56: 2002104; 
DOI: 10.1183/13993003.02104-2020

質良好な疫学研究でCOPDと一致する気流制限を持つ被験者の30%近くが喫煙したことがないことが示されている

しかし、COPDの自然史と治療管理に関する今日のエビデンスの大部分は、ほとんどが喫煙に関連したCOPDに焦点を当てており、基本的に喫煙したことのない人のCOPDは無視されている。リスク因子や臨床症状が類似しているにもかかわらず、スピロメトリーが正常な被験者がいる。肺の発育障害もCOPDの発症に重要な役割を果たしている。診断されてない感じのアウトカムは不良で、COPD診断治療へ導く事で疾患burdenを減少することは個別的・集団的にもそのリスクを低下させることになるのかもしれない。

<img src="https://erj.ersjournals.com/content/erj/56/1/2002104/F1.large.jpg?width=800&height=600&carousel=1">


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<img src="https://erj.ersjournals.com/content/erj/56/1/2002104/F2.large.jpg?width=800&height=600&carousel=1">



オーストリアのLEADコホートにおける低肺機能(1秒間の強制呼気量(FEV1)が正常下限値(LLN)未満)の有病率と、多変量回帰分析によって同定された有意な関連因子のheatmap
オッズ比(青:最小OR(オッズ比)、赤:最大OR、白のセルは有意相関清雅な胃ことを示唆、NA:not available)



1) Improve COPD underdiagnosis
未診断率75%と推定、スパイロメトリー実施率が低い問題、新しい戦略(e.g. マイクロ・スパイロメトリ、ピークフローモニターの組み合わせ、スマートフォンマイクによる呼気音分析による肺機能推定、CTスキャンの利用、肺機能センターシステムなど)
2) Act earlier
「早期」COPDの概念:COPDは、タバコの煙やその他の汚染物質にさらされた50歳未満の被験者における慢性的な気流制限として、やや恣意的に定義されてきたが、はるかに若いヒトでは検出可能な構造的および機能的異常がある。若年層の患者やリスクのある対象者を探す努力をすべきである。学校、大学、および運転免許試験中に肺機能を検査する取り組みをANTESで実施中
3) Early therapeutic optimisation
軽度の気管支拡張薬の二重併用療法を軽度の気流制限を持つ患者に最初に使用することで、肺機能の悪化率が低下するというエビデンス。

RETHINC試験(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02867761)でさらに検討されており、気流制限のない症状のある喫煙者(FEV1/FVC >0.70)を対象に、dual気管支拡張とプラセボを比較中
 
早期治療の最適化戦略に伴う潜在的なリスクとベネフィットを明らかにするためには、この分野での他の実用的な実地試験が必要となる

4) Exacerbation zero
効果的な予防治療を開始するために、患者が2回以上の増悪を経験するまで待たなければならないのかという疑問(患者が苦しむまで治療を待つとも言える)ので、ANTESでは、もっと野心的に「増悪ゼロ」を目指す必要があると主張。従来の禁煙・身体活動促進・適切な食事・ワクチン接種と、薬理学的貢献の可能性としてICS投与があるが、将来リスク予測のためのスコアの準備不足と診断マーカー不足。バイオマーカーに基づくCOPD増悪定義再構築の試み

5) Improve survival
禁煙・ワクチン接種・定期的運動・適切な食事プログラムと共に低酸素血症への酸素投与、volume reduction surgery。心血管系リスク評価をすること。dual気管支拡張剤使用による心血管疾患併存患者への早期有効性評価が待たれる。長時間作用気管支拡張剤とICS併用による死亡リスク減少効果の可能性(UPLIFT、IMPACT、ETHOS研究など)



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最近、非喫煙者COPDに関して
  • Marfan syndromeやEhlers-Danlos syndromeなどの結合織疾患との関連
  • early-onset COPD:リスク要素として女性、母系COPD、アフリカ系アメリカ人(COPDGene study)
などが話題に上ることがある

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