前者は後顧的研究、後者はその時点でのシステマティック・レビュー
どちらも、フルチカゾンの対ブデソニド肺炎リスク増加の結論
前者は後顧的研究で重症ほどフルチカゾン使用されていた可能性もありバイアスリスクを除外できない限界がある。
後者の考察
今回の結果は、COPD患者における1日のICS投与量の増加に伴う肺炎リスクの増加を示した先行研究と一致している 。また、フルチカゾンと比較して、ブデソニドや他のICSの安全性・有効性プロファイルが良好であることを示した他の研究とも一致している 。これは、薬剤間の薬理学や薬物動態の違いによって説明できるかもしれない。フルチカゾンは、より高い親油性とより遅い溶解速度のために肺炎のリスクを増加させる可能性が示唆されている。しかし、もっともらしいメカニズムと投与量の調整にもかかわらず、フルチカゾンがより重症な患者では高用量で処方される可能性が高いことによる交絡を排除することはできない。
Early View Research letter
The Effect of Type and Dosage of Newly Prescribed Inhaled Corticosteroids on Obstructive Lung Disease and Pneumonia Hospitalisations in Older Individuals with Asthma, Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) or Both: A Retrospective Study of Health Administrative Data
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32703774/
Published online 2020 Nov 11. doi: 10.2147/COPD.S269637
PMCID: PMC7667513
PMID: 33204085
Intraclass Difference in Pneumonia Risk with Fluticasone and Budesonide in COPD: A Systematic Review of Evidence from Direct-Comparison Studies
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2020; 15: 2889–2900.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7667513/
結果
5件の研究(57,199例)の要約相対リスク(RR)比は1.13(95%CI:1.09-1.19)であり、フルチカゾン使用者の肺炎リスクはブデゾニド使用者と比較して13.5%上昇した。同様に、重篤な肺炎の要約RR比は、フルチカゾン使用者では、ブデゾニド使用者に比べて重篤な肺炎のリスクが14.4%増加した(プールRR:1.14、95%CI:1.09-1.20)。
解釈
COPDにおけるフルチカソンとブデソニド含有吸入薬の間には、肺炎のリスクに臨床的に重要なクラス内差があると考えられる。
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