2012年9月13日木曜日

米国百日咳流行は、無菌性百日咳ワクチンのための流行?

2010年カリフォルニアで生じた百日咳大流行は、 ジフテリア、破傷風、無菌性百日咳 (DTaP)ワクチン5回目接種うけた子供の免疫原性低下が原因でないかと報告。

whole-cellワクチンから無菌性ワクチンとなったための効果不充分なための流行


 Waning Protection after Fifth Dose of Acellular Pertussis Vaccine in Children
Nicola P. Klein, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1012-1019September 13, 2012
PCR assay確認比較

4-12歳、277名、百日咳PCR陽性 3318名と、マッチ化対照6086名

PCR陽性小児は、PCR陰性小児や、マッチ化対照と比較して、DTaP接種比率高かった (P<0 .001=".001" br="br">
PCR陰性対照比較でDTaP5回目摂取後示唆したオッズ比は 1.42 (95% confidence interval, 1.21 to 1.66)、百日咳感染オッズは平均で42%増加


一方日本では、百日咳流行詐欺が...
 百日咳集団感染疑い事例における起因病原体の検索
(Vol. 32 p. 234-236: 2011年8月号)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/378/kj3781.html

“単回抗体高値だけで診断する愚” が日本国中、蔓延っている

PTEN遺伝子変異:肥満となるが、糖尿病は生じにくい

オックスフォード大学の研究者がPTEN遺伝子変異患者は有意にインスリン抵抗性低下を示すことを示した。この遺伝子は、一方では、肥満を引き起こしやすいという矛盾した内容をしめす。


PTEN変異、haploinsufficiency(ハプロ不全;一対の相同染色体の一方の遺伝子の不活性化で起こる表現型の変異)は単遺伝子的に、インスリン感受性と関連し、肥満原因となり、PTEN変異のdivergent effect、すなわち、肥満リスク増加・がんリスク増加するも、インスリン感受性亢進し2型糖尿病になりにくい状況となる影響をもたらす。

PTEN Mutations as a Cause of Constitutive Insulin Sensitivity and Obesity
Aparna Pal, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1002-1011September 13, 2012

疫学的・遺伝的エビデンスで、2型糖尿病、肥満、がんは、関連性を認める。
tumor-suppressor phosphatase と、tensin homologue (PTEN)は、細胞増殖、代謝シグナルに役割を果たす。
Germline PTEN遺伝子が、がんになりやすい体質(cancer-predisposition syndrome)の原因となり、ヒトPTEN haploinsufficiencyの影響傾向の検討。

PTEN変異の患者はインスリン抵抗性は対照群比較で低い (e.g., mean fasting plasma insulin level, 29 pmol per liter [range, 9 to 99] vs. 74 pmol per liter [range, 22 to 185]; P=0.001)
この知見は抗インスリン等糖クランピングで確認され、インスリン注入率は、キャリアで対照群の2倍(P=0.009)
インスリン感受性はPI3K-AKT経路を介してのインスリンシグナル化促進にて説明でき、AKT リン酸化増加がその証拠である。
PTEN変異キャリアは、住民ベースの対照群比較で肥満 (mean body-mass index [the weight in kilograms divided by the square of the height in meters], 32 [range, 23 to 42] vs. 26 [range, 15 to 48]; P<0 .001=".001" br="br">body massの増加は主に蓄積した脂肪であり、脂肪分布に関連しない。


あらゆる遺伝的要素が、“肥満、がん、糖尿病”に、同一方向に働くわけではない。メタボ原理主義の人たちって 、遺伝子要素だけで無く、環境要素まで、同一方向と信じ込んでるのではないかと感じる表現を用いることがある。なんだかなぁ・・・



2012年9月12日水曜日

システマティック・レビュー:ω3多価不飽和脂肪酸は死亡率・心血管系リスク減少と関連せず

ω3不飽和脂肪酸(DHA、EPA) 二次予防効果に疑問 2012年4月10日

当たり前だが、上記報告と類似した結果となっている。

ω3PUFA(多価不飽和脂肪酸)は包括的な死亡率、心原因死亡、突然死、心筋梗塞、卒中リスク低下と、相対的・絶対的相関としても関連せず。

Association Between Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Risk of Major Cardiovascular Disease Events:  A Systematic Review and Meta-analysis  
Evangelos C. Rizos, et. al.
JAMA. 2012;308(10):1024 doi:10.1001/2012.jama.11374

ω3効果ランダム化臨床トライアル

3635を検討後、20研究68680名分、死亡7044、心原因死亡 3993、突然死 1150、心筋梗塞 1837、卒中 1490を検討


全原因死亡 (RR, 0.96; 95% CI, 0.91 ~ 1.02; risk reduction [RD] −0.004, 95% CI, −0.01 ~ 0.02)、心臓突然死 (RR, 0.91; 95% CI, 0.85 ~ 0.98; RD, −0.01; 95% CI, −0.02 ~ 0.00)、突然死 (RR, 0.87; 95% CI, 0.75 ~ 1.01; RD, −0.003; 95% CI, −0.012 ~ 0.006)、心筋梗塞 (RR, 0.89; 95% CI, 0.76 ~ 1.04; RD, −0.002; 95% CI, −0.007 ~ 0.002)、卒中(RR, 1.05; 95% CI, 0.93 ~ 1.18; RD, 0.001; 95% CI, −0.002 ~ 0.004)



血中長鎖n-3不飽和脂肪酸値と心房細動発症 2012年2月2日では、血中DHA値のみが関連するという報告。

軽症・中等症喘息の吸入ステロイド量補正:医師主導 vs 自覚症状ベース 、NO濃度ベース比較

シムビコートのSMART療法認可のため、にわかに騒がしくなっている自覚症状に基づく患者主導型の吸入ステロイド量補正。患者自身がこの治療法の本質を理解せず、自己評価のゆがみが存在するとしたらかなり危険な治療方法となる可能性があると思う。


軽症・中等症喘息患者において吸入ステロイドの補正をいかにして行うかがテーマの論文


医師評価の基づく方法、自覚書状に基づく方法、バイオマーカーに基づく方法の比較

自覚症状に基づく補正法(SBA)は、アルブテロール2吸入使用毎に低用量ベクロメサゾン(ベクロメサゾンHFA40μg/パフ)を2回吸入服用する指導である。

結論は、何れの方法でも、治療失敗比率で比較すると、医師主導的用量設定治療法を上回ることはなかったというもの

Comparison of Physician-, Biomarker-, and Symptom-Based Strategies for Adjustment of Inhaled Corticosteroid Therapy in Adults With Asthma:  The BASALT Randomized Controlled Trial  
William J. Calhoun, et. al.; for the Asthma Clinical Research Network of the National Heart, Lung, and Blood Institute
JAMA. 2012;308(10):987 doi:10.1001/2012.jama.10893

【序文】喘息患者の吸入ステロイド治療補正のためのコンセンサスは存在せず。アプローチは、医師の喘息コントロール評価ガイドに基づく外来受診補正か、呼気NOに基づくか、日々の症状ガイドベースに基づくかである。

【目的】成人軽症・中等症喘息成人の治療失敗防止のため、呼気NOベース、あるいは日々症状にもとづくかで吸入ステロイド補正を決定することがガイドラインのインフォームドコンセント、医師評価ベース補正より勝るかどうかを決定すること
【デザイン・設定・被験者】ランダム化平行3群プラシーボ対照化multiply-blinded trial、342名の軽症・中等症喘息、低用量吸入ステロイドコントロール患者

・医師評価に基づくベース補正 (n = 114  [101 completed])
・バイオマーカーに基づく補正(n = 115  [92 completed])
・症状に基づく補正(n = 113  [97 completed])

Best Adjustment Strategy for Asthma in the Long Term (BASALT) トライアルは、10の米国内の学術医療センターからなるAsthma Clinical Research Networkで、2007年6月から2010年7月の間の9ヶ月間行われた。

【介入】医師評価ベース、バイオマーカーベース補正に関しては吸入ステロイド量を6週間毎補正
症状に基づく補正では、吸入ステロイドを各アルブテロールrescue使用実態により補正

【主要アウトカム測定】プライマリアウトカムは治療失敗までの期間

【結果】治療失敗までの期間に有意差無し
9ヶ月Kaplan-Meier治療失敗率は、医師評価補正 22% (97.5% CI, 14%-33%; 24 events)、バイオマーカーに基づく補正 20% (97.5% CI, 13%-30%; 21 events)、 症状に基づく補正 15% (97.5% CI, 9%-25%; 16 events)
医師評価に基づく補正 vs バイオマーカーに基づく補正比較ハザード比は 1.2 (97.5% CI, 0.6-2.3)
医師評価に基づく補正 vs 症状に基づく補正は 1.6 (97.5% CI, 0.8-3.3)


【結論】 治療失敗までの期間を評価指標とした場合、低用量吸入ステロイド治療コントロール状態の、軽症から中等症持続喘息成人において、バイオマーカーや症状に基づく吸入ステロイド使用量の補正は、医師評価に基づく使用量補正に比べ優越性は認めない。


治療失敗までの期間



処方吸入量 



シーズン毎治療失敗
 医師評価補正 (PABA)、症状ベース補正(SBA)、バイオマーカー補正 (BBA)





(コメントを一部訳)

喘 息の状況に応じてコントローラー量を補正するわけだが、その補正方法として、医師がそれまでのコントロール状況を判断して医師主導で行う方法、バイオマー カー(呼気NOベース濃度、それ以外に、喀痰好酸球数、メサコリン過敏性なども存在するが非現実的)に基づく補正法、そして、自覚症状に基づく補正戦略。

自覚症状に基づく方法は単純であり、患者の権限にゆだねる方法である。しかしながら、この方法での治療adherence改善に関して厳格なモニター化トライアルでは検証されてないことが問題点である。

今 回の報告であるBASALT被験者より軽症の喘息を相手にした、Improving Asthma Control Trial (IMPACT)( N Engl J Med. 2005;352(15):1519-1528)では、症状ベース治療ガイド下の短期間欠的吸入ステロイド治療の有効性が示された。

Beclomethasone plus Salbutamol Treatment (BEST)研究(N Engl J Med. 2007;356(20):2040-2052)は、ベクロメサゾン+アルブテロール併用によるas-needed併用療法が、アル ブテロール単独as-neededより、また、ベクロメサゾン+アルブテロールas-neededより優れていることが示された。

O'Byrne らは、このJAMAの報告より重症例での検討だが、計画化治療単独より自覚症状ベースにフォルメテロール・ブデソニド合剤使用の方が維持・自覚症状軽減に 効果があることを示している(Am J Respir Crit Care Med. 2005;171(2):129-136)。



2012年9月11日火曜日

マリファナ使用歴は、非セミノーマ型精巣胚細胞腫瘍リスク2倍へ


Population-based case-control study of recreational drug use and testis cancer risk confirms an association between marijuana use and nonseminoma risk
John Charles A. Lacson et. al.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.27554/abstract

非使用者に比べ、マリファナ使用歴ある場合、2倍リスク(OR, 1.94; 95% CI, 1.02-3.68)で、コカイン使用歴の場合は負の相関(OR, 0.54; 95% CI, 0.32-0.91)

主要組織型層別化により非セミノーマ・混合型組織腫瘍との相関性認める (OR, 2.42; 95% CI, 1.08-5.42)


何らかの活性化成分が、悪性腫瘍と関連しているのではないかという考察

慢性疼痛(腰背部、クビ、変形性関節、慢性頭痛)への鍼の効果:システマティック・レビュー

鍼は慢性疼痛治療に有効で、故に、合理的考慮オプションである。ホントの鍼と偽の鍼に有意差はプラシーボより大きい。しかし、この差は比較的軽度で、needlingの特異的な効果が鍼の治療効果に寄与していることが判明した。

Acupuncture for Chronic Pain:  Individual Patient Data Meta-analysis
Andrew J. Vickers, DPhil, et. al.
for the Acupuncture Trialists' Collaboration
Arch Intern Med. Published online September 10, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.3654 

部位隠蔽が一義的に適切である、慢性疼痛へのRCTのシステマティック・レビュー
29/31使用、17922名の患者解析

登録RCTの一次解析にて、鍼は、sham及び非鍼対照群に比べ、どの疼痛に対しても優れていた (P < .001 for all comparisons)
鍼が極端に優れているというRCT除外後、effect sizeは疼痛条件横断的に同等。

鍼の疼痛軽減を訴える患者のスコアは、背部痛、頚部痛、変形性関節痛、慢性頭痛で、sham対照より、それぞれ 0.23 (95% CI, 0.13-0.33)、 0.16 (95% CI, 0.07-0.25)、 0.15 (95% CI, 0.07-0.24)SD となり、非鍼比較のeffect sizeはそれぞれ、0.55 (95% CI, 0.51-0.58)、 0.57 (95% CI, 0.50-0.64)、 0.42 (95% CI, 0.37-0.46) SD

これらの結果は感度分析のばらつきがあり、出版バイアスと関連する。

鍼の治療効果は明瞭だが、その程度は比較的軽度という結論。


最近、鍼に関しては、それなりにまとまった報告で、COPDでの運動耐容能・労作性呼吸困難改善が示されている。
COPD:鍼で、運動耐容能、労作性呼吸苦改善 2012年 05月16日



運動療法や認知行動療法などとの効果的な組み合わせ、薬物療法との組み合わせなど統合的な取り組みが必要なのかもしれない。


鍼の効果研究は、プラシーボ効果との戦い。sham-鍼、鍼施行無しとの比較必要。
鍼治療のクリティカル分析 2006年 01月 24日
、鍼はまだ議論の多い段階である。有益であるという所見もあるが、主にプラセボ反応によるというのが他の報告も

慢性頭痛に鍼(はり)有効 2004年 03月 26日


これなんかは追試が必要
鍼治療で男性不妊改善? 2005年 07月 26日

2012年9月10日月曜日

リウマチ因子(IgM型)陽性者は関節リウマチ発症リスク高い 30年間前向き研究

血中リウマチ因子(rheumatoid factor of IgM type)値増加は、長期的観察にて、関節リウマチ発症と相関する・・・この研究結果は、リウマチ発症予測に役立つ可能性がある


関節リウマチの一般頻度は0.5-2%程度である。早期に関節リウマチ診断することの重要性が認識されつつあることと合わせ、どのように早期発見・早期治療に結びつけていくかが今後の課題となるだろう。


Elevated rheumatoid factor and long term risk of rheumatoid arthritis: a prospective cohort study
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5244 (Published 6 September 2012)

Copenhagen City Heart Study:1981-1983年の血中濃度検査を2010年8月10日までフォロー
関節リウマチ無しの9712名(20-100歳まで)

主要アウトカム測定:血中IgMリウマチ濃度 25-50、50.1-100、>100、vs <25 IU/mL比較

結果:リウマチ因子濃度は20-100歳まで同等
187659人年、関節リウマチ発症 193名
健康人にて、リウマチ因子倍は関節リウマチ発症リスク増加と関連 3.3倍(95%信頼区間 2.7-4.0)で、この傾向は他の自己免疫性リウマチ疾患でも同様の傾向。

関節リウマチ累積頻度はリウマチ因子カテゴリー増加毎に増加 (Ptrend<0.0001)

関節リウマチの多変量補正ハザード比は、リウマチ因子最小カテゴリー( <25 IU/mL)比較で、それぞれのリウマチ因子25-50で 3.6(95%信頼区間1.7-7.3)、同様に、 50.1-100 IU/mLで 25-50 IU/mL, 6.0 (3.4 to 10)、>100 IU/mLで 26 (15 to 46) (Ptrend<0.0001)

関節リウマチの最高10年絶対リスクは32%で、リウマチ濃度>100 IU/ml、喫煙女性、50-69歳女性


結論:リウマチ因子増加している人は、関節リウマチの長期リスク26倍増加をみとめ、10年のリウマチ絶対リスクは32%まで増加。
この新しい知見は、リウマチ因子をベースとしたリウマチ専門家や早期関節炎クリニックへのガイドライン改訂につながるだろう。



リウマチ因子陰性関節リウマチの存在もあり、抗CCP抗体が臨床上重用されている。一方、この論文では、IgM型リウマチ因子定量であり、リウマチ因子陽性側からの検討であることに注意が必要。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note