2016年5月19日木曜日

CTSN: 術後心房細動:心拍コントロール vs 調律コントロール 同等予後

 心臓手術後の心房細動は、死亡・合併症・入院と関連するが、術後心房細動安定患者において、ベストな初期治療戦略として、心拍コントロール vs リズムコントロールかはまだ未確定であった

結論としては、「心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも入院日数、合併症率、60日内持続性心房細動率とも同等」


Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery
A. Marc Gillinov,  et. al, for the CTSN
N Engl J Med 2016; 374:1911-1921May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1602002


プライマリエンドポイントは、ランダム化後60日内の入院総日数で比較

術後心房細動(695/2109)33%発生、523名ランダム化

心拍コントロール群とリズムコントロール群とも同等
中央値, 5.1 日 、 5.0 日; P=0.76


死亡(P=0.64) 、血栓塞栓・出血イベントを含む重篤副事象イベント (心拍コントロール群 100人年対 24.8、リズムコントロール群 26.4 , P=0.61)にも有意差無し


治療群変更理由は、主に無効性(対照群)、アミオダロン副作用もしくは副事象(リズムコントロール群)


63日めに、心拍コントロール群 93.8%、 リズムコントロール群 97.9%が、事前30日間心房細動無しの安定心拍s (P=0.02)
退院から60日めまでに心房細動なしは、それぞれ84.2%、86.9%


結論:術後心房細動において、心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも同様の入院日数、同様の合併症率、同様の発症から60日内持続性心房細動率であった






2016年5月17日火曜日

FLAME研究:中等度以上COPDに対し LABA/LAMA vs ICS/LABA



COPD急性増悪というのは確かにその後の予後にも影響を与え、社会的インパクトも多大なのでそれなりに重要だとは思うが、アウトカムがCOPD急性増悪年次発生率というのは、死亡などのよりハードなアウトカムと比較してどうなのだろう。COPDのプライマリエンドポイントは、心血管疾患のそれと比べ、一定でないことが多い。


最近そう考えるが、COPDとして、中等度以上なら、LABA/LAMA使用するか?ICS/LABA使用するか?といえば、ICS/LABAと答える医者は少ないと思う・・・ので実質的にはインパクト乏しくなってしまった報告に思える。COPD grade C,Dに対する、COPD LABA/LAMA vs ICS/LABA/LAMAなら興味があるのだろうが・・・そんなことがエディトリアルにも・・・





Indacaterol–Glycopyrronium versus Salmeterol–Fluticasone for COPD
Jadwiga A.
edzicha, et. al., for the FLAME Investigators*
NEJM, May 15, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1516385

ウルティブロ(インダカテロール・グリコピロニウム)群 1680名
アドエア(サルメテロール・フルチカゾン)群 1682名

ウルティブロは、非劣性だけでなく、優越性を示した
・年次COPD急性増悪率:ウルティブロ群はアドエア群より11%低下 (3.59 vs. 4.03; rate ratio, 0.89; 95% confidence interval [CI], 0.83 to 0.96; P=0.003)
ウルティブロは、アドエア群より、初回急性増悪までの期間延長 (71 days [95% CI, 60 to 82] vs. 51 days [95% CI, 46 to 57]; hazard ratio, 0.84 [95% CI, 0.78 to 0.91], representing a 16% lower risk; P<0 .001="" p="">
同様、中等症・重症急性増悪年次発生率減少 (0.98 vs. 1.19; rate ratio, 0.83; 95% CI, 0.75 to 0.91; P<0 .001="" 0.66="" 0.70="" 0.78="" 0.81="" 0.86="" 1.00="" 95="" ci="" hazard="" p="0.046)</p" ratio="" to="">
ウルティブロ群 vs アドエア群のCOPD急性増悪率への影響は、ベースライン好酸球数に独立。
副事象イベント率・死亡発生率は、両群同様

肺炎はウルティブル 3.2%、アドエア群 4.8%  (P=0.02)

レジャータイム身体活動と発癌の関連性:概ね癌抑制的だが・・

レジャータイム身体活動量は、心疾患及び全死因死亡率と相関するとされるが、がんとの関連性は不明であった

レジャータイム身体活動性は多くの癌のリスク低下と相関




Association of Leisure-Time Physical Activity With Risk of 26 Types of Cancer in 1.44 Million Adults
Steven C.Moore, et. ral.
JAMA Intern Med.Published online May 16, 2016.



米国・欧州コホート:身体活動自己報告を有するコホートのプール化解析
(1987-2004年ベース)
144万名被検(中央値[range] 59 [19-98]歳、女性57%)、18万6932癌

レジャータイム身体活動 低レベル vs 高レベル 比較 13種類の癌との関連性

  • 食道腺癌 (HR 0.58, 95% CI 0.37-0.89)
  •  肝 (HR 0.73, 95% CI 0.55-0.98)
  •  肺 (HR 0.74, 95% CI 0.71-0.77)
  •  腎 (HR 0.77, 95% CI 0.70-0.85)
  •  胃噴門部 (HR 0.78, 95% CI 0.64-0.95)
  • 子宮内膜 (HR 0.79, 95% CI 0.68-0.92)
  • 骨髄性白血病 (HR 0.80, 95% CI 0.70-0.92)
  • 黒色腫 (HR 0.83, 95% CI 0.72-0.95)
  • 直腸 (HR 0.84, 95% CI 0.77-0.91)
  • 頭頸部 (HR 0.85, 95% CI 0.78-0.93)
  • 直腸(HR 0.87, 95% CI 0.80-0.95)
  • 膀胱 (HR 0.87, 95% CI 0.82-0.92)
  • 乳 (HR 0.90, 95% CI 0.87-0.93)



BMI補正にて軽度相関性減少、しかし13種類中10は統計学的有意相関性残存


レジャータイム身体活動と相関高いのは、

  • 悪性黒色腫 (HR 1.27, 95% CI 1.16-1.40) 
  • 前立腺癌  (HR 1.05, 95% CI 1.03-1.08)


過体重/肥満と正常体重者とその相関は一般的に類似

喫煙状態により肺癌は相関性修正されるが、他の喫煙関連がんは修正されない


悪性黒色腫はわかるが、前立腺癌リスクは?

2016年5月16日月曜日

RENEW Study: 重症気腫へのコイル治療、改善効果軽度で重大合併症率高い

12ヶ月時点での評価


Effect of Endobronchial Coils vs Usual Care on Exercise Tolerance in Patients With Severe Emphysema
The RENEW Randomized Clinical Trial
Frank C. Sciurba, et. al. ; for the RENEW Study Research Group
JAMA. Published online May 15, 2016. 
doi:10.1001/jama.2016.6261

【意義】 予備的臨床トライアルでは、気腫及び重度肺過膨脹患者において、気管内コイルは気腫肺組織を圧迫し、肺機能、運動耐容能、症状改善をもたらすというものであった

【目的】 気管内コイル治療の有効性安全性検証

【デザイン・セッティング・被検者】 315名の気腫及び重度空気とらえ込み患者をラナム化臨床トライアル、北米21、ヨーロッパ5箇所、2012年12月〜2015年11月まで

【介入】 ランダムに持続通常ケア(ガイドラインベース、呼吸リハビリテーション及び気管支拡張剤 ; n = 157) 単独 vs 通常ケア+両側コイル治療 (n = 158) 、いずれかの一肺葉に気管支鏡で10-14コイル、4ヶ月分けて2回のシークエンシャル施行


【主要アウトカム・測定項目】 プライマリ有効性アウトカムは ベースラインから12ヶ月後6分間歩行距離絶対差 (minimal clinically important difference [MCID], 25 m)
セカンダリエンドポイントは、
SGRQのQOL変化絶対値差(MCID, 4)
FEV1の変化量(FEV1; MCID , 10%)

プライマリ安全性分析は、7つの事前設定重大合併症のうち1つでも経験した比率


【結果】 315名の被検者(平均年齢, 64歳、 女性 52%)、12ヶ月フォローアップ完遂 90%
12ヶ月時点での6分間歩行距離変化量中央値は、コイル治療群 10.3m vs 通常ケア -7.6m; 群間差 14.6 m (Hodges-Lehmann 97.5% CI, 0.4 m to ∞; 1-sided P =0.02).

25m以上改善比率は、コイル群 40.0 % vs 通常ケア群 26.9%
 (odds ratio, 1.8 [97.5% CI, 1.1 to ∞]; unadjusted between-group difference, 11.8% [97.5% CI, 1.0% to ∞]; 1-sided P =0.01)
FEV1の変化量中央値群間差は 7.0%  (97.5% CI, 3.4% to ∞; 1-sided P < 0.001)
St George’s Respiratory Questionnaire score改善 8.9 points (97.5% CI, −∞ to −6.3 points; 1-sided P < 0.001)、いずれもがコイル群有用

重大合併症(入院必要肺炎、他潜在的致死的・致死性イベント)はコイル群 34.8% vs 通常ケア群  19.1% (P =0.002)
他重大副事象イベントは、肺炎  (コイル群 20% coil vs 通常ケア群 4.5%)
気胸 (9.7% vs 0.6%)で、コイル群で多い

【結論と知見】 気腫・重症過膨脹患者において、12ヶ月治療比較、気管支内コイル+通常ケアにて運動耐用の中央値改善するも、その程度は事前設定未満で軽度、不確実な臨床的意義で、重大合併症尤度高い。さらなるフォローアップ評価にて健康アウトカムへの長期影響評価必要

Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT01608490



ばらつきある・・・症例選択が重要と思う

ARDS患者において、ヘルメット型・非侵襲人工換気(NIV)で挿管イベント発生率減少

ARDS患者において、ヘルメット型・非侵襲人工換気(NIV)で挿管イベント発生率減少させる




ヘルメット・NIVとフェースマスク・NIV
ランダムにマスクNIV継続か、ヘルメットNIVスイッチかを割り付け

プライマリアウトカムとして、気管内挿管必要率を比べた報告


Effect of Noninvasive Ventilation Delivered by Helmet vs Face Mask on the Rate of Endotracheal Intubation in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome
A Randomized Clinical Trial
Bhakti K. Patel, et. al.
JAMA. Published online May 15, 2016. doi:10.1001/jama.2016.6338


分析 83名(女性45%;年齢中央値59歳;APACHE IIスコア中央値 26)、トライアルご会席にて有効性事前設定に基づき早期治験中止した

挿管イベント発生率は、フェースマスク  61.5% (n = 24)、ヘルメット 18.2% (n = 8)  (absolute difference, −43.3%; 95% CI, −62.4% to −24.3%; P < 0.001)

人工換気日数は有意にヘルメット群で高率 28 vs 12.5, P < 0.001)

90日目死亡率 ヘルメット群 15 名 (34.1%)、フェースマスク群 22 名 (56.4%)
(absolute difference, −22.3%; 95% CI, −43.3 to −1.4; P = 0.02)







副事象イベントは3名のインターフェース関連皮膚潰瘍(フェースマスク群 鼻の潰瘍 7.6%、ヘルメット群は頸部皮膚潰瘍)




フルフェースからヘルメットへと時代は変わるのだろう・・・



USCIITG: LIPS-A:ARDS発症予防アスピリン投与効果認めず

ED受診するようなリスク状態患者にその後肺胞毛細血管傷害、低酸素状態を回避するためには、何らかの有効は方法で、ARDS発症までの brief windowに介入ができれば・・・という発想は昔からある。抗炎症としてステロイドは今のところ芳しからず・・・

アスピリンはどうかと・・・予想通り、効果認めず



Effect of Aspirin on Development of ARDS in At-Risk Patients Presenting to the Emergency Department
The LIPS-A Randomized Clinical Trial
Daryl J.
Kor,  et. al. ; for the US Critical Illness and Injury Trials Group: Lung Injury Prevention with Aspirin Study Group (USCIITG: LIPS-A)
JAMA. Published online May 15, 2016. doi:10.1001/jama.2016.6330

EDに於るARDSリスク患者 7673名:篩い分け 400名ランダム化し多施設二重盲験プラシーボ対照化ランダム化トライアル

ED受診24時間以内アスピリン 325mg loading dose後81mg継続 day 7まで

プライマリアウトカムはday 7までのARDS発症

解析患者390名、年齢中央値 57歳、女性 48%、187名、入院期間中央値(IQR) 6(3-10)日間
アスピリン投与はプラシーボ比較で7日目ARDS発症頻度減少せず (10.3% vs 8.7%; odds ratio, 1.24 [92.6% CI, 0.67 to 2.31], P = 0.53)


セカンダリアウトカム(無人工換気日数、ICU滞在期間、入院期間、28日・1年生存率、血中バイオマーカー)においても有意差無し
・day 28までの無人工換気日数, mean (SD), 24.9 (7.4) days vs 25.2 (7.0) days (mean [90% CI] difference, −0.26 [−1.46 to 0.94] days; P = .72)
・ICU滞在期間, mean (SD), 5.2 (7.0) days vs 5.4 (7.0) days (mean [90% CI] difference, −0.16 [−1.75 to 1.43] days; P = .87)
・入院期間, mean (SD), 8.8 (10.3) days vs 9.0 (9.9) days (mean [90% CI] difference, −0.27 [−1.96 to 1.42] days; P = .79)
 ・28日生存率, 90% vs 90% (hazard ratio [90% CI], 1.03 [0.60 to 1.79]; P = .92)
 ・1年生存率, 73% vs 75% (hazard ratio [90% CI] ,1.06 [0.75 to 1.50]; P = .79)

 出血関連副事象イベントは両群少ない (aspirin vs placebo, 5.6% vs 2.6%; odds ratio [90% CI], 2.27 [0.92 to 5.61]; P = .13)

2016年5月14日土曜日

喫煙:肺炎球菌肺炎入院死亡率減少効果 ただ、低CFRセロタイプ菌血症になりやすい

なんにしろ、喫煙関連の疾患を診療する身としては、その苦悩を相対する立場としては、喫煙習慣を合理化するのはやはり認めがたい


しかし、まぁ喫煙が全てに対して悪というわけではないのは当然かもしれない
恩師医師から、過敏性肺臓炎にもなりにくいぞと聞かされたこともあったなぁ・・・そういえば・・・




喫煙は肺炎死亡率減少と関連するという報告有り、仮説としてlow case fatality rate(CFR)セロタイプの菌血症となるなど、異なる肺炎球菌セロタイプで結果が異なるのではないかと架設して、住民ベースコホートで検証を試みた報告

非喫煙者に比べ、喫煙者では菌血症性肺炎球菌症(BPP)では入院死亡率低下し、低CFRセロタイプ菌血症になりやすいことが分かった
これらの所見から、肺炎患者で喫煙により死亡率低下をもたらすことの説明可能?

Current Smoking and Reduced Mortality in Bacteremic Pneumococcal Pneumonia: A Population-Based Cohort Study
Jessica A. Beatty, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.04.020




カナダ北アルバータ州の2000-2010年、細菌血症性肺炎球菌(BPP)入院18歳以上1636名成人前向き住民ベース臨床レジストリ:多変量ロジスティック回帰検討にて喫煙状態で全原因死亡率を評価し、セロタイプ(低CFRと他CFR)で層別化



平均年齢 54歳、男性 57%、 現行喫煙率 49%、 低CFRセロタイプ 41%

入院時死亡 現行喫煙 809名中62名 vs 927名中 164 (8% vs 20% 補正オッズ比 (aOR) 0.52; 95% CI, 0.36-0.77 ; p=0.001)


現行喫煙では、非喫煙より 低CFRセロタイプ分離多く (53% vs 29%, aOR 1.67 ; 95% CI, 1.31 - 2.12 ; p < 0.001)、低CFRセロタイプ補正モデルでは、現行喫煙という因子では死亡率減少と関連 (p=0.001)


HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...