2019年3月16日土曜日

CABANAランダム化トライアル:心房細動カテーテル焼灼 vs 内服 重大イベント減少しないがQOLなどは改善

カテーテル焼灼 vs 内服治療(標準的リズム and/or rate-コントロール薬剤:医師選択)比較
Effect of Catheter Ablation vs Medical Therapy on Quality of Life Among Patients With Atrial Fibrillation: The CABANA Randomized Clinical Trial  
Editorial: Catheter Ablation for Atrial Fibrillation; Christine M. Albert, MD, MPH; Deepak L. Bhatt, MD, MPH

2204名ランダム化:  カテーテル焼灼は内服加療に比べ、Atrial Fibrillation Effect on Quality of Life scoreにて群間差 5.2点(患者レベルの臨床的意義差:5点以上)あり、Mayo AF-Specific Symptom Inventory frequency scoreにて群間差 -1.7点 (患者レベルの臨床的意義差 -1.6点以下)、重症スコア -1.5点 (患者レベル臨床的意義差 -1.3点以下)

意義:有症状心房細動患者において、カテーテル焼灼は内服治療に比べ臨床的有意で有意差あるQOLを12ヶ月時点で認める




Editorial: Catheter Ablation for Atrial Fibrillation; Christine M. Albert, MD, MPH; Deepak L. Bhatt, MD, MPH
心房細動患者において 内服治療(標準的リズム and/or rate-コントロール薬剤:医師選択)比較で心血管イベント・死亡率は影響あるか?
2204名ランダム化、カテーテル焼灼は内服加療に比べ、プライマリ構成エンドポイント(死亡、障害を有する卒中、重度出血、心臓突然死)減少有意差認めず( 8.0% vs 9.2% ;ハザード比 0.86)

意義:死亡細動患者においてカテーテル焼灼は内服加療に比べプライマリ構成エンドポイントを有意には減少せず



アルツハイマー病リスクは近親家族系譜に強く関連

いつも思うが注意必要と思う

第1度近親:first-degree relatives (FDR) The parents, siblings, or children of an individual.(両親、同胞=兄弟姉妹、子供)  (日本の法律上の”第一親等”:ある人とその父母、その子および子の配偶者との関係)
第2度近親:   uncles, aunts, nephews, nieces, grandparents, grandchildren, half-siblings, and double cousins
第3度近親: blood relative which includes the individual’s first-cousins, great-grandparents or great grandchildren


アルツハイマー病では症例全体の5%未満である3つの遺伝子異常常染色体若年性家族性アルツハイマー病(amyloid precursor protien and preseenilin 1, -2)があるが、殆どは家族歴でなく散発性とされる。家族系譜を作成すると散発性と思われている場合でも家族歴が発症に関与していることが明らかになった。
APOE遺伝子 e4-alleleの1つのcopy数存在はAD症例の 56%で観られ、リスクとしては3倍、2 copy数はADの11%で8-12倍もリスク増加する。



Relative risk for Alzheimer disease based on complete family history
Lisa A. Cannon-Albright, et al.
Neurology, First published March 13, 2019, 
DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000007231
open access:https://n.neurology.org/content/neurology/early/2019/03/13/WNL.0000000000007231.full.pdf

【目的】アルツハイマー病(AD)リスクの遺伝的要素について近親者に焦点を当てる。家族歴全体を考慮すると、リスク推定値の正確性と有用性が向上する可能性がある。

【方法】ユタ州の死亡診断書にリンクされた1800年代のユタ州・パイオニア系譜を含む母集団リソースを使用して、一親等から三親等の親族を含む特定の家族歴系譜に基づきADの相対リスクを推定。

【結果】罹患した第一度近親者(FDR)はいずれもADのリスクを有意に増加させた(1 FDR:相対リスク[RR] 1.73、95%信頼区間[CI] [1.59  -  1.87]; 2 FDR:RR 3.98 [3.26  -  4.82])。 ];≥3 FDR:RR 2.48 [1.07  -  4.89];≥4 FDR:RR 14.77 [5.42  -  32.15])。
罹病関連第二度近親者(SDR)は、関連FDRの存在下でもリスクを増大(FDR = 1、SDR = 2:RR 21.29 [5.80-54.52])。第3度近親者のみのAD(TDR)でもリスクを高めた(FDR = 0、SDR = 0、TDR≧3:RR 1.43 [1.21-1.68])。

父親の遺伝と比較した、母親に基づくリスクの差については、さまざまな証拠が観察されました。同等の家族歴を持つ女性よりも男性のリスクが高く、家族の死亡年齢にかかわらず、少なくとも1人がFDRに罹患した個人のリスクが高いことが観察された。

【結論】家系図の拡張データから確認された家族歴に基づくADのRRのこの母集団ベースの推定は、遺伝的遺伝因子が直近の近親者を超えて広がる幅広い影響を持つことを示している。
医療提供者は、ADのリスクについて患者や家族に相談する際に、家族歴の完全な一群を考慮すべきです。




母系と父系でやや影響が異なる・・・

Differences for paternal vs maternal family history were noted for the second-degree relationships considered. Individuals with a maternal affected SDR (mother’s brother or mother’s sister) had significantly elevated RR, while individuals with a paternal affected SDR (father’s brother or father’s sister) did not.


ε4ホモ接合体などを含め集中的予防介入検討が必要なのだろうが・・・

2019年3月15日金曜日

潜在性結核感染:メトホルミンとスタチン感染抑制

結核感染に糖尿病が関わるインパクトとともに、メトホルミンとスタチンの感染抑制効果示唆報告

プラバスタチンのみ記載されているが、脂溶性スタチンの影響は?





Early View 
Reduced prevalence of latent tuberculosis infection in diabetes patients using metformin and statins
Matthew J. Magee, et al.
European Respiratory Journal 2019 53: 1801695;
DOI: 10.1183/13993003.01695-2018


National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2011-2012
非施設入所成人3段階確率サンプル 糖尿病・糖尿病前症自己報告もしくは糖化ヘモグロビン定義 ( HbA1c 5.6%以下、 5.7-6.4%、 6.5%以上 )
LTBI感染率QFT、TST(ツベルクリン)にて測定

メトホルミン、スタチン、非メトホルミン薬剤(インスリン、SU、DPP-4i)自己報告

糖尿病での総加重LTBI感染率 QFT 11.6% (95%CI, 7.9-15.3%), n=4958、TST 7.1% (95% CI, 4.8-9.3%) n=4262は、血糖正常者(4.6% 、 4.1%)より感染率高い

糖尿病患者において、メトホルミン未使用率 53.8%。メトホルミン 非使用 53.8% vs 使用 では有意差ないが、メトホルミン使用者に比較し、LTBI率高い  [QFT PD, 1.4% 95%CI -3.7-6.4%] 、TST [PD, 2.7%, 95%CI: -0.3-5.7])

糖尿病患者において、メトホルミン+2剤以上糖尿病薬剤使用っかんじゃでは、非糖尿病治療患者に比べ、LTBI発生率低い (6.2% by QFT and 1.8% by TST)


年齢、性別、HbA1c、糖尿病種、収入レベル、糖尿病罹病期間補正後、TSTは糖尿病ありでのTST陽性率は糖尿病全薬剤未使用に比べオッズ比高い (aOR 3.9, 95%CI 1.1-13.8) 


糖尿病患者でのスタチン使用は46.2%、、LTBI最小罹病率はプラバスタチン(3.0% by QFT and 2.9% by TST)

糖尿病患者において、スタチン使用無し比較で、プラバスタチン使用者のQFT陽性率は尾オッズ比高い(OR 4.4, 95%CI 1.3-14.9)
スタチン非使用とLTBIの関連性は、年齢、性別、収入レベル、メトホルミン、HbA1c補正後も維持(aOR 4.8 95%CI 1.4-16.5) 

TST陽性率は、メトホルミン・スタチンとも未使用では、両者使用に比べ有意に高い (9.6% vs 4.0% p=0.02)


成人NHANES登録で、QFT陽性オッズ比について、糖尿病では血糖正常者に比べ有意に高く(OR 2.6, 95%CI 1.4-5.1) 、また、スタチン非使用で高い(OR 2.9, 95%CI 1.7-4.8)

スタチンと糖尿病にはTST陽性率について乗数関係みられ、糖尿病&非スタチン 9.0% 、糖尿病 & スタチン 4.8% p=0.03

スタチンによる相互作用は年齢、性別、BMI、喫煙状態補正後も有意差維持 p=0.03

糖尿病者のTST陽性オッズはスタチン未使用で高く(aOR 2.7, 95%CI 1.6-4.8)、スタチン使用糖尿病では有意増加無し(aOR 1.2, 95%CI 0.5-3.0)




それでも、メトホルミンを第1選択としないのだろうか? 日本の糖尿病関連学会のおひとたち・・・



急性鼻副鼻腔炎診断のための徴候・所見の正確性

臨床的印象が結構正確らしい

検尿試験紙の白血球エステラーゼ反応が簡便で役立ちそうという話に惹かれる



Accuracy of Signs and Symptoms for the Diagnosis of Acute Rhinosinusitis and Acute Bacterial Rhinosinusitis
Mark H. Ebell, et al.
doi: 10.1370/afm.2354
Ann Fam Med March/April 2019 vol. 17 no. 2 164-172
http://www.annfammed.org/content/17/2/164.full

目的 急性鼻副鼻腔炎(ARS)診断のための徴候と症状の正確性評価

方法 MEDLINE検索、臨床的ARS疑い外来患者の研究・感度/特異度計算のためのデータ収集
1,649名初期同定、クライテリア合致17
急性鼻副鼻腔炎は任意の有効参照スタンダードによる診断、急性細菌性副鼻腔炎(ABRS)は鼻腔穿刺の膿性または細菌培養陽性で判断。テストの正確さの要約推定値を計算するために、二変量メタアナリシスを使用しました。

結果 ARS臨床的疑い患者の内、画像診断ARS 51%、ABRS 31%
ARS "rule in"上ベストな所見は、中鼻道(middle meatus)の膿性分泌物  (positive likelihood ratio [LR+] 3.2) と、全体的臨床的印象 (LR+ 3.0)
ARSの"rule out"上ベストな所見は、全体的臨床的印象n (negative likelihood ratio [LR−] 0.37)、正常な透視性(translumination)所見(LR− 0.55)、先行気道感染のないこと(LR− 0.48)、鼻汁 (LR− 0.49)、膿性鼻汁 (LR− 0.54)


データ不足だが、全体的臨床的印象(LR+ 3.8, LR− 0.34),異常嗅覚 cacosmia (呼吸時悪臭 fetid odor on the breath) (LR+ 4.3, LR− 0.86) 、歯痛  (LR+ 2.0, LR− 0.77)  BRSの最良予測要素

いくつかの臨床的ルールが提案されているが、前向き評価研究は存在しない.


結論 臨床的にARSを疑う患者において、三分の一ほどABRS
全体的臨床的印象、異常嗅覚、歯痛がABRSのベストな予測要素
CRPや尿検査を含めた臨床的意志決定ルールは期待できるが、前向き評価が必要




2019年3月13日水曜日

認知症:中年期食事の予防効果は根拠乏しい

現時点で、認知症が真に"preventable"、"treatable"と言えるのか?

食事の内容・質の脳機能への役割から考え、特定の栄養素の役割などから"potentially modifiable"と述べる人間もいるらしく、また、多くの研究で単一栄養素・食品に関連した認知への影響報告がなされている。しかし、栄養素相互作用もあり評価は複雑で困難。バイオマーカーや認知症リスクへの影響や、認知機能低下をもってその評価とする多数の報告もある。システミック・レビューや観察研究メタアナリシスでも確固たる結論でない領域である、食事による認知症リスクへの影響



Association of Midlife Diet With Subsequent Risk for Dementia
Tasnime N. Akbaraly, et al.
JAMA. 2019;321(10):957-968. doi:10.1001/jama.2019.1432


Key Points
  • 疑問点  中年期の食事はその後の認知症リスクと関連するか?
  • 知見 前向きコホート研究 認知症無し 8225名登録、中年期食事(平均年齢 50歳)をAlternate Health Eating Index (score range, 0-110)で評価したが、その後の認知症リスクと有意相関せず (Alternate Health Eating Index10-ポイント増加毎ハザード比, 0.97)
  • 意義   中年期食事の質の反復評価はその後の認知症リスクと有意相関しない

要約
【序文】  観察研究では食事が認知的健康と関連することが示唆されている。しかし、多くの研究のフォローアップ期間は長期的に認知症臨床前状態を考慮するに不十分な期間であり、介入研究エビデンスも結論づけできない状況
目的 中年期食事は認知症リスクと関連するか検討 
【デザイン・セッティング・登録】 住民ベースコホート研究(1985-1988)、食事摂取評価 1991-1993、1997-1999、2002-2004。認知症発症フォローアップ 2017年3月31日まで 
【暴露】  Food frequency questionnaire to derive the Alternate Healthy Eating Index (AHEI)、11の構成食事の質スコアe (score range, 0-110)、高スコアほどより健康的と示唆 
【主要アウトカムと測定項目】  電子カルテとリンクし確認された認知症発症
【結果】   1991-1993年認知症無し 8225名(平均年齢, 50.2歳、 SD 6.1歳、男性 5686(69.1%)
フォローアップ中央値 24.8年間(IQR , 24.2 - 25.1年間)記録で認知症発症 344例
1991-1993年、1997-1999(フォローアップ中央値, 19.1年間)、2002-2004年(フォローアップ中央値 13.5年間)のAHEI暴露3分位では、認知症発症率の有意差認めず
1991-1993年分 AHEI最悪三分位 1000人年あたり 認知症発症 1.76 (95% CI, 1.47-2.12)と比較し、中間三分位  0.03 (95% CI, −0.43 to 0.49)  最良三分位は 0.04 (95% CI, -0.42 to 0.51)、
1997-1999年分 AHEI最悪三分位 1000人年あたり 認知症発症  2.06 [95% CI, 1.62 to 2.61、中間三分位 0.14 (95% CI, −0.58 to 0.86) 最良三分位 0.14 (95% CI, −0.58 to 0.85)

2002-2004年分 AHEI最悪三分位 1000人年あたり 認知症発症   3.12 [95% CI, 2.49 to 3.92、中間三分位 −0.61 (95% CI, −1.56 to 0.33)  最良三分位  −0.73 (95% CI, −1.67 to 0.22)

多変量解析にて、AHE増加 1-2D(10ポイント) 毎 認知症発症I補正ハザード比(HRs)は、1991-1993評価 adjusted HR, 0.97 [95% CI, 0.87 to 1.08、 1997-1999評価 adjusted HR, 0.97 [95% CI, 0.83 to 1.12]、 2002-2004年評価adjusted HR, 0.87 [95% CI, 0.75 to 1.00] で有意でない

【結論と知見】 長期前向きコホートにて、中年期食事内容の質評価は、その後の認知症リスクと有意相関しない




中年期食事に注意しても遅い?あるいは、他要素の方が影響大?
認知症はその前状態として15-20 年間の期間があり、この間に認知機能衰退、気分変容など伴う。中年期からがんばっても遅い可能性がある。
また、ここでの健康食はメディタリアン、DASH等低炭水化物・高蛋白スコアに基づくもの、 ここの健康食が、真に"脳の健康につながる食事”とは限らない可能性もある。




2019年3月12日火曜日

高齢者高コレステロール血症治療推奨再考

Reexamining Recommendations for Treatment of Hypercholesterolemia in Older Adults
Neil Skolnik
JAMA. Published online March 11, 2019. doi:10.1001/jama.2019.1676
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2728377

Recommendations for Treatment of Hypercholesterolemia in Older Adults
高齢者における高コレステロール血症の治療に対する推奨

2018年ACC/AHCガイドライン( American College of Cardiology (ACC)/American Heart Association (AHA) guideline on the management of blood cholesterol )では75歳以上ではLDL-C 70-189 mg/dLの時、中強度スタチンがreasonableとしている。

AHA/ACC/AACVPR/AAPA/ABC/ACPM/ADA/AGS/APhA/ASPC/NLA/PCNA guideline on the management of blood cholesterol: executive summary: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines.  J Am Coll Cardiol. 2018;S0735-1097(18):39033-39038. doi:10.1016/j.jacc.2018.11.002
このクライテリアに基づく全患者にスタチン導入されると、この年齢群へのスタチンベネフィットのエビデンス不足しているのにかかわらず、高齢者1800万人がスタチン関連副作用リスクに晒されることになる。そもそも75歳を超える患者ではスタチン治療RCTエビデンスはそれほどstrongではない。開始時のリスクに年齢が含まれており、年齢と共にリスクとして計算され、リスクスコアが年齢に支配されている。年齢は住民コホート集団では強力なリスク要素だろうが、個別的なリスクを果たして反映するのだろうか、また、治療効果まで検討した場合に選別上の個別リスクとして年齢は適切なのだろうか?


米国内ガイドライン要約化推奨はサポートしているエビデンスの解析と一致している。ガイドラインは、バイアス無く、曖昧性をできるだけ最小化するべきもの。ACC/AAHガイドラインは75歳超の一次予防を支持するエビデンス不足している、さらにはLDLコレステロールカットオフを支持する治療閾値として 70 mg/dL超を設定するエビデンスは存在しない。治療推奨対象が住民で何パーセントとなるかの要素にもなるので治療選別と年齢閾値はクリティカル

糖尿病無しの8つの一次予防トライアルでは、平均登録LDLコレステロールは 140 mg/dLであり、 70 mg/dLではない。LDL登録コレステロール値が低い唯一の一次予防研究はJUPITERトライアルで、これはhsCRP濃度を含むエントリー登録クライテリアとなっている。実際には、被検者登録時年齢平均66歳、LDLコレステロール 108 mg/dLでACC/AHA推奨より年齢若く、LDL高値の登録となっている

広くpolicy推奨を考えるとき、65歳前後での高コレステロール管理比例ベネフィット差の認識が重要。65歳超成人のベネフィットのエビデンスは、75歳超では適応されないし、一次予防のスタチンベネフィットを示す臨床トライアルデータは75歳超では適応されない


プロスパー試験では、75歳以上の平均年齢(N = 5804;試験登録時の平均年齢、75.4歳)の患者に対するスタチン治療の唯一の試験で、平均登録LDLコレステロール値は147 mg / dLであり、これはACC / AHAガイドラインでスタチンが推奨されているLDLコレステロール閾値の2倍この試験では、2565人の参加者(44%)が血管疾患を発症し、二次予防を試みました。血管疾患を持たない患者の一次予防コホートでは、冠動脈死、致命的でない心筋梗塞、および致命的または致命的でない脳卒中の複合評価項目に対するスタチンの有意な利益はありませんでした。


Shepherd  J, Blauw  GJ, Murphy  MB,  et al; PROSPER study group. Pravastatin in elderly individuals at risk of vascular disease (PROSPER): a randomised controlled trial.  Lancet. 2002;360(9346):1623-1630. doi:10.1016/S0140-6736(02)11600-XPubMedGoogle ScholarCrossref


ACC/AHAガイドラインでのエビデンスでは75歳超での死亡率へのスタチンのベネフィット示せない一方、有害性を示し、死亡率増加確率の可能性すらある

Han  BH, Sutin  D, Williamson  JD,  et al; ALLHAT Collaborative Research Group.  Effect of statin treatment vs usual care on primary cardiovascular prevention among older adults: the ALLHAT-LLT randomized clinical trial.  JAMA Intern Med. 2017;177(7):955-965. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1442

観察研究では75歳超・糖尿病なしの場合の一次予防観察研究でスタチンのベネフィット認めず、28のRCTのメタアナリシスでは、75歳超を含む高コレステロール血症・血管疾患存在下の全年齢群ではスタチンの有意なベネフィット示した。血管疾患病歴無し(即ち、一次予防)では年齢と共にスタチン使用による比例的リスク減少効果認めなくなり、70歳超で有意なベネフィット消失。

AHA / ACCガイドラインでは、75歳以上の成人でスタチン治療をいつ中止するかについて言及していません。患者が年をとるにつれて、多くの薬物治療を必要とする複数の併存症を患う可能性が高まります。価値を最大化し、悪影響を最小限に抑えるために各薬の重要性を比較検討することは臨床医には必須。継続的な薬に関する決定は定期的に見直されるべき。決定は、利益対害の証拠、ならびに患者の価値観および好みによって知らされるべきであり、そして決定は、共通の意思決定を強調するアプローチを通して決定されるべきである。

スタチンによる予防治療をいつ中止すべきかの意志決定はいくつかのカテゴリーに分かれる。
重度認知症あるいは他の疾患で生命予後限られている場合を含めfrail older patientsが最初のカテゴリで、これら患者は薬剤中止を考慮
2つめのカテゴリーは、心血管疾患あるいはイベント既往患者の二次予防のためのスタチン使用。二次予防で、ベネフィットが観られるwindowは約2-3年間。再発動脈硬化性疾患予防が患者・家族のゴールである限り、二次予防のためのスタチンは継続
3つめのカテゴリーは、75歳超の糖尿病患者。この群ではランダム化データ存在しない。観察研究で、80歳超を含めたこの群での中止が支持されている。
・4つのめのカテゴリーは75歳以上の健康者で一次予防のためのスタチン治療。エビデンスが不足していること、ベネフィット尤度が年齢とリスク要素で左右され、エビデンスの不確実性について適切なコミュニケーションにて意志決定のシェアがなされなければならないことがこのカテゴリー群では推奨される

ガイドラインの推奨事項は、証拠と判断の組み合わせに基づく。すべての臨床医が補助文書の詳細を読むわけではないが、ほとんどが責任を持って中核となる推奨事項に従う。したがって、推奨事項の表現方法は、それらが臨床医によってどのように解釈および実施されるかに重要な影響を及ぼす可能性がある。 AHAガイドラインでは、LDLコレステロール値が70 mg / dL〜189 mg / dLの75歳以上の成人にスタチン療法を開始することが「妥当である可能性がある、しかし、75歳以上の成人はほとんどLDLコレステロール値が70mg / dL以上であるため、75歳以上の健康な成人全員にスタチン療法を推奨するガイドラインもある。ミオパチー、認知機能障害、2型糖尿病の増加の可能性、多剤併用、および健常人に医学的診断を表示することによる潜在的な影響を含む潜在的な有害作用高齢者にとって重大な問題である。

言語学的には、ワードやフレーズは、外延的(denotative)と内包的(connotative)意味を両方有する。即ち、"...であることは合理的である" と "...でないことが合理的である"が、本質的に同じ意味であることがある。内包的意味(connotative meaning)は、換言すれば、情緒的意味、言語とフレーズが有する関連性、その言葉が発するcontextにより影響されるとなる。
高コレステロール血症管理についてのガイドラインを臨床医が解読するcontextにおいて、フレーズ「...治療することが合理的」は、LDL 70 mg/dL超高齢者治療がactionする方向性として推奨することを意味してしまう。しかし、ガイドラインを単純に遵守するのではなく、各患者のケアのcontextにおいてクリティカルに評価し、解釈する義務がある。


75歳以上の成人におけるスタチンの使用の推奨は、推奨が各個々の患者のニーズに最もよく合うように、リスクと利益、そして嗜好と価値についての共通の意思決定を通して最適に決定されるべき






日本の後期高齢者の健康診査において、脂質異常当然の如く項目として含まれる

論理的思考のできない(させない)日本の風土が、予防・治療ベネフィットをもたらさない無駄な検診を増大させている

2019年3月11日月曜日

最大規模の食事性脂肪と死亡率関連研究

平均16年間の追跡調査期間は一般集団における特定の食事性脂肪摂取量と死亡率関連性調査としては最大の報告

ALA: α-リノレン酸(α-linolenic acid):ω3
LA: リノール酸(linoleic acid):ω6




Dietary Fats in Relation to Total and Cause-Specific Mortality in a Prospective Cohort of 521 120 Individuals With 16 Years of Follow-Up
Pan Zhuang , Yu Zhang , Wei He , Xiaoqian Chen , Jingnan Chen , Lilin He , Lei Mao , Fei Wu , Jingjing Jiao
Originally published14 Jan 2019
https://doi.org/10.1161/CIRCRESAHA.118.314038
Circulation Research. 2019;124:757–768


序文:心血管健康状態と飽和脂肪酸摂取関連性は議論のあるところ。不飽和脂肪酸と総死亡率・心血管疾患死亡率に関しても一致したものでもなく、非CVD死亡率についてデータは不足している
目的:食事脂肪摂取の総死亡率・原因特異的死亡率の関連性評価
研究方法と結果: 521,120名(50-71歳: National Institutes of Health-American Association of Retired Persons Diet and Health Study )、16年間フォローアップ研究
飽和脂肪酸(SFAs)、トランス脂肪酸、単価不飽和脂肪酸(MUFAs)、多価不飽和脂肪酸(PUFAs) を食事回数アンケートで評価
Cox比例ハザードモデル推定ハザード比、95% CIs

全体として、死亡 128,328/ 730万人年フォローアップ
炭水化物置換として、総死亡率の5分位最大最小比較多変量補正ハザード比


  • SFA 1.29 (95% CI, 1.25–1.33)
  • MUFA 0.98 (0.94–1.02) 
  • animal MUFA 1.09 (1.06–1.13)
  • plant MUFA 0.94 (0.91–0.97)
  • PUFA 0.93 (0.91–0.95) 
  • marine omega-3 PUFA 0.92 (0.90–0.94) 
  • αリノレン酸(α-linolenic acid) 1.06 (1.03–1.09) 
  • リノール酸(Linoleic acid) 0.88 (0.86–0.91) 
  • arachidonic acid 1.10 (1.08–1.13) 




CVD死亡率は、marine omega-3 PUFA摂取量と逆相関 (P trend <0 .0001="" acachidonic="" acid="" p="" trans-fatty="">
等カロリーとしてエネルギー摂取の5%をSFAsからplant MUFAsへ置き換えると、総死亡率、CVD死亡率、がん死亡率の各々の減少15%、10%, 11%、 30%

等カロリーとしてエネルギー摂取の2%をSFAsからlinoleic  acdへ置き換えると、総死亡率、CVD死亡率、がん死亡率、呼吸器疾患死亡率、糖尿病死亡率の各々の減少 8%、6%、8%、11%、9%

結論:SFAs、trans-fatty acids、animal MUFAs、α-linolenic acid、 arachidonic acid は死亡率増加と関連
marine omega-3 PUFAs と  SFAs → plant MUFAs or linoleic acidへの置換"は総死亡率、CVD死亡率、特定原因別死亡率を低下する








【discussion】
飽和脂肪酸(SFAs)と総死亡率、心血管疾患死亡率の関連性は、米国NHS、HPPS、Takayama studyと一致。この報告ではTFAと総・CVD死亡率増加関連し確認する必要がある。洋食では動物脂肪が主体となるため、総単価不飽和脂肪酸(MUFAs)と飽和脂肪酸(SFAs)は強相関有り、関連性を不明確にする可能性有り。

ω3-多価不飽和脂肪酸(PUFAs) は心血管疾患、がん、呼吸器系疾患、アルツハイマー病、慢性肝疾患などの慢性炎症性疾患予防効果の可能性あり、LDLに影響を与えず、血中トリグリセリド低下をもたらすが、メタアナリシスによると心臓死を含むCVD予防効果無しと結論づけられているが、二次予防では虚血性心血管疾患における冠動脈性心疾患二次予防効果が示されている。marine-n-3 PUFA摂取とCVD・がん・アルツハイマー病死亡率逆相関は他報告と一致。

α-リノレン酸(ALA)の生理学的効果はmarine ω-3 PUFAsへの転換もあるが転換率は限定的で性別に依存。この研究ではがん死亡率が従来の報告より強固であった。α-リノレン酸(ALA)摂取と総死亡率増加、呼吸器系疾患死亡率増加の関連性はまだ再検が必要で前向き研究・RCT必要。不飽和構造故、α-リノレン酸(ALA)はリノール酸(LA)より12−15倍transformしやすく、α-リノレン酸(ALA)の40%がトランス型転換する可能性有り。

リノール酸(LA)は、CVD、がん、糖尿病、感染症による死亡リスクと強い逆相関が有り、これらは一般的な住民ベース前向き研究の所見と一致するが、最近のメタアナリシスでは飽和脂肪酸(SAFs)からリノール酸(LA)を差し引くと総死亡・CVD死亡率の減少は認められない。さらにCVD死亡率の逆相関もCVD患者に於ける正相関との一致性も観られず。この不一致性は、トランス型脂肪のphase-out前の10年間で、マーガリン使用がTFAsに含まれるリノール酸(LA)として記載されたためと思われる。

糖尿病死亡率に関してリノール酸(LA)摂取量と逆相関は、ω6 PUFAバイオマーカーと2型糖尿病有病率の逆相関を示すメタアナリシスと方向性一致。リノール酸(LA)摂取とがん・感染症死亡率の逆相関は今後解明必要。

対照的に、アラキドン酸は総死亡率、CVD死亡率、がん死亡率、呼吸器系疾患死亡率の増加と関連。リノール酸(LA)由来だが、アラキドン酸過剰摂取は炎症誘発・血栓形成促進的で、病態生理変化の大元の一つ。脂肪細胞アラキドン酸バイオマーカーは心筋梗塞・心血管死亡率と正相関。アラキドン酸と飽和脂肪酸(SFA)摂取量は弱い相関(Spearman 係数 0.28)、アラキドン酸摂取量と死亡率増加の関連性は懸念すべき

多価不飽和脂肪酸(PUFA)の蘇生に関して、ω3/ω6比は総死亡率、がん死亡率、糖尿病死亡率低下と相関、しかしアルツハイマー病死亡率増加と相関。marine ω3-PUFAとαリノレン酸(ALA)の相関性が大きく解離、リノール酸(LA)とアラキドン酸(AA)でも解離があるため、ω6/ω3比は特異的ω3およびω6PUFAと比較したときに死亡率の意義あるバイオマーカーとなり得ない

サブグループ解析にて女性より男性の方が、飽和脂肪酸(SFA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、リノール酸(LA)、marine ω3PUFA摂取量が総死亡率においてより明確な相関が示され、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の代謝の性別dimorphismの存在、性別ライフスタイル差が関連するのかもしれない。


特定種脂肪摂取量と死亡率の関係の明確化必要で、今回はこの端緒と・・・

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