2017年8月15日火曜日

呼吸数20回って正しいのか?

呼吸回数は心拍と違って観察者が資格確認前提のため客観的正確性に問題が残る。その反面、quick Sequential [Sepsis-related] Organ Failure Assessment (qSOFA)などでは呼吸回数22という2分割評価されるなど予後評価として用いられることが多い。


不正確な呼吸回数測定は、患者のその後に影響を与えるため、改めて訓練なり、客観的測定導入を検討すべきと思う


Is everyone really breathing 20 times a minute? Assessing epidemiology and variation in recorded respiratory rate in hospitalised adults
Jack Badawy , et al.
http://qualitysafety.bmj.com/content/early/2017/07/23/bmjqs-2017-006671

6病院の連続入院患者の最大呼吸回数と、心拍分布評価
変動係数: coefficient of variation (CV=SD/mean)評価


36,966の入院、記録呼吸回数(RR)は正規分布せず ( P < 0.001 )、右へ歪度 (歪度:skewness 3.99)、18と20に値クラスター分泌(尖度 kurtosis 23.9)

対照的に、心拍(HR)は正規分布

心肺診断、低酸素患者ではvariation比較的分布 (CV 増加 2% - 6%)

1318名の患者で、病棟からICUへ移送(n=1318)のうち、 移送前日RR variationは入室時のそれと同様(CV 0.24 vs 0.26)で、呼吸不全移送のそれでさえ同様(CV 0.25)





結論:観察パターンとしては、RRは不正確、心肺障害の患者でさえ不正確で、"正常"とされる 18と20回という数値で表現される。
スポット推定値は、臨床的安定性を示唆するには適当かもしれないが、不正確なRR値が、一方では疾患重症度の分類ミス、ひいては患者の安全性を脅かすこととなるかも知れない。病院職員各位のトレーニングを強化することで正確なRRをもたらすことを推奨する。

2017年8月13日日曜日

SUMMITセカンダリ解析:中等度気道閉塞・心血管高リスクでのフロ酸フルチカゾンレジメンによる肺機能減少速度緩徐化

COPDにおいては、吸入ステロイド(ICS)は、肺炎リスク増加懸念が障壁となってるが、ある種の患者カテゴリーにおいては有益性優れ、選択的プライオリティ存在の可能性ある


Fluticasone Furoate, Vilanterol and Lung Function Decline in Patients with Moderate COPD and Heightened Cardiovascular Risk.
Calverley PMA et al. ; SUMMIT Investigators.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Jul 24. doi: 10.1164/rccm.201610-2086OC.


Chronic obstructive pulmonary disease (COPD)は、気道閉塞なしの同年齢に比較して、継時的肺機能減少加速する特徴がある。軽症重症COPDの継続的知見がオリジナルなFletcher and Petの観察研究で確認されたことになっているが、近年の研究では必ずしも3−10年follow upデータではユニバーサルなものではない。タバコ喫煙が最重要な疫学的要素であることは間違いないが、横断的長軸的データでは、FEV1減少速度は禁煙で緩徐化するも、近年のタイミングがその後の肺機能減少への程度に影響を与える。吸入薬剤がFEV1減少程度にmodifyするかが課題で、現状の報告ではmixedな状況。
UPLIFTで1回投与LAMAによる中等度気道閉塞・治療 naïve 比較での効果が示された。ICSでのスパイロメトリーCOPD重症度の影響認めがたい報告初期あったが、ICS/LABA併用での中等度COPD患者の気道炎症効果と、TORCH研究でのFEV1減少への効果相関性報告。
3年間の報告、ICS fluticasone propionateの中等度COPD思慮選択患者での肺機能減少抑制効果と気道炎症低下効果が最近示された。
Lapperre TS, Snoeck-Stroband JB, Gosman MM, Jansen DF, van Schadewijk A, Thiadens HA, Vonk JM, Boezen HM, Ten Hacken NH, Sont JK, Rabe KF, Kerstjens HA, Hiemstra PS, Timens W, Postma DS, Sterk PJ, Group GLUCOLDS. Effect of fluticasone with and without salmeterol on pulmonary outcomes in chronic obstructive pulmonary disease: a randomized trial. Ann Intern Med 2009; 151: 517-527.

しかし、ICSの疾患進行へのマーカーとしてのインパクトは未だ不確実。

SUMMITではランダム二重盲検平行群研究で、ICS fluticason furoate比較で、LABA vilanterolと2剤とプラシーボ比較で、中等度気道閉塞、心血管疾患発症リスク・病歴で比較。全死亡率エンドポイントをプライマリ検討とした場合治療群間で差を認めず、セカンダリアウトカム事前設定ではFEV1減少への治療効果あった。

そのため、COPD中等度スパイロメトリー障害でのICS/LABA治療の単剤・併用での肺機能減少への効果確認し、心血管併発症が明らかでない場合と比較した、より重症のCOPDでの検証でFEV1減少に関わる要素と言えるのか検証。




 Study to Understand Mortality and MorbidITy (SUMMITのセカンダリアウトカムの事前設定解析
 プラシーボと比較した、
  inhaled corticosteroid fluticasone furoate 100 μg (FF)
  long-acting beta-agonist vilanterol 25 μg (VI)
  combination (FF/VI)

中等度COPD患者・心血管リスク高い、event-driven ランダム化プラシーボ対照トライアル 16,485名
スパイロメトリーを12週毎測定
治療測定1回最小限施行15,457名で平均7回のスパイロメトリー施行。

補正FEV1減少速度は、プラシーボ -46 mL/year (-3.0% of baseline)、VI -47 mL/year (-3.1%) 、FF -38 mL/year (-2.5%) 、FF/VI -38 mL/year (-2.3 %)

FF含有レジメンではプラシーボ比較で減量速度緩徐化 (p<0 .03="" nbsp="" p="">FEV1減少速度は現行喫煙者で促進、低BMI、男性、心血管疾患存在で促進。

結論:中等度COPD・高心血管リスク患者で、FF単独、VI合剤ではFEV1減少速度低下効果あり






2017年8月12日土曜日

COPD: カルボシステインの急性増悪減少効果、QOL改善効果

 呼吸器内科でもムコダイン(カルボシステイン)のエビデンス知らないアホがいるらしい

Effect of carbocisteine on acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease (PEACE Study): a randomised placebo-controlled study
The Lancet Volume 371, No. 9629, p2013–2018, 14 June 2008 

 この報告、臨床上意味ある報告なのだが・・・ 

これを含め、システマティック・メタアナリシスという形の報告


Effect of carbocisteine on patients with COPD: a systematic review and meta-analysis
 Authors Zeng Z,  et al.
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Published 2 August 2017 Volume 2017:12 Pages 2277—2283
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S140603
https://www.dovepress.com/effect-of-carbocisteine-on-patients-with-copd-a-systematic-review-and--peer-reviewed-fulltext-article-COPD


カルボシステイン 500 mg TID長期処方にて急性増悪回数減少、1回以上の急性増悪回数減少、QOL改善効果をもたらすかもしれない


1357名を含む、4研究
急性増悪総回数 vs プラシーボ -0.43; 95% 信頼区間[CI] -0.57, -0.29, P<0 .01="" br="">QOL改善 6.29; 95% CI -9.30, -3.27
1回以上の急性増悪患者数減少 0.86; 95% CI 0.78, 0.95

FEV!、副作用、入院率には差を認めず



2017年8月10日木曜日

ゲーム脳:習慣的ゲーマーは反射学習型になりやすく(vs 空間学習型)、海馬の減少をもたらす

子供・青年期・高齢者において、ピデオゲームは認知的スキル改善効果が示されているが、一方、この新しい知見では、脳可塑性低下をもたらすことが危惧される。

左海馬灰白質の有意減少が、対照群と比較して習慣的ビデオゲームプレイヤーたちに観察された。

3つの研究、ほぼ100名対象


spatial learnerとは、海馬志向で、種々ランドマークに頼りゲームを通して方向、移動を行う。
response learnerは、報酬系・尾状核志向で、シークエンスの左右ターンを記憶する。



  • 1つ目の研究で、非習慣的プレイヤーに比較して、習慣的ビデオゲームプレイヤーでは、左海馬の灰白質有意減少あり。習慣的ビデオゲームプレイヤーではresponse learner比率 83%、非習慣プレイヤーではその比率 43%。



  • 2つ目の研究は、43の習慣的ゲームプレイヤーでない対象者をランダムに、まず、人シューティングゲーム、3-Dプラットホームゲームを90時間行わさせる。習慣的シューティングゲームプレイヤーでないresponse-learnerは、海馬灰白質減少をもたらしたが、spatial learnerでは減少しない。 3-Dゲームでは、両者とも灰白質増加するも、脳の領域で異なる差を示した。



  • 3つ目の研究は、21名の非習慣的ゲームプレイヤーで、ロールプレイングビデオゲーム割付を行うと、response-learnerでは灰白質は減少するも、spatial learnerでは増加した。


Impact of video games on plasticity of the hippocampus
G L West , et al.
Molecular Psychiatry advance online publication 8 August 2017; doi: 10.1038/mp.2017.155
http://www.nature.com/mp/journal/vaop/ncurrent/full/mp2017155a.html




ゲームは、万人の脳に良いわけではない。特にゲーム習慣化→反射的学習に陥りやすく、海馬機能を悪化する可能性あり

2017年8月8日火曜日

久山町研究:血圧日差変動と認知症リスク ;血管性認知症とのみ相関

久山コホートでの検討

VaD:血管性認知症
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/sinkei_degl_2010_07.pdf


アルツハイマー病前駆症状として中枢神経構造の変化による自律神経障害により、アルツハイマー病では血圧変動し難い。一方、VaDではdirectなshare stressの反映にて障害と直結するという考察、もちろん、メンタル・身体的ストレス、睡眠障害、ライフスタイルの不規則性なども関与するだろうとのこと。


Day-to-Day Blood Pressure Variability and Risk of Dementia in a General Japanese Elderly Population
The Hisayama Study
Emi Oishi,  et al.
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.116.025667
Circulation. 2017;136:516-525


1674名、60歳以上認知症無し5年フォローアップ(2007-2012)
家庭血圧毎朝3回測定、メディアン28日間

収縮期血圧・拡張期血圧 day-to-day 血圧変動 、これの変動係数 coefficients of variation (CoV) を4分位化してハザード比として、全原因認知症、(脳)血管性認知症(VaD)、アルツハイマー病を評価

フォローアップ中、全ての認知症194名、VaD 47名、AD 134名
年齢・性補正発症率は全認知症、VaD、ADで家庭血圧CoVレベル増加ほど高い  (all P for trend < 0.05)
家庭血圧SBPを含む寄与要素補正後、これらの相関性不変
家庭血圧SBPのCoV値第1四分位比較、全認知症、VaD、AD発症リスクは、四分位高値で高い  (全認知症 ハザード比=2.27, 95% 信頼区間1.45–3.55, P< 0.001 ; VaD ハザード比=2.79,, 95% 信頼区間=1.04–7.51, P=0.03 for VaD; ADハザード比=2.22, 95% 信頼区間=1.31–3.75, P< 0.001 for AD)

家庭血圧測定DBPのCoV値でも同様相関

一方で、家庭血圧測定SBP値はVaDリスクと相関するも全認知症、ADリスクとは相関せず

家庭血圧測定SBP値と、家庭SBP CoV値に、認知症サブタイプどれでも、相関認めず











集団においては血圧値は正規分布するのかもしれないが、果たして、個体の変動で正規分布するのだろうか?

家庭内血圧で最大値、最小値で、標準偏差推定するという試みがある


2017年8月3日木曜日

睡眠時無呼吸症候群:安静時酸素消費量の低下はIL-6メチル化低下、IL-6高値へ

 睡眠時無呼吸症候群における、安静時基礎代謝低下→メタボリックヘルス悪化の機序


Low Oxygen Consumption is Related to a Hypomethylation and an Increased Secretion of IL-6 in Obese Subjects with Sleep Apnea-Hypopnea Syndrome
Lopez-Pascual  et al.
Ann Nutr Metab 2017;71:16-25
https://doi.org/10.1159/000478276

【背景】 Deoxyribonucleic acid (DNA) methylation はエピジェネティックな変化を遺伝子発現調整上もたらし、多くの多要素疾患のリスクに寄与する。
SAHSを有する肥満者で、安静時酸素消費量の、血液サンプルでglobal および gene DNAメチル化、炎症性マーカーの蛋白分泌への影響検討

【方法】44名のSAHS肥満:安静時酸素消費量によるカテゴリー別
DNAメチル化レベルを評価:methylation-sensitive high resolution melting approach

【結果】酸素消費量上昇群に比べ低下群ではIL6遺伝子CpG islandではメチル化低下を示すが、しかし、血中IL-6は低下群で高値 (p < 0.05)
さらに、TNF、「長鎖散在反復配列」(" long interspersed nuclear element" LINE) 1 遺伝子CpGsのDNAメチル化の加齢関連喪失を認めた (B = -0.82, 95% CI -1.33 to -0.30, -0.46; 95% CI -0.87 to -0.04)

血中 peptidase inhibitor, clade E member 1 (r = 0.43; p = 0.01)、 IL6 (r = 0.41; p = 0.02) のCpGメチル化レベルはfat-free massと正の相関


【結論】
炎症性遺伝子調整上酸素の寄与大きいこと示唆。
安静時の酸素消費量増加はメタボリック・ヘルス上臨床的バイオマーカー





2017年7月27日木曜日

うつ: Two-Question Screen



 The Two-Question Screen is a self-rating screening instrument that consists of just two questions and can be completed in 1–2min.
  The two questions asked for symptoms in the past month are:
       (a) ‘Have you been troubled by feeling down, depressed or hopeless?’
       (b) ‘Have you experienced little interest or pleasure in doing things?’
 カットオフは1以上

      
従来の質問法日本語訳を参考にすると
  • 気分が重かったり、憂うつだったり、絶望的に感じる
  • 何かやろうとしてもほとんど興味がもてなかったり楽しくない
こんなものか?
     

Comparison of diagnostic performance of Two-Question Screen and 15 depression screening instruments for older adults: systematic review and meta-analysis.
Kelvin K F Tsoi,  et al.
The British journal of psychiatry : the journal of mental science. 2017 Apr;210(4);255-260. 

doi: 10.1192/bjp.bp.116.186932.
16のスクリーン・インスツルメンツ、133研究、被検者46651名のシステマティック・レビュー&メタアナリシス
2主要研究は、半数(64/133)が Geriatric Depression Scale (GDS) の様々なバージョン、Two-Question Screenは 6
Two-Question Screenの感度 91.8% (95% CI 85.2–95.6) 、特異度67.7% (95% CI 58.1–76.0)、診断パフォーマンスAUCは90%、clinicianのrated scaleを含むパフォーマンス上他のインスツルメントと同等
One-Question Screenの診断パフォーマンスAUCは78%

サブ解析でmajor depression disorderのためのスクリーニングとして Two-Question Screenもパフォーマンス良好







スクリーンとしては最適ということだが、果たして、こに”all or none”という2分割質問に、皆が皆、直にこたえてくれるだろうか?


noteへ実験的移行

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