2012年2月7日火曜日

うつ病治療と自殺念慮・自殺関連行動

「抗うつ薬で自殺が増加するか?」という問題は、世界的に、大きな問題となった。

日本では、他分野同様、関係団体の先生たちが、根拠ある証拠を示さず、大声を張り上げるだけ、あるいは、立場を利用して、強引に、強弁をふるうだけという事態が日本では続いてきた。

SSRIが自殺の危険性をたかめるという誤った認識? 2005年 04月 27日

これで結論とは思えないが、SSRIと自殺関連の問題に少しエビデンスが加わった。

ONLINE FIRST
Suicidal Thoughts and Behavior With Antidepressant Treatment
Reanalysis of the Randomized Placebo-Controlled Studies of Fluoxetine and Venlafaxine
Robert D. Gibbons, PhD; C. Hendricks Brown, PhD; Kwan Hur, PhD; John M. Davis, MD; J. John Mann, MD

Arch Gen Psychiatry. Published online February 6, 2012. doi:10.1001/archgenpsychiatry.2011.2048
http://archpsyc.ama-assn.org/cgi/content/full/archgenpsychiatry.2011.2048

フルオキセチン (Fluoxetine:プロザック)と ベンラファキシン(venlafaxine: エフェクサー)のすべてのスポンサー施行RCT

自殺念慮,(Suicidal thoughts) ・自殺関連行動(suicidal behavior)は、fluoxetineやvenlafaxineともプラシーボと比べ、成人・老人患者とも時と共に減少。

若年者では、自殺念慮・自殺関連行動治療の有意な影響は認めず、しかし、うつそのものは治療で反応。

成人では、うつ症状減少につれて自殺念慮(suicidal ideation)及び自殺企図(suicide attempt)は、減少する。

全年齢群共に、うつ重症度は薬物により改善し、希死念慮(suicidal ideation)や自殺行為と有意に相関する。





でも、CBTなどの対応がなされてない日本の精神科医医療において、果たして、上記報告を日本にそのまんま適応できるだろうか?


【関連】
SSRIと自殺 2007年 06月 28日

SSRIと自殺  BMJ読者欄から 2005年 05月 13日




ところで、
要約中だけで、”suicidal thoughts and behavior”、”suicide ideation and attempts”、”suicide ideation or behavior”という言葉が出てきている。

ステッドマンには、“suicide”のみ記載。

自殺傾向ハイリスク者に対する介入研究で考慮すべき事項に関する手引き・米国国立精神衛生研究所(http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/book/book8.pdf)の日本語訳に従うと、
自殺傾向(suicidality)
自殺関連行動(suicidal behavior)
自殺既遂(completed suicide)
自殺未遂(attempted suicide)
自殺念慮(suicidal ideation)

"suicide thought や suicide apptemptはこの中では英語はあるものの対日本語はなかった。

私が知らないだけなのだろう、自殺関連用語の統一明示を願いたい。



 いま、GKB47なる言葉が問題になってるが、命名はともかく、なんらかの科学的根拠あるのか?

 抗うつ薬と自殺の関係すらまともなエビデンスを提示できなかった日本のお偉いさんたち

その人たちに、エビデンスに基づく自殺対策行政基本理念を・・・と言っても無駄なのだろう。

【参考】
自殺予防対策(厚労省):http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/
精神科救急医療ガイドライン(自殺未遂者対応)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/dl/11.pdf
自殺関連用語の定義について
「自殺をしたい」と考えることが自殺念慮であり、自殺念慮により自殺するための具体的な行動を行い(自殺企図)死に至った場合は自殺(自殺既遂)であり、生存している場合は自殺未遂と定義する。一方、自殺念慮は存在せず、自殺の意図はなく故意に自らに損傷を加える行為を自傷行為とする。

上述する、自殺傾向ハイリスク者に対する介入研究で考慮すべき事項に関する手引き・米国国立精神衛生研究所(http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/book/book8.pdf)と異なる定義!!!


この辺に、この関係者たちのいい加減さが・・・ 国家的取り組みをするなら、定義をまず統一して議論や検討を行うのが当たりまえ。片方では米国など外国の対策を直輸入しながら、他では別の定義で議論をして、科学的エビデンスじゃなくて、ほとんど直感で政策(愚策)を決めていこうとする行政。

だから、ゴキブリ47なんて考えつくのだろう!

以下のラジオ文化放送”sokotoko"のtweetを見ると、”有識者の会議”って嘘で官僚が一方的に考え、頭空っぽの軽薄な蓮舫がそのまんま了承した代物。

岸博幸氏「今朝のキーワード『GKB47』なぜ変なネーミングなのか?役所が考え、有識者の『自殺対策推進会議』にかける。この会議が開催されない半年間に決まった。億を越える予算。主導すべき担当大臣だった蓮舫や総理は詫びるべき。他人事のような反応」 #sokotoko @tim1134 (H24.2.8)

日本の行政は、”有識者の意見”全く反映されてない仕組みになっている。

官僚が優秀かって? 冗談じゃない!

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