2012年6月28日木曜日

低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす

低GI食は、低脂肪食、低炭水化物食(Atkins食)より負の影響が少なく体重維持効果的 2012年6月27日

上記解説がなされたばかりだが、同様に、いわゆるAtkinsダイエットは、リスクの疑念から、リスク明確化の時代へ変遷していると思う。


今回の報告で、炭水化物制限・高タンパク食は、臨床的アウトカム上のリスクが認められた。

"Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study"  
Lagiou P, et al 
BMJ 2012; DOI:10.1136/bmj.e4026.


ランダム住民サンプルとして43396名のスウェーデン女性(30-49歳)を食事アンケートをとり、15.7年間フォローアップ

炭水化物摂取10分の1減少、蛋白摂取増加、低炭水化物・高蛋白スコア2ユニット増加により統計学的に心血管疾患全体頻度増加と有意に相関 ; 頻度比率推定はそれぞれ  1.04 (95% 信頼区間 1.00 ~ 1.08), 1.04 (1.02 ~ 1.06),  1.05 (1.02 ~ 1.08)

5つの心血管アウトカム研究に関するこれらのスコアとの相関に関し、heterogeneityは存在せず: 虚血性心疾患 (n=703), 虚血性卒中 (n=294), 出血性卒中 (n=70), くも膜下出血 (n=121), 末梢血管疾患(n=82)




 蛋白、炭水化物摂取エネルギー比較は残差法(residual method)を用い行われている。
(Willett W, Stampfer M. Implications of total energy intake for epidemiological analyses. In: Willett W, ed. Nutritional epidemiology. 2nd ed. Oxford University Press, 1998:273-301.)


食事内容はアンケート法なのが限界・・・食事に関する報告はこれがいつも問題になる。





さて、 日本では、極端な糖質制限食がなにかと話題になっているが、果たして、問題はないのだろうか? 変形版low-carb.ダイエットという見方も出来る。

極端な糖質制限で血糖が下がったとしても、心血管疾患リスク増加している可能性がある。

医療関係者なら、臨床実地上助言をするなら、十分確立した事象と、脳内思考とを区別すべきだと思う。軽挙な主張だけを繰り返し、目先の血糖値だけを根拠にしている人たちに遭遇するにつけ情けなくなる。

 極端な糖質あるいは炭水化物制限食は、心血管疾患に関してリスクを有する可能性があることを説明した上で行われるべきである。
血糖や体重の短期的効果だけのメリットだけで 、極端な栄養指導がなされることに、警告が発せられるべきであろう。

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