2012年7月4日水曜日

トキソプラズマ感染と自殺行為 → bad journalismの格好の対象

トキソプラズマ感染と、神経発達障害・統合失調症(Psychol Med. 2012 Apr 16:1-19.)、不安・うつなど感情疾患(Biol Psychiatry. 2012 Feb 9.)、Am J Obstet Gynecol. 2011 May;204(5):433.e1-7.)、人格障害(Folia Parasitol (Praha). 2010 Jun;57(2):129-35.)など多くの精神疾患との関連が取りざたされている。


”母親における、トキソプラズマ感染と自傷行為”


前向きコホート研究から、T gondii IgG抗体値と自傷行為、暴力、自殺企図、自殺の関連性を検討

自傷行為の相対リスクは抗体の有無で、相対リスク 1.53 (95% CI, 1.27-1.85) で、IgG抗体増加ほどリスク増加。
自傷的自殺行為において、相対リスク 1.81 (95% CI, 1.13-2.84)
自殺に関して  2.05 (95% CI, 0.78-5.20)

自傷の繰り返しも同様に、相対リスク 1.54 (95% CI, 0.98-2.39)


Toxoplasma gondii Infection and Self-directed Violence in Mothers
Marianne G. Pedersen, et. al.
Arch Gen Psychiatry. 2012;():1-8. doi:10.1001/archgenpsychiatry.2012.668


この論文、CNN、NPR、TIMEにおいて、報道され、猫ちゃん達に迷惑が・・・という意見

バランスを欠いたセンセーショナリズムをねらった報道になりやすい。身近な感染症の話題。
さらに、精神疾患と関連するとなると、過剰な情緒的反応を読者に引き起こす可能性がある。
それを情報提供側はわかっていてわざと行う、bad journalism・・・

Cats and Toxo: Good Kitty, Good Science, Bad Journalism
Inaccurate reports about a study that links women who commit suicide to toxoplasmosis could harm cats, people and the women they intend to protect.
By CAT FANCY Editor Susan Logan
Posted: July 3, 2012, 3 p.m. EST
http://www.catchannel.com/news/2012/07/03/cats-and-toxo-facts-myths.aspx
(かなり意訳)
1)猫そのものが、飼い主を自殺に追いやることは無い、むしろ、癒やしの効果で血圧を下げるなどストレス反応軽減に働く。
2)トキソプラズマ感染を引き起こすリスク状態にあるのは猫の生涯においてわずか数日。猫の糞便処理後、手洗いを徹底するなど徹底する必要がある。
3)妊婦や免疫不全状態では特に注意が必要で、生肉接触後、ガーデニング後など手荒し徹底と、調理時生肉接触するキッチンアイテムに注意が必要。


話を膨らませて読者や視聴者を不安に至らしめる、”bad journalism” ・・・ 日本でも、毎夜、NHKを含めそういう放送がなされてます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note