「ドラッグ」としての不正使用で話題になるが、離人的効果、視覚・聴覚知覚の歪みと離脱感覚をもたらすclub drugとしての作用があり、ゆめのような感覚、幻覚、せん妄、健忘を来す可能性もある。
ケタミンのうつに対する迅速改善効果が以前から報告され、改善は数時間以内に明らかになり、週単位・月単位効果が継続することが示されていた。しかし、この研究の知見では、それほど長く続くことはなく7-10日間程度の効果であった。
DOI: 10.1126/science.1222939
Review
Synaptic Dysfunction in Depression: Potential Therapeutic Targets
Science 5 October 2012: Vol. 338 no. 6103 pp. 68-72
脳研究・臨床研究で、うつでは、気分や認知調整に関わる脳の領域、PFCや海馬を含む領域が縮小し、 これらの領域ではニューロンシナプスの減少が見られる。抗うつ薬はこのニューロン障害を防止し可逆的状況を作る可能性はあるが、従来の抗うつ薬ではその効果は限定されており、数週間から数ヶ月かかる。
注目すべき発見として、ケタミン(NMDA: N-メチルーアスパラギン酸受容体 拮抗阻害剤)で、他抗うつ薬抵抗性の症例でも急激(数時間)で抗うつ作用を示すことが示された。
基礎研究で、ケタミンはシナプス新生を急激に促し、慢性ストレス原因のシナプス障害の可逆性を示す。
これらの知見により、感情回路結合のホメオスターシスコントロールに中心的役割が注目され、うつのsynaptogenic hypothesisおよび治療反応の原理が形作られた。
ケタミンは、グルタミン酸の遊離トリガーとなり、シナプス数増加をもたらす。
グルタミン酸といえば、「シナプス伝達とシナプス可塑性」なのだが・・・
http://neuro.dept.med.gunma-u.ac.jp/gakubu/unit7.pdf
ニューロン・シナプスへの構造的変化が示されている。
2012年10月6日土曜日
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