2012年10月2日火曜日

米国の看護サービス:“skilled nursing facility”(SNF)の終末期利用実態

この論文は、米国でのメディケア内看護サービスの老人終末期利用実態調査で、終末期利用が多く、この利用者は在宅死よりナーシングホームでの死亡比率が多いというもの。ナーシングサイドから見れば、 “在宅死”は望ましい死の形態とは言えないと言える。

 日本の医療施策は、“在宅死が最善”という妄想に陥っており、その方向性で施策が形成されている。自宅環境の整ってない大多数の慢性疾患患者に様々な弊害や苦悩を当てることとなる。

一方、前述のごとく、医療介護に関して、分離せよという、政治的根拠により、医療・介護系サービスが十分受けられないという矛盾は、介護保険開始からそのまま放置され、さらに、矛盾は拡大している。
看護というのはそもそも医療/介護横断的なものだし、医療/介護の連続性こそ担保されるべき・・・
日本とアメリカの医療・介護システムは根本的に異なる。日本の医療・介護区分は自然発生的、必然的なモノで無く、政治的・業界利益的。故に、不自然な区分がなされている。

・・・という長い前書き。


死亡前6ヶ月の間に、多くの老人は入院を経験し、不可治療として、“skilled nursing facility”(SNF)を経験する。SNFの使用とメディケアによる入院後のパターン調査。

SNFとは特化看護サービス提供システムで、ナーシングホーム利用中でも在宅でも利用可能なもの

日本の老健施設や特養施設が他サービス排他的なのとは対照的。

 Use of the Medicare Posthospitalization Skilled Nursing Benefit in the Last 6 Months of Life
Katherine Aragon,  et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/archinternmed.2012.4451.


調査された5163名の平均死亡時年齢は82.8歳、女性54.5%、ナーシングホームに23.2%入所
トータルで、死亡前6ヶ月でSNFサービス付使用30.5%、9.2%がSNFサービス利用中死亡。85歳以上の患者で、SNFサービス利用は特に多く、特に高校卒業教育、非担癌、ナーシングホーム居住中、在宅医療サービス利用者で多い。死亡時期が迫ってると想定される場合に多い  (P < .01 for all)

SNFサービス利用する地域住民において、ナーシングホームでの死亡 42.5%、在宅 10.7%、病院死亡 38.8%、その他 8.0%

SNFサービス非利用地域住民では、ナーシングホームでの死亡 5.3%、在宅死亡40.6%、病院死亡 44.3%、その他 9.8% 

結論としては、SNF利用高齢者の1/3はメディケア退院後サービス下で、死亡前6ヶ月間SNFを利用、SNF利用の11人に1人が死亡することとなる。故に、緩和ケアサービスがSNFレベルのケアでも導入されるべきというもの。




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