2013年2月20日水曜日

呼吸器疾患:リアルワールドでのアンビリーバブルな診断

【症例】70代男性・喫煙歴あり
【現病歴】1ヶ月前からの呼吸困難(安静時・労作時ともに)出現
初診開業医で肺気腫として説明され
その地域中核病院の呼吸器外来の専門医紹介
そこの専門医にて、呼吸機能されることなく、CTのみで肺気腫と診断
持続性抗コリン剤投与
 【当院スパイロメトリー】1秒量 1.06L、FEV1% 58.2%                      
【当院CT】


今、話題?の気腫合併肺線維症(CPFE)を疑う












・・・・それだけ・・・だろうか?



実は、初診時に、気管支拡張剤吸入して、FEV1 2.01L まで改善しているのである。そして、吸入ステロイド+LABAにて、次回受診時呼吸機能正常化

要するに、患者さんの訴えである「呼吸困難」は、喘息によるものと断定したい

患者さんの訴えは、比較的急激な変化であり、COPDなどに見られる緩徐悪化でもなく、気道感染きっかけの急性増悪エピソードもない、安静時呼吸困難を示すもの

もちろん、気腫合併肺線維症の存在を疑い、その評価も必要とは思うが・・・

【結論】拡張剤による一秒量の変化を評価しない、呼吸器専門医が世の中に入るらしい。
この症例では、スパイロメトリーさえされてなかった・・・アンビリーバブルな世界が存在する。

うっ血性心不全患者に、オンデマンドで、シムビコート使ったケースも最近経験した。
某メーカーがSMARTと宣伝しているために・・・誤解使用が広まってるようだ。

ちなみに、以下が、苦しいときだけシムビコート使用するよう言われた症例のレントゲン写真
 ↓
鹿児島県というところは、気管支拡張効果のためスパイロメトリーを2回、2週間後スパイロメトリーを行うと、過剰診療だと判断して 保険査定をするという未開の地である。 スパイロメトリーしなくても、COPDや喘息診断は可能な優秀な医師たちがすむ地域らしい・・・ スパイロメトリーせずに、スピリーバ処方を診断根拠不明で査定する方が普通だと思うのだが・・・ この地域はGINAやGOLDのガイドラインに書かれている医学的常識が通じない・・・

そもそも、心電図を一度もとらず、狭心症という心電図を保険診療レセプトでだされたとき、審査関係者はそれを問題にせず認めるだろうか?そんなことはないはず・・・まともなレセプト審査なら・・・
ところが、スパイロメトリーもしくは肺機能検査をせず、気流制限がその定義であるCOPD、気道可逆性がその定義の一つである喘息・・・その診断根拠を問題にせず、それどころか、まともに検査・評価・診断した方を過剰診療と判定する鹿児島県の医療レベル・・・実に嘆かわしい状況である。

3 件のコメント:

  1. このコメントは投稿者によって削除されました。

    返信削除
  2. 糖尿病患者を診ても血糖値を見ず、肝障害患者を診ても肝機能を調べず、心不全患者を診ても心機能を見ず、
    喘息・COPD患者が来ても呼吸機能検査はしない。というなら、一貫性がある。しかし、今は自分が呼吸器内科医であることを告白することが恥ずかしい。ちなみに、製薬企業や学会は呼吸機能検査が普及しないことを望んでいる。

    返信削除
  3. そうなんですよねぇ。COPD診断にアンケート法をなどと製薬メーカースポンサーの講演会で平気でしゃべる講師もいます。そもそもCOPDに関する治験って、循環器系薬剤治験と違い、アウトカムのレベルが雲泥の差。COPD薬剤は一秒量が20−30mlでもOKなのに、循環器系薬剤はよりシビアなアウトカム、死亡率・心血管疾患発症率などを指標にしてます。呼吸器系薬剤への評価が甘すぎ、製薬メーカーにとってとてもおいしい領域となってます。そのためか、スポンサーサイドの呼吸器系学会のおえらいさんの多いこと多いこと・・・

    返信削除

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note