2013年8月14日水曜日

前向きコホート:Visit to visit variability―血圧変動は、高齢者認知機能と関連

受診のたびに血圧値変動することは意外なほどおおきな影響を与えているという報告が注目されている。
Prognostic significance of visit-to-visit variability, maximum systolic blood pressure, and episodic hypertension
The Lancet, Volume 375, Issue 9718, Pages 895 - 905, 13 March 2010



血圧visit-to-visit変動は脳血管障害と関連し、観察研究でも、白質内hyperintensity、頸動脈IMT、動脈硬化病変と関連性が示唆されている。薬剤クラス効果やクラス内効果などの議論もあるようで、使用薬剤の検討必要がありそう


前向きコホートで、血圧の受診毎変動は、海馬容積減少など脳内の器質的変化と共に、認知機能低下と関連性が示された。


Association of visit-to-visit variability in blood pressure with cognitive function in old age: prospective cohort study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4600 (Published 30 July 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4600


【目的】 70歳超で、血圧visit-to-visit変動と認知機能関連性研究


【デザイン】 Prospective cohort study.

【セッティング】 PROSPER (PROspective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk)研究、 アイルランドのセンター内共同(アイルランド、スコットランド、オランダ)


【登録者】 5461名、平均年齢 75.3歳、心血管疾患リスク状態にある患者
血圧測定3ヶ月毎3.2年間、 visit-to-visit血圧変動を受診間の血圧標準偏差と定義


【主要アウトカム測定】認知機能4ドメイン( 選択注意力:selective attention、 処理速度:processing speed、  即時記憶:immediate memory、 遅延記憶: delayed memory)

553名のMRI画像、脳容積、脳微小出血・高速、白質高密度


【結果】収縮期血圧visit-to-visit変動値高いほど、全ての認知機能パフォーマンス悪化
・attention (3分位高vs低 平均差) 3.08 秒 (95% 信頼区間 0.85 〜 5.31)
・processing speed −1.16 digits coded (95% 信頼区間 −1.69 〜 −0.63)
・immediate memory −0.27 pictures remembered (95% 信頼区間 −0.41 〜 −0.13)
・delayed memory −0.30 pictures remembered (95% 信頼区間 −0.49 〜 −0.11)



さらに、収縮期血圧・拡張期血圧変動性高値は、海馬容積減少・皮質梗塞と相関
拡張期血圧変動性高いほど、脳微小出血相関( all  p < 0.05)


全ての相関性は平均血圧・心血管要素で補正。


【結論】 血圧visit-to-visit変動高いほど、平均血圧値と独立して、高齢者において、認知機能障害と相関する。

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