2016年4月27日水曜日

RCT: ハウスダスト舌下免疫療法:喘息への効果 吸入ステロイド減量中喘息発作出現までの期間改善

吸入ステロイド(ICS)減量中の喘息コントロールを指標とするというややウィンドウの狭いトライアル。素直に、安定喘息、ICS投与量変化無しの症例を対象にしなかった理由がよく分からない



Efficacy of a House Dust Mite Sublingual Allergen Immunotherapy Tablet in Adults With Allergic Asthma
A Randomized Clinical Trial
J.
Christian Virchow, et. al.
JAMA. 2016;315(16):1715-1725. doi:10.1001/jama.2016.3964.


house dust mite (HDM)舌下(アレルゲン)免疫療法(SLIT)のHDMアレルギー関連喘息への治療オプションとしての可能性検討
二重盲検ランダム化プラシーボ対照化トライアル(2011年8月〜2013年4月、109のヨーロッパトライアル施設)
HDMアレルギー関連喘息成人834名、ICSもしくは合剤でもwell controlに至ってない症例でHDMアレルギー性鼻炎合併
除外クライテリア FEV1予測値比 70%未満、ランダム化前3ヶ月以内喘息入院

有効性は6ヶ月以上ICS使用50%減少時、3ヶ月以内中止完了で評価

1:1割り付け
プラシーボ n=277
HDM SLT錠 :6 SQ-HDM( n=275 )、12 SQ-HDM (n = 282)、ICS+SABAサルブタモール追加

主要アウトカム:ICS減量期間中 中等度・重症喘息急性増悪までの期間
二次アウトカム:前職症状悪化、アレルゲン特異的免疫グロブリン IgG4、喘息コントロール変化、喘息QOLアンケート、副作用イベント

結果
ランダム化 834名(平均年齢 33歳 [range 17-83歳]、女性 48%)
研究完遂 693名

6 SQ-HDMと12 SQ-HDM投与群、中等度/重症喘息急性増悪、プラシーボ対照に比べリスク減少
 (ハザード比 [HR]: 6 SQ-HDM  0.72 [95% CI, 0.52-0.99]  , P = 0.045, 12 SQ-HDM 0.69 [95% CI, 0.50-0.96] , P = 0.03)
観察データベース(full analysis set)の絶対的リスク差はリスク群vsプラシーボ群で 6 SQ-HDM 群 0.09 (95% CI, 0.01-0.15) for the 6 SQ-HDM 群 と、12 SQ-HDM群 0.10 (95% CI, 0.02-0.16)

2つのactive群で有意差認めず

プラシーボに比較して、喘息症状悪化を伴う急性増悪リスク減少 (6 SQ-HDM 群 HR, 0.72 [95% CI, 0.49-1.02]  , P = .11、12 SQ-HDM 群 0.64 [95% CI, 0.42-0.96] , P = .03)
アレルゲン特異的IgG4有意増加

しかし、喘息コントロール指標(ACQ)、喘息関連QOLはどの投与量群でも有意差認めず

全身性アレルギー反応の報告無し

最頻副事象イベントは中等口腔掻痒  (6 SQ-HDM 群 13%, 12 SQ-HDM 群 20%,プラシーボ 3% )、口腔浮腫、咽頭部不快


結論
ICSによりwell controlに至らないHDMアレルギー関連喘息成人において、HDM SLIT治療追加は、ICS減量期間中の中等度以上の喘息急性増悪までの期間を改善し推定絶対的減少は6ヶ月で9-10%ポイント;中等度急性増悪への効果が主。
治療関連副事象はactive dose両方でみられ、長期有効性・安全性評価がなされるべき




house dust mite (HDM):チリダニ (チリダニ【house dust mite】. 無気門亜目チリダニ科Pyroglyphidaeに属する小さなダニの総称)

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