2017年6月17日土曜日

気道表面粘膜糖濃度:あらたな呼吸器感染症標的?


Airway glucose homeostasis: a new target in the prevention and treatment of pulmonary infection
Emma H. Baker,  et al.
Author and Funding Information
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.031
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2633006

気道表面粘膜液(ASL)の血糖濃度 0.4 mM、下気道より12倍ほど濃度が高い
気道上皮同士のtight junctionは、paracellular glucose movement: 傍細胞糖透過性を制限し、気道上皮細胞外ブドウ糖輸送および代謝によりASLよりブドウ糖が除去される。ASLブドウ糖濃度が低い状況は、感染に対して防御的で、細菌増殖を防ぐ意味でも重要である 
気道炎症は、tight junctionのブドウ糖透過性を亢進させ高血糖へする一方、経上皮ブドウ糖勾配を増加し、ASLのブドウ糖濃度増加となる。黄色ブドウ球菌、緑膿菌、グラム陰性菌を含む細菌が増殖のための炭水化物栄養源として利用。
慢性肺疾患急性増悪で重要、特に、糖尿病併発の場合に顕著 
メトホルミンなどのtight junctionの透過性減少する作用、ベータアゴニスト、インスリンなどの上皮細胞ブドウ糖輸送を促進する作用、ダパグリフロジンのような血糖降下作用で気道ブドウ糖ホメオスタシスを改善する可能性有り

細胞培養・動物モデルでのASLブドウ糖濃度減少と細胞増殖抑制は確認されている。
ヒト観察研究ではブドウ糖への影響を与える薬剤で慢性肺疾患急性増悪予防効果示されているが、ランダム化トライアルで検証可能なら必要。










ヒトの検証に関しては


Philips BJ, Redman J, Brennan A, Wood D, Holliman R, Baines D, Baker EH. Glucose in bronchial aspirates increases the risk of respiratory mrsa in intubated patients. Thorax 2005;60:761-764

Alsayed S, Marzouk S, Mousa E, Ragab A. Bronchial aspirates glucose level as indicator for methicillin-resistant staphylococcus aureus (MRSA) in intubated mechanically ventilated patients. J Egypt Soc Parasitol 2014;44:381-388. 



バイオセンサーなどで簡単に測定できれば 良いのだが・・・
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20150218/404807/?ST=health&P=2

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