2017年7月5日水曜日

高齢者一次予防のためのスタチンの意義なし;75歳以上は全原因死亡率増加リスク



75歳以上の一次予防のためのスタチンの意義づけ

ALLHAT-LLTのpost hoc二次解析 65−74歳と75歳以上でのスタチン治療

プラバスタチン40mg vs 通常ケア

プライマリ・アウトカム:全原因死亡率
セカンダリ・アウトカム:疾患特異的死亡率、非致死性MI、致死性冠動脈疾患の複合的アウトカム

Effect of Statin Treatment vs Usual Care on Primary Cardiovascular Prevention Among Older AdultsThe ALLHAT-LLT Randomized Clinical Trial
Benjamin H. Han, et al.
JAMA Intern Med. 2017;177(7):955-965. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1442
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2628971
 【結果】
プラバスタチン群 1467 (平均[SD]年齢 71.3 [5.2]歳、女性 48.0% [n = 704]
通常ケア群 1400  (平均[SD]年齢 71.2 [5.2] 、女性 50.8% [n = 711]

ベースライン平均(SD) LDL それぞれ 147.7 (19.8) mg/dL、147.6 (19.4) mg/dL
year 6までで、 109.1 (35.4) mg/dL、128.8 (27.5) mg/dL




year 6時点で、プラバスタチン割り付け群でスタチン服用なし 42 / 253 (16.6%)、通常ケア群 71.0%




全死亡率ハザード比(プラバスタチン vs UC群)
  • 65歳以上  1.18 (95% CI, 0.97-1.42; P = .09)
  • 65-74歳 1.08 (95% CI, 0.85-1.37; P = .55)
  • 75歳以上  1.34 (95% CI, 0.98-1.84; P = .07) 

冠動脈疾患イベントは両群で有意差認めず


多変量回帰でも結果は非有意性を維持、両治療群・年齢間に有意関連性認めず

【結論】 中等度高脂血症・高血圧の高齢者一次予防のためのプラバスタチン治療にベネフィット認めず、75歳以上では非有意ながらプラバスタチン治療にて全原因死亡率増加傾向が見られる






一次予防に関してはNNT3桁が普通なので、やはり慎重であるべき・・・とは思う
 「何のため?」と根拠の見当たらないスタチン治療は中止考慮あるべき



吹田スコアだけでスタチン治療決定しそうな昨今のガイドライン

なんせ「は「旧GLでは、冠動脈疾患による死亡リスクを検討したコホート研究であるNIPPON DATA80をリスク分類ツールとして採用していた。しかし、近年はスタチン使用の普及により冠動脈疾患死が減少してきたため、死亡リスクよりも発症リスクを重視すべきと考えた」」 などと物騒な解説がなされている

上記ALLHAT研究の解析では、スタチンによる全死亡リスク増加が懸念されているのだが・・・

“ 「吹田スケール」冠動脈疾患発症リスク高い→即、スタチン投与”ってのは少なくとも高齢者では慎重であるべきと私は思う

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