2018年1月19日金曜日

入院高齢患者はインフルエンザ検査施行不十分

日本の場合は、入院に於けるインフルエンザの同定は病院経営にとってもクリティカル。


CDCのインフルエンザ症状疑診例は
・体温 摂氏 37.8度以上
・咳嗽 and / or 咽頭痛

Grohskopf, L.A., et al., Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines. MMWR Recomm Rep, 2016. 65(5): p. 1-54. 

65歳以上では合併症の影響や免疫老化(senescence)などより体温上昇しにくい。
また、認知障害の存在もあり、自覚症状認知しがたいこともある。
故に、疑診クライテイリアを拡大することも自主的に行われている。

そのような背景下の報告


Underdiagnosis of influenza virus infection in hospitalized older adults
Authors: Lauren Hartman,  et al.
Journal: Journal of the American Geriatrics Society
10.1111/jgs.15298
https://www.terkko.helsinki.fi/article/17997612_underdiagnosis-of-influenza-virus-infection-in-hospitalized-older-adults


要約
目的:入院成人おけるprovider指示インフルエンザ検査と関連する要素記述
デザイン: 患者住民統計指標、症状、provider-指示インフルエンザ検査をアンケート、チャートレビューで収集。前向き検査室ベースサーベイランス(RT-PCR使用、インフルエンザ診断のgold-standard)、患者特性とprovider-指示検査が正確なインフルエンザ診断に与える影響を検証
セッティング: 1つの学術的病院、3つの地域病院 Davidson County, Tennessee, USA)
被検者:18歳以上の1422名の成人(急性呼吸器症状、非-localizing fever)
測定:provider-指示インフルエンザ検査有無での患者特性比較( Wilcoxon test と Pearson’s chi-square test)。多変量ロジスティクス回帰モデルでprovider-指示予測に関する要素を同定
結果:全体としてprovider指示インフルエンザ検査  28% (399/1422)。検査群は若年が多い  (58 ± 18 歳 vs. 66 ± 15 歳, p < 0.001)、インフルエンザ様症状を有する場合が多い  (ILI, 71% vs. 49%, p < 0.001)。ILIは、若年ほど増加 : 48% ≥ 65 歳; 60% 50-64 歳; 63% 18-49  歳.
患者全部のうち、ILIの存在と若年はprovider-指示インフルエンザ検査の独立した予測因子である。RT-PCR確認インフルエンザ136名中、ILIのみがprovider-指示インフルエンザ検査の独立した予測因子  (AOR 3.43, 95% CI 1.22-9.70)
結論: インフルエンザシーズン中の発熱もしくは呼吸器症状を有する65歳以上では若年成人よりはprovider-指示インフルエンザ検査はなされにくい。全部ではないが、一部、ILI出現尤度低いが故のdisparityが考えられる。さらなる戦略として、この脆弱な群の存在への検査と臨床医の啓発する必要性あり

Key words: influenza, elderly, older adults

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