2018年4月17日火曜日

増悪繰り返す好酸球増加喘息症例:吸入アドヒアランスは限定的要素

血中好酸球400/μLを超える場合増悪リスク増加と関連するというリアルワールド研究(Blood eosinophil count and prospective annual asthma disease burden: a UK cohort study. The Lancet Respiratory medicine . 2015;3(11):849-58..)が示されている。一方、吸入処方への非遵守性:non-adherenceも増悪の重要な要素。ICSアドヒアランス良好でも状況の良くない症例も存在する。


リアルワールドではどうか?

喘息に治療管理に関して、吸入ステロイドなどの吸入手技やアドヒアランスが着眼されるのは当然だが、好酸球増加喘息患者において吸入アドヒアランスにあまりこだわるのも問題なのかもしれない


以下の報告まとめ
  • ICS治療へのNon-adherenceと血中好酸球増加はともに喘息患者の急性増悪リスク増加と関連していることは既知
  • この論文により、ルーチンの臨床的および患者報告データを用いると、血中好酸球増加喘息患者において、ICS治療処方リフィルへのアドヒアランスと喘息急性増悪減少と関連せずと判明
  • 頻回の喘息増悪経験し続ける血中好酸球増加患者ではICSアドヒアランスにかかわらず、バイオ製剤など付加治療必要






Relationship of inhaled corticosteroid adherence to asthma exacerbations in patients with moderate to severe asthma
Alberto Papi,  et al.
The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice (2018), doi: 10.1016/j.jaip.2018.03.008.
http://www.jaci-inpractice.org/article/S2213-2198(18)30266-6/abstract



血中好酸球数 200個/μL中央値、ICS治療非アドヒアランス率 81%

血中好酸球増加 14%、1031名、女性 58% 、平均年齢 60歳、ICS完全adherenceでない比率 83%

血中好酸球増加の患者では、アドヒアランス率増加すると、アドヒアランス完全でない場合に比べ、2回以上急性増悪 14% vs 7.2% p=0.003 、コントロール不良 73% vs 60.8% p=0.004

血中好酸球増加は7名の患者に約1名
ICSアドヒアランスはこれらの患者において急性増悪減少と関連せず
biologicsなどの付加治療がこれら患者に必要






確かに、中等度以上の喘息の場合、吸入スキルや吸入流量などの問題はあるかもしれないが、患者側も無症状や軽症と違い、治療努力期待できるはず

アドヒアランスばかり問題にするのも考えものなのかもしれない

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