線維細胞 fibrocyte、通常末梢血単球から由来した、通常不活性な線維芽細胞様(休止期)細胞で、特発性肺線維症の病的プロセスに関与示唆(BMC Med. 2015 Nov 9;13:277. doi: 10.1186/s12916-015-0515-0.)。(ペントラキシン 2として知られている)血中アミロイドPは単球の線維促進的線維細胞(profibrotic fibrocyte)への分化を抑制し、炎症促進マクロファージへの分化の抑制作用を有し、肺線維化の鍵となるメディエーターであるTGF-β1産生抑制作用を有する。
特発性肺線維症において血中ペントラキシン 2濃度は減少し、疾患重症度と相関し、線維化のmodulationの役割がありそう。
・・・ということで、組み替えヒト・ペントラキシン2の効果
特発性肺線維症・予備研究において、組み替えヒトペントラキシン治療 vs プラシーボにおいて、28週間において肺機能低下減少効果
Effect of Recombinant Human Pentraxin 2 vs Placebo on Change in Forced Vital Capacity in Patients With Idiopathic Pulmonary FibrosisA Randomized Clinical Trial
Ganesh Raghu, et al.
JAMA. Published online May 20, 2018. doi:10.1001/jama.2018.6129
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2681945
意義:
特発性肺線維症(IPF)は進行性の線維性肺疾患で予後不良。治療進行中止しうる適切な治療はない
目的:
組み替えペントラキシン 2 vs プラシーボ比較:28週め平均強制肺活量(FVC)予測比%にて治療効果判定
研究デザイン・セッティング・被検者:
第2相ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル、18施設7ヶ国、参入被検者 IPF n=117 ,年齢 40-80歳
- FVC ≥50%及び ≤90% predicted
- FEV1/FVC比 >0.70
- 一酸化炭素拡散能 [Dlco] ≥25% 及び ≤90% predicted
- 6分間歩行距離 ≥150 m
研究機関2015年8月から2017年5月
介入:
組み替えヒトpentraxin 2 (10mg/kig 4週毎静注, n=77) vs プラシーボ ( n=39) 24週間
併存IPF治療状態で層別化
主要アウトカム・測定項目:
プライマエンドポイント:ベースラインから28週目のFVC予測比最小自乗変化 (MCID , 2%-6%)
セカンダリエンドポイント:HRCT上の肺容積の平均変化(全体、正常、間質性肺疾患)と6分間歩行距離(MCID 24-45m)
結果:
117名のランダム化患者のうち、対象薬1剤以上使用 116名(平均年齢 68.6歳, 男性 81.0%、IPF診断からの平均期間 3.8年)、研究完遂 111(95.7%)
ベースラインから治療28週目までのFVC予測比パーセンテージ最小自乗平均差 ペントラキシン -2.5 vs 対照薬 -4.8 (差, +2.3 [90% CI, 1.1 to 3.5]; P = 0.001)
総肺容積(差, 93.5 mL [90% CI, −27.7 to 214.7])、HRCT定量的肺実質特性(差, 正常肺容量差 , −1.2% [90% CI, −4.4 to 1.9]; 間質性肺病変容, 1.1% [90% CI, −2.2 to 4.3])、Dlco測定値何れも有意差無し (差, −0.4 [90% CI, −2.6 to 1.7])
6分間歩行距離は、組み替えヒトペントラキシン治療患者で -0.5m vs プラシーボ群で -31.8m (差, +31.3 m [90% CI, 17.4 to 45.1]; P < .001)
ペントラキシン治療群最頻度副事象は咳嗽 (18% vs 5%)、疲労 (17% vs 10%)、鼻咽頭炎 (16% vs 23%)
結論と知見:
特発性肺線維症・予備研究において、組み替えヒトペントラキシン治療 vs プラシーボにおいて、28週間において肺機能低下減少効果示された。
今後有効性安全性研究追加必要
Trial Registration clinicaltrials.gov Identifier: NCT02550873
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