2018年5月21日月曜日

特発性肺線維症:FLORA:抗autotaxin阻害剤GLPG1690 第2相a 有望

特発性肺線維症 (IPF) は不可逆的肺機能障害をもたらす。IPF患者は肺組織中のautotaxin濃度増加、肺胞洗浄液中・呼気condense中のlysophosphatidic acid(LPA)増加する

GLPG1690 (Galapagos, Mechelen, Belgium) は、新しい治療可能性のある選択的autotaxin阻害剤で経口投与可能




ランダム化二重盲検プラシーボ対照第2相a研究、17施設(イタリア、ウクライナ、UK)
12週間 GLPG1690 経口1回/日 1:3割り付け
プライマリ圧カムは安全性、耐用性、pharmacokinetics、 pharmacodynamics


Safety, tolerability, pharmacokinetics, and pharmacodynamics of GLPG1690, a novel autotaxin inhibitor, to treat idiopathic pulmonary fibrosis (FLORA): a phase 2a randomised placebo-controlled trial
Toby M Maher, et al.
Lancet Respir Med 2018Published OnlineMay 20, 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30181-4

pharmacokinetics、 pharmacodynamicsは健常者研究と同様


LPA C18:2濃度は減少


FVC12週後ベースラインからの平均変化量は 25 mL(95% CI, -75 to 124) vs プラシーボ -70 mL (-208 to 68 mL)





GLPG1690 (Galapagos, Mechelen, Belgium) は、強力な選択的autotaxin阻害剤で、経口投与でラットにおいてLPA C18:2類の血中濃度減少を示す
ピルフェニドンに比べ、ブレオマイシン肺線維症で予防的、治療的Ashcroft fibrotic
線維化促進メディエータへの付加的抑制作用が、IPF患者肺組織ex-vivoの線維芽細胞評価で認められ、GLPG1690・ニンテダニブとの併用使用で評価された

第1相ヒト研究で耐用性確認、LPA C 18:2減少、GLPG1690濃度増加が示されていた。

 




オートタキシン(Autotaxin:ATX)は,リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylchloine:LPC)を加水分解してリゾホスファチジン(Lysophosphatidic Acid:LPA)を生成する反応を触媒する分泌型リゾホスホリパーゼD(Lysophospholipase D)です。LPAはGタンパク質共役レセプターを活性化する脂質メディエータであり,神経新生,血管新生,平滑筋収縮,血小板凝集および創傷治癒などの様々な生物学的応答を引き起こします。ATX-LPA情報伝達経路は,腫瘍の進行や炎症などに関与することが指摘されています。
https://www.funakoshi.co.jp/contents/5518



損傷に対する異常な創傷治癒反応は肺線維症(原文:繊維症だが書き換え御免)の発症と関連すると考えられてきたが、そのような病的反応を誘導するメディエーターについては十分にわかっていない。本論文では、肺線維症のブレオマイシンモデルで肺損傷後に気管支肺胞洗浄液中のリゾホスファチジン酸濃度が上昇すること、またリゾホスファチジン酸受容体の1つであるLPA1を欠くマウスでは、このモデルでの線維症の発症率および死亡率が著しく低いことを示す。LPA1が存在しないと、線維芽細胞動員および血管漏出の両方の低下がみられたが、これら2つは損傷が修復されずに線維症に移行した場合に過剰に起こることがある反応である。一方、白血球の動員は損傷後1週間は維持された。特発性肺線維症の患者でも気管支肺胞洗浄液中のリゾホスファチジン酸濃度は上昇しており、LPA1を阻害すると、洗浄液のもつ化学走性に対する線維芽細胞の反応は大きく低下した。したがってLPA1は、損傷に対する異常な反応が発症に寄与する、特発性肺線維症のような疾患の新たな治療標的となる。
肺線維症:リゾホスファチジン酸受容体LPA1は線維芽細胞の動員および血管漏出を仲介することで肺損傷と肺線維症を結びつける 
Nature Medicine 14, 1 | Published: 2008年1月8日 | doi: 10.1038/nm1685

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