2018年6月19日火曜日

糖尿病と心血管疾患リスク:各々別の炎症性特性を有する

“炎症”という一言で表現できないようで、

糖尿病と心血管疾患は重複するリスク要素を有することは、共有するmolecular driver、pathwayの存在、遺伝子subnetworkの存在から支持される。肥満を引き起こすインスリン抵抗性と心血管疾患の遺伝子発現変化のoverlapなど。さらには低程度慢性炎症とインスリン抵抗性、代謝障害が糖尿病と心血管疾患の共通土壌となっていることも明らか。ただ、pathogenesis上の特異的変化が想定される。

そういう視点で、発症に関係する炎症に特性の違いは無いかを探ると・・・



Comparing the inflammatory profiles for incidence of diabetes mellitus and cardiovascular diseases: a prospective study exploring the ‘common soil’ hypothesis
Cardiovascular Diabetology201817:87
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0733-9©  The Author(s) 2018
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0733-9



Malmö Diet and Cancer cohortをベースに、25,969名の被検者、糖尿病、心血管疾患既往なし
平均フォローアップ 17.4± 4.58年間、心血管疾患発症率を検討
7つの炎症性マーカーを検討し糖尿病発生率、心血管疾患発生率を4658名対象にLunn–McNeil competing risks approachで検討

通常リスク要素補正後、総、分画白血球数、orosomucoid、CRPは、糖尿病、心血管疾患リスクと相関

好中球/リンパ球比、セルロプラスミン、αアンチトリプシン、soluble urokinase plasminogen activator receptorはCVDリスク増加と関連するも、糖尿病リスク増加とは関連せず

ハプトグロビン、補体C3は、逆パターン(糖尿病と強く関連)

競合リスクモデル解析にて、リンパ球数、補体C4は心血管疾患リスクより糖尿病リスクと強く相関  (p for equal associations = 0.020 , 0.006)

好中球/リンパ球比が逆関係となっている (p for equal associations = 0.025)


感度分析にて結果一致性あり


“世の中に免疫が強いとか弱いとか言う人多すぎ” これだけ複雑な仕組みが判明下のだから、強い弱いで表現できるはずもなく・・・

手っ取り早い解釈をしたいが為に間違った常識を積み上げてるんじゃ無いかと思う事象が世の中に多い。

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note