2018年11月13日火曜日

高齢者老人入院急性期:機能障害回避のため、個別化多要素運動介入有効

老人にとって「入院」というイベントはとてもharmful。心身とも多大なる影響を与える。その有害性を最小化するためには・・・リハビリテーション以外の個別化多要素運動介入が重要


医療施策として日本でも試みるべき知見と思われる


以下は、スペインの3次公的病院での単一施設単盲検ランダム化臨床トライアル
急性ケア入院した高齢者75歳以上370名をランダムに、運動と対照(通常ケア)群
Intention-to-treat analysis



Effect of Exercise Intervention on Functional Decline in Very Elderly Patients During Acute Hospitalization
A Randomized Clinical Trial
Nicolás Martínez-Velilla,  et al.
JAMA Intern Med. Published online November 12, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.4869

対照群:通常入院ケア(身体リハビリテーションを必要なら含む)
介入群:個別化した中等強度レジスタンス、バランス、ウォーキング運動(2日セッション)

プライマリエンドポイントは:ベースラインから退院時の機能能力(functional capacity):自立性評価のBarthel1Index、 Short Physical Performance Battery (SPPB)
セカンダリエンドポイントは、認知・気分状態、QOL、握力、せん妄発生率、入院期間、退院後転院、再入院率・死亡率


結果:
解析登録370名のうち、女性 209(56.5%);平均(SD)年齢 87.3(4.9)歳
入院期間両群とも8日(IQR 4 vs 4)
介入期間中央値 (IQR 0)、患者毎平均(SD) 朝 5(1) 、夕 4(1)セッション
介入中副作用なし

運動介入プログラムにて通常ケアを上回る有意なベネフィット

退院時 SPPBスケール 平均増加 2.2   points (95% CI, 1.7-2.6 points) 、 Barthel Index 6.9 points (95% CI, 4.4-9.5 points)

入院は機能障害をもたらす(Barthel Index -5.0 points (95% CI, -6.8 to -3.1 points))が、介入群はこの傾向を改善した  (1.9 points; 95% CI, 0.2-3.7 points)

介入はまた、SPPBスコアを改善  (2.4 points; 95% CI, 2.1-2.7 points) vs 0.2 points; 95% CI, −0.1 to 0.5 points in controls)


有意な介入ベネフィットが、通常ケア群に比べ 認知機能 1.8points (95% CI, 1.3-2.3 points)








ところで・・・


入浴習慣で介護リスク減少https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20181112/1080004272.html
調査では、ふだん、どれくらいの頻度で風呂につかっているかなどを事前に調べたうえで3年後の状態を確認し、そのデータを統計的な手法を使って分析しました。
その結果、冬場に週7回以上、風呂につかっている高齢者は、週2回以下の高齢者より介護が必要な状態になるリスクが29%低くなったということです。
研究グループは、高齢者の入浴は事故や病気などに十分注意することを前提に介護予防対策としてより活用すべきだとしています。
メディア報道なのでいかなる交絡要素補正がなされたのか分からないが、コホート研究なので様々な因子(例えば、入浴意欲低下にかかわるうつや不安など心理状態、入浴障壁となる身体機能障害など)がからむわけで、coclusiveな物言いはできないはずだが・・・とにかく、「活用すべき」と断定的表現が気になる。
介護関係の本邦研究は当初から「パワーリハビリ」問題など、根拠薄弱なのに暴走する介護システム施策とともにあいかわらず問題が多い。


0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note