COPDリハビリテーション時、酸素飽和度の低い患者では高強度の運動に耐用できない場合があり、医療者は運動誘発による低酸素飽和度を最小化に執着し、結果、トレーニング強度 and/or強制休息を挟むことを強要する傾向にある(実際、私が見聞きしている九州の某県の医療施設や介護施設などでは、介護職だけでなく、看護師や医師たちまでも ナゾの呪文である 「サーチ サーチ」と騒ぎながら 酸素を強要し、トレーニングを中断を強要させる行事が毎日のようにおこなわれる)
運動による酸素飽和度低下はCOPD患者ではほぼ半数の47%とこの論文の序文には記載あり、半数がfield walking testなどで90%未満の飽和度となる。
生理学的研究の運動急性暴露で等価運動負荷量での分時換気量減少と動的過膨脹の発生遅延化、関連する呼吸困難の遅延化などが運動能力増加をするということから酸素負荷にこだわる向きがあるのだろう。しかし現実の臨床診療上では酸素投与のprovisionを支持するエビデンスは限定的。今までの運動中の酸素投与と空気比較のランダム化研究ではサンプル数が少なく、長期酸素療法や酸素飽和度否定加群も含まれていて不均一なサンプルでの検討であった。
今回の研究は運動による酸素低下確認群での検討で、安静時酸素飽和度正常だが、運動による酸素飽和度低下症例で、リハビリテーション中の酸素付加の意義検討するには強いエビデンスが期待された研究
運動能力やHRQoLに関しては、酸素投与群と医療用空気投与群でその効果に関して差は無く、ともに改善し、酸素投与群でより大きなベネフィットを示すことはなかった
Oxygen compared to air during exercise training in COPD with exercise-induced desaturation
Jennifer A. Alison, et al.
European Respiratory Journal 2019 53: 1802429;
DOI: 10.1183/13993003.02429-2018
COPDの呼吸リハビリテーションを受けている患者の約半数が運動中酸素飽和度低下。酸素投与にて酸素飽和度は緩和するが、運動トレーニングのアウトカムへの影響については積極的には評価されてない。この研究は運動トレーニング中の酸素付加が運動耐容能改善、HRQoL改善の点でmedical aireよりCOPD患者にとって有効かを決定する目的の研究
6分間歩行試験中酸素飽和度90%未満COPD患者をランダム化多施設トライアルへ登録(独立した目隠し割り付け)で、Oxygen group と Air groupへ割り付け、盲目的(登録者、運動トレーナー、European Respiratory Journal assessors)、ITT解析
各々の吸入群とも濃縮器より経鼻prongから 5L/分を運動トレーニング(トレッドミル、サイクル運動)週3回8週間施行中使用
プライマリアウトカム:ESWT(運動耐用シャトル歩行試験)時間とChronic Respiratory Disease Questionnaire (CRQ)-Total score
被験者 111名(男性 60名)、平均±SD 年齢 69± 7歳、中等度〜重症 COPD登録、97名完遂 (Oxygen group n=52; Air group n=45)
8週間トレーニングプログラム終了時点で、ESWT (平均差 15 s (95% CI −106–136 s) と CRQ-Total の変化(0.0 points (95% CI −0.3–0.3 points))に群間差無し
トレーニング終了時点でのグループ内の差はESWTとCRQ-Total)で有意に(all p<0.01)
運動能およびHRQoLは両群改善、medical air投与より酸素投与でトレーニングによるベネフィットが多いということはない
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