2019年6月4日火曜日

日本の小児肺高血圧心電図検診

心電図を利用した idiopathic or heritable (I/H)-PAH 検診

エディトリアルを読むと、研究者や関係者に敬意を表しつつも功利性からは疑問をもたれている日本独特の発想に基づく検診という評価のようだ


Detection of Pediatric Pulmonary Arterial Hypertension by School Electrocardiography Mass Screening
 Hirofumi Sawada , et al.
AJRCCM Vol. 199, No. 11 | Jun 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201802-0375OC       PubMed: 30428270
https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/rccm.201802-0375OC


一般小児への心電図ベーススクリーニング

2005-2012年日本に於ける3〜18ヶ月齢のI/H-PAH国内調査

検討 87例:年齢1−16歳
初めての心電図ベース検診年齢 6歳以上で診断 68名(78%)中

  • 心電図ベース検診による検出 28 (41%)  (screening group)
  • 症状による検出 (n = 37)と偶発的検出 (n = 3) 40 (59%) ( nonscreening group)

検診検出群では、非検診検出群に比べ、WHI class I/IIの比率高く (96% vs. 60%; P < 0.001)、血中BNP低く (149 ± 290 vs. 398 ± 559 pg/ml; P = 0.045),、6分間歩行距離も長いr (420 ± 109 vs. 327 ± 104 m; P < 0.001)

同等なのは、平均肺動脈圧 (58 ± 17 vs. 61 ± 17 mm Hg; P = 0.42) 、肺血管抵抗 (18 ± 8 vs. 21 ± 11 Wood units ⋅ m2; P = 0.24)

最終受診時epoporstenol注射比率は検診群で低い (14% vs. 50; P = 0.004)


エディトリアル一部翻訳
澤田らが、日本の学童の一般集団におけるI / H-PAHの検出に対する学校ECGベースの心血管スクリーニングプログラムの影響を調査している。小児における肺高血圧症(PH)のためのそのような大規模なECGスクリーニングプログラムはこれまで報告されていないので、著者、ならびに日本小児心臓学会は、この優れた独自の努力について称賛されなければならない。
この日本の心電図ベースのスクリーニングプログラムはアンケートと身体所見も含み、著者等はこのプログラムはI/H-PAH小児患者の軽度臨床症状(WHO分類の低い、6分間歩行距離が長い症例)で明らかな右室機能障害のない(血中BNP低値)だがPH(平均肺動脈圧:mPAPA 61± 17 mm HGで肺血管抵抗 18± 8 WU⋅ m2)という特異的サブグループ検出のプログラムと報告している。
そのため、I/H-PAHのサブセットの早期検出は日本国内全体の健康小児の心電図ベース・スクリーニングとして成功するPHスクリーニングとなりえるのだろうか?この目的のために構築されたものではない。仮にPAHターゲット治療が利用可能で、治療早期開始によりアウトカム改善するという仮説があるなら、兆候ある場合と比べてアウトカム改善するということになるだろう。しかし、現在の研究ではこの当初の熱意を冷ましている。本スクリーニングプログラムによって特定されなかった小児で観察されたものと同様の進行血管疾患を示した
RV肥大を検出するための心電図の感度は、使用される基準に応じて40〜60%であると報告されており、これは偽陰性結果の発生率を高めます。さらに重要なことに、RV肥大を検出するための心電図の特異性は90%以上であると報告されているが、小児I / H-PAHの推定発生率は0.5〜0.7症例/百万子供/年、低罹患率は事後テストベイズ分析の単純な関数として、PAHに対する心電図の正の予測値は必然的に低くなるだろう。




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